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Episode 717 "Egocentric"な納得です。

あずさ(@41azusayumi)さんとスペースで対談したのは11/19のこと…その前の対談は、かれこれ1年以上まえのことでしたから、「久々」という言葉が当にピッタリだった様におもいます。
恐らく、前回の対談は2022/7/24のこと… X がまだ Twitter だったころのことです。

今回のスペースに対しての概要と振り返りについて、あずささんからのレビューは既にアップされているのでそちらをご覧いただくとしまして、こちらには今回のスペースでの私の気付き、気に留めておきたいことを記しておこうと思います。

この対談で「Autistic にとっての納得と変化」について私が強く感じたのは、Autistic にとっての納得は、Egocentric な視点が大きく影響しているのだろう…ということです。

私が Egocentric という言葉を具体的に考えるキッカケになったのは、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の井手正和(@IDEmRes)先生の記事と研究でした。

外界のある対象の位置を理解するために参考となる外部の枠や基準のことをアロセントリック座標と呼びます。一方で、枠とは無関係に、自分との位置関係だけで対象を理解することをエゴセントリック座標と呼びます。

note記事「”枠をとらえ”、”枠に収める”ことの個人差と不器用さ」より

井手先生の記事は、Autisticな方の視覚情報について、その認知についての特徴が認められることが記されています。
具体的にはアロセントリック座標を使用することへの苦手さ…です。
その一方で、自動的なアロセントリックの処理に関しての苦手さ故に、アロセントリックへのバイアスがかからないだろう…という仮説も成り立つだろうことも紹介されているワケね。

先生の研究は、あくまでも具体的(物理的)事象についてを対象にしているように思う(≒敢えて拡大解釈しない)のですが、Autistic 当事者である私の感覚として、Autism の本質としては、物事の理解にも、Egocentric な視点での納得を求める傾向にある…と、今回のスペース対談で強く思ったのですよ。

スペースの話題には、Autistic が自らの意見や考えを変化させることは可能なのに、なぜ自らの意見や考えを変化させることが難しいと言われてしまうのか…という点がありました。
そして、その納得の部分に、本人の「腹落ち感」が大きく影響しているだろうという、あずささんと私の「共通の特徴」がありそうだという認識に至ります。

その「共通の特徴」こそが Autism の本質である Egocentric な視点である可能性はないか?

1年以上前のことですが、あずささんとのスペースで、「誰かの言うことを何の不思議もなく聞き実行する私」と、「何故そう言われたのか納得するまで考える」あずささんが、表出する具体的行動は正反対でも、「そう考える理由」が同じであることを発見して驚いた…という経験があります。

この「そう考える理由」こそが Egocentric な視点での納得(≒腹落ち感)を求める、ではないか…と。

何を以て私の納得(≒腹落ち感)とするのかの「納得のポイント(理解の深さ)」が違えば、納得からの行動には大きな違いが生まれるのは当然のことです。
「あなたの言うことは正しい」を納得のポイントにすれば、「あなたは何故そう言ったのか」を問う意味はない、すでに私の納得のポイントは通過してしまっているから。
他方、「あなたは何故そう言ったのか」の理解を納得のポイントにすれば、あなたがそう言った訳が飲み込めなければ、私の納得のポイントは通過しないことになる。
表出する行動は同じではないけれど、私の納得(≒腹落ち感)を得るという点で共通点があり、即ちそれが Autistic の思考本質にある Autism の部分かも知れない…と。

そしてコレが私の納得という単視点で構成される点で Egocentric な視点…ということになるワケね。

今の社会を構成する多数派の思考は、自動的に Allocentric な位置関係を多用するとした時に、それが物理的な位置関係に限らず対人コミュニケーションにおいても同様であるのなら、あなたとの相対的な関係に Egocentric な視点の納得を持ち出せば、私が納得するまで意見調整しない(正確には「できない」)Autistic は、意見を変えない頑固者に映るかも知れません。

今回のスペースでの発見は、Autistic な思考のベースには Egocentric な性質という共通性がありそう…ということ。
それは物理的な事象に限らず、思考パタンにも大きな影響を与えていそうな点です。

そんな発見が多いあずささんとのスペースは、とても楽しく、いつもお付き合いいただくことに感謝しかないのです。
有意義な時間をありがとうございます。
そして、またお話しできる機会が近々なありますように…と願うのです。


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