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Episode 123 数に換算するのです。

営業職を離れ、「不本意ながら」工場事務に移った私、結果的には「水を得た魚」という言葉がしっくりくる部署を与えられた…というのがドンピシャだったわけでして…。
それは、営業時代に感じていた「疑問」を具体的な数字に表すというものが考え方の始まりでした。

半年ごとに勢力地図が塗り替わる食品メーカーの営業で、私が苦しんでいたのは「自分が何を売っているのか分からない」ということでした
営業マンの売上成績は個人の担当する得意先の売上金額合計であって、それが予算を達成しているかとか、前年実績をクリアしているかとか、そういう風に売り上げ金額ベースで管理されるわけです。
ここで私が持っていた疑問は、「何を売っているのか」という視点が営業側には欠けていると言うことです。

営業側の発想としては予算売上金額を達成することが、唯一最大の目標であって、何を売るのかは別問題なのです。
売りやすい商品を売り、売り上げを達成する…その内側の内容については二の次なのです。
どうやって売り上げを達成するかは営業マンの考え方とウデなわけで、定番と呼ばれる看板商品を売るのが得意な人もいれば、王道の定番品より脇道の変わり種の方が上手に売り込める営業マンもいるというわけです。

だから、営業マンは「何となく」分かっていても、得意先ごとに「どんな商品が毎日どのくらい売れているのか」は、具体的な数字として分かっていなかったりするのです。
そこに営業マンが仕掛けた「売り込み(=特売)」が上に乗るワケで、残念ながらこれが後から売上を確認した時にわかり難くなる原因にもなるわけです。
売上データの分析を後からしたときに、得意先軸で見ても、商品軸で見ても、それがベースの売上である「定番」分なのか、営業マンが仕掛けた「特売」分なのか、非常にわかり難い…。

そこで先ず手掛けたのは、営業マン自身が何を売っているのか理解するって話です。

生産効率の向上を進めたい会社としては、3Mと言われる「ムリ・ムダ・ムラ」の削減を営業側を巻き込んで会社全体で取り組みたいと言う機運が高まっている時期だったワケで、その取り組み事例として私が考えていた内容とシステム開発がマッチしたワケです。

ダラダラとした平成の不況が続く中、営業活動と生産側のコスト削減をバラバラにやっても効果的に限界に達していた、売ることだけで精いっぱいだった中堅の食品メーカーが、漸くそれに気が付いて取り組みだしたタイミングだったワケです。

「特売」と「定番」を分けて考える…個人的に数字の分析を始めたところでシステム開発から声が掛かる…「それ、形にしよう」って。
営業の形のない売り上げという「金額」を、具体的な商品の「数」に変換する作業は、私が目に見えるものしか理解できないから、目に見える「物差し」を作りたかったという発想がベースになっているのです。

こうして、営業で芽が出なかった私は、工場事務の職場で仕事のやりがいを見つけるのです。
そのベースは、やはりASD的な「目に見える」と「物差し」という私の安心できるモノを用意する作業だったワケで、そこに会社の利益向上が結びついて波に乗るわけです。

偶然にもまた、自分の凸部を生かせる仕事が巡ってきたのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/1/15

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