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Episode 43 全てが欲しくなるのです。

ASDの方の中には収集趣味の方も多くいると思います。
いわゆる、コレクターってヤツですね。

私は子どものころ、一升瓶の栓の部分を集めることに熱中した時期がありました。
地域によって違いがあるようですが、私が住んでいた地域では「酒蓋」と呼ばれていた部分です。
これを集めるのが地域の男の子の間で流行ったんですね。
当時はまだ量販店での酒類販売は出来なかった時代、地域ごとに地元の酒屋さんがあって、そこを回っては飲み終わって回収した一升瓶の栓を頂戴するのです。
酒屋さんとしては、リターナルで回収するのは瓶の部分のみなので、快く「酒蓋」を譲ってくれた記憶があります。

酒蓋には蔵元独自のマークが施され、粋で美しいものが多かったのです。
ただ、手に入る蓋には偏りがありました。
基本的に地域の酒屋さんですから、その酒屋で扱っているブランドが主になります。
大手酒造メーカーのものか、地元の酒蔵のもの。
白鶴・月桂冠・大関・松竹梅・菊正宗・黄桜…ってあたりがメジャー、偶に旭正宗とか地元の酒蔵がちらほら。

酒屋さんで頂いた酒蓋は、自宅に持って帰り箱にしまっておくわけです。
それを広げて「白鶴15個、月桂冠12個…」なんて分類して数えて遊んでいたわけですよ。

ただ、このコレクションは私向きではなかったんです。
流行って、みんながそれをやるじゃないですか。
行動力のある子なんかが上手に時間を使って蓋を回収して回ると、近所の酒屋の酒蓋は根こそぎ無いんですよね。
一日一回の早い者勝ちみたいな感じ…。
さらには集まる種類のマンネリ感。
数で勝負する子はそれで良かったんでしょうけど、私的には日本地図パズルのような達成感が欲しかったんですよね。
銘柄コンプリート…街の酒屋巡りだけでは、一朝一夕で完成するような話ではありません。
次第に熱が冷めていくのは自然な成り行きでした。

「完成」「達成」「褒められる」がセットになっていると、それが出来上がっていくのが楽しいのです。
酒蓋、集めても楽しくないんですよね…だって完成しないんですもの。

そんなことよりも、私的にはお茶漬け海苔の「東海道五十三次」ですよ。
カードが欲しくて一所懸命にお茶漬けを食べていたような…。

旧ブログ アーカイブ 2018/10/27

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