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Episode 106 ホームに戻ってくるのです。

「棚替え」という言葉が小売店業界にはあります。
スーパーの売れ筋は、季節よって大きく変わります。
夏には涼しげなものやスパイシーなものが、冬には身体を温めるホットなものが消費者に好まれる傾向にあるワケで、お客様に商品を買っていただくために季節に合わせて陳列棚の商品を見直すわけです。
販売不振の商品を棚から外して別の商品に入れ替えることは日常的に行われているのですが、春先と秋口の年2回、大々的に棚の見直し作業が行われるのが通例…これが「棚替え」です。

食品メーカーはこの時期を一大商戦期として「スプラトゥーン」をするわけですよ
ステージは各小売店様の陳列棚…ステージで勝利すると、×店舗数のボーナスがついてくるわけです。
大手量販店で勝てば、100倍とかありうるワケです。

食品メーカーはこの商戦めがけて新商品の投入と既存商品のブラッシュアップを仕掛けます。
ありとあらゆる武装で棚を自社商品で塗りつぶす努力をするワケでして、壮絶な戦いの結果、その後の半年間の売上のベースとなる「棚割り」が決まるのです。

だから、食品メーカーの売上って、半年ごとに大きく変わる可能性があるのです。
ここでも必ず売れると見込まれる「定番」があると強い…努力しなくても棚に入れてもらえる看板商品があれば、売り上げのベースは見込めるってワケです。

さて、工場事務に移った私の仕事は、受発注を掌る部署でした。
お客様からの注文を受けて出荷売上伝票を作成する、その注文に見合うだけの生産数量を工場に提示するのが仕事でした。
これがなかなかアナログの部署でして、何しろ半年ごとに営業が「スプラトゥーン」を繰り広げて勢力地図が大きく変わるものだから過去のデータが使いにくいのです。
そこに持ってきて新商品…自社も他社も商品ラインアップという手持ちの武器が去年と全然違うのです。

ま、こんな状況で理詰めの私が「カンピューター」で動くわけもなく…。
モノを相手にする仕事という「ホームグラウンド」に戻ってきた私は、部署の近代化という仕事を受け持つことになるのです。

なぜ私をその部署に投入したのか本当のところはわかりませんが、この環境リセットで私の仕事は再び「吉」の方へ向かうのです。

旧ブログ アーカイブ 2018/12/29

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