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Episode 570 リセットするを止めるのです。

以前に私はイソップ寓話の「北風と太陽」をモチーフにした記事を書いたことがあります。

その中でASD私は、「社会で生きていく上で必要だけど理解できないもは、形だけ真似る『ブラックボックス』で対応する」のだけど、その対応で不具合が出た場合「"Reset" という強制終了」を使うのだと書きました。
そして、その "Reset" の効果は回数を重ねるごとに薄くなり、次第に機能しなくなる…と指摘したのです。
"Reset" は環境が変わることで、その効果を最大限に発揮するのです。
これはASDである私に限らず、これを読んでくださっている全ての方にあてはまることだと思うのです。
心機一転で環境を変える…は、誰もが考えることでしょう?

ところが…ASDの私は、環境の変化ができないタイミングでも「"Reset" という強制終了」を使わないとならないことが多かったのです。
形だけ真似る「ブラックボックス」での対応で上手くいかない場合、上手くいかない部分だけの修正が難しいのです…なぜならば、「なぜそのような対応をするのか」という根本的な部分を飛ばして形だけ真似ているから、その対応をしている理由そのものを理解していないからです。

私は仕事上で「事あるごとに」対人関係でトラブルを起こし、自分自身の体調を崩して休職するということを繰り返してきました。
幸いなことに勤めている会社はなかなか「面倒見の良い会社」でして、休職する度に気遣い、復職できるようにサポートしてくれて、曲がりなりにも勤続20年を超える今までお世話になっているのです。
ただ…事あるたびに仕事に「穴」を空けるような私に、重要な仕事を回すことは出来ません。
休職して再起を図るたびに、私の「社内的なポジション」は軽くなり、大きな仕事からは距離を置かれるようになっていったワケです。

"Reset" して再起を図る…。
同じ会社内でも新しい環境を与えてもらったように見えて実はそうでもない "Reset" は、次第に私の社内的存在価値を下げていったのは事実です。
ゲームの "Reset" のように、完全に「ゼロ」の状態からやり直せるのか…と言ったら、そうではないワケで…つまり、私個人は "Reset" でも私を取り巻く環境の根は "Continue" されていた…ということです。

このままではマズい。
この後も何度となく同じように躓いていたら、ここに居られなくなる。
家族もいる、生活がある…今の収入を減らすわけにはいかない…。

気が付けば "Reset" で再スタートしたハズの私の周りには、私が "Reset" する時に放棄した行動の残骸が山盛りでした。
私はその残骸を "Reset" で見て見ぬふりし、その一方で周りの人たちはキチンと形あるものとして残骸の存在を認識していたということなのでしょう。

漸く残骸の存在を正面から視野に入れる決心をした私は、自分が歩く道を作るために残骸の撤去作業を始めるのです。
それはそれは、ツルハシ一本でコンクリートの建物の廃墟を壊すような作業…ゴーストタウンにひとり北風の中で汗を拭ってツルハシを振るのです。

以前書いたマガジン「北風と太陽」の中の記事からの引用です。
私は "Reset" を繰り返すことで「信用」という後ろ盾を失っていったのでしょう。

このツイートは、以下のように続きます。

ただ…「後ろ盾」ってのは、ひとつだけではないって思うんだよ。
幾つもの自分に対しての評価があるんだけど、何かしら「やらかして」評価を落とすことがある…人間だから失敗もあるワケで。
それで、その「やらかした」ことに対しての対応があるのが普通だとした時に、私はそこをスルーしたかも。

いわゆる「リセット」が発動すれば、「やらかした」は無かったことになる…。
そうやって、ひとつまたひとつと評価を落とした時に、「後ろ盾」の数は少なくなり、最終的に何かにしがみつくことになるのではないか…と。
つまりASDの私は、後ろ盾の修繕をしてこなかった…ではないか?

この「後ろ盾」を修繕しながら保つことが社会性ならば、「後ろ盾」を修繕しないから社会性の獲得は難しいよね。
破壊されてしがみつくものを失った時のに、その重大さに気がつく…というのが、「後ろ盾」がキッカケの気付きなのかもしれません。

私がASDを自覚して受け入れるのに必要だった「気付き」のキッカケは、"Reset" の乱用による生活環境の破壊で「後ろ盾を失う」ことだったように思います。
そして取り組むべき課題として「"Reset" の封印」があった…多分。

自覚してあなたと向き合う…なんてことが上手に出来るワケが無いのですよ。
自覚しても何をしたら良いか分からない…だってコミュニケーションの取り方が下手なんだから、自覚でコミュニケーションが改善するはずないじゃないですか。

当然、「"Reset" の封印」は課題ですからね、その後もちょこちょこと顔を出すのですが、振り返って感じるのは、これが「意識して行動する」の具体的なひとつ目だったように思うのです。

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