見出し画像

Episode 758 私が代表ではありません。

Autistic(自閉の民) であり、精神科の医師でもあるあずさ(@41azusayumi)さんと X の音声SNS機能であるスペースを使ってお話しをさせていただいたのは5/26のことです。

あずささんとは過去に何度かお話しさせていただいているのです。
前回の記録(と言っても、前回のスペースは録音されていないのですが)を確認すると、それは昨年11/19のことだったようですから、今回のスペースの冒頭でのやり取りの中にもある通り、今回のセッションは半年ぶりの開催…と言うことになります。

あずささんとのスペースは、毎回なにかしらの発見があるのでとても楽しみなのです。
そして今回のテーマが「同族だからってわかり合える訳でもないよね?」というものでした。

この話題の根底には、あずささんと私は、お互いに Autistic であるという自認/他認がありながら、全く違う種類の Autistic でもあるということを過去のスペースでのセッションで共有できた経緯があります。

ところが、ところがですよ、「Autistic(自閉の民) がAS"D"(自閉スペクトラム「症」) 者になった途端に、カテゴリによる階層で十把一絡げに語られるのは何でなの?」という疑問がありましてね。
コレが Allistic(非自閉の民) → Autistic(自閉の民) への理解で言われる場合に限らず、Autistic(自閉の民) → Autistic(自閉の民) への理解で言われる可能性がある点に、ちょっと興味があったワケです。

スペースで話を進めて行く中で、また、セッション終了から数回、録音されたスペースを聞き返して、私の話術や語彙力の無さ、喋り方の癖に凹みながらも、何故ゆえにAS"D"(自閉スペクトラム「症」) 者とはこんな人…という概念の固定がなされてしまう理由を考えました。
そして、私なりに出した答えは、私以外の Autistic(自閉の民) との対話が絶対的に不足しているということでした。
それは…。

Autistic(自閉の民) が全人口に占める割合は、多く見積もってもヒトケタ%以上になることはなく、それ故に自分以外の Autistic と対話したことがある人がとても少ないと言うこと、そして対話したことはあっても、対話する相手の絶対数自体も少ない…ということが理由にあるのだと思います。
だから、私と出会った数少ない「同族」と私の共通点を、殊更 Autism 性として認識しやすいのではないか…と。

そもそもにおいて定型者中心の一般社会には「ふつう」という概念があって、多くの人が持つ一般的な思考パタン/行動様式などは、できることが当たり前として認識されるワケです。

その「できるもの」の程度を見て、その人の力量を推し量ることを、私は私の造語で「みなしできる」と呼んでいるのです。
勉強がクラスの平均よりも高いAさんは、勉強ができる部分から理解度は高いと評価され、その理解度の高さ故に生活力も高いと推測されてしまう…みたいなことです。
本当は、学力と生活力に関連性があるとは限らないのですけど、多くの方々に共通点があればあるほど、ひとつを見て他の能力を類推する精度は上がるワケです。
Autistic は、その精度の枠から外れる「外れ値」の部分/場所を持つ人が多く、それが社会的に不具合があるとされた時に「障害(Disorder)」とされるのですよね。

私は幸いにもあずささんとの対話の中で、「こんなに違う『同族』がいる」と言うこと知ることができたのです。
ですから、私が自らの Autism 資質を語る時、「私はこうである/こう考える」と表記して、私の意見は Autism 性を語っているけれど、それは全ての Autistic の代表ではないよ…ということを明確にするようにしているのです。
ここ、すごく大事な部分だと思うのですよ。

現代社会は、少なくとも私の住む日本では、ひとつのことから幾つものことを類推するのが一般的なのだと思います。
それはその一般枠で生きることに多くの類推できるサンプルとなる事象があり、その類推が効く社会の中に、私のような Autistic も生活していることを意味します。

だから、Autistic でも、定型社会的なその「類推バイアス」に引っ掛かる…と考えます。

分かり合えない同族とは、同じ Autistic でも考え方が私と違う人がいる…と、いう場合である、それは良くわかるのです。
でも、そうではなく、定型社会的な「類推バイアス」を意識しないでオープンスペースに意見を述べる人への「同族嫌悪」と言う側面がありそうです。
誰かの意見を聞いて、「Autism とは…」で一緒にされることへの怒りや落胆はあるよね。

今回のスペースもまた、新たな発見の多いセッションでした。
とても楽しかった、あずささん、ありがとうございました。
また少し時間をおいて、お話しできる機会があると嬉しい…と、私は思っています。


前回…11/19のスペースは、今回の話と直接の関係はないのですが、あずささんとのスペースは、前の話題が共通認識である部分が多いのです。

というワケで、前回の振り返り記事を置いておきます。
興味のある方は読んで見て下さい!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?