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Episode 182 ルールが無いのが痛いのです。

2015年に改正施行された「道路交通法」は自転車の取扱いが厳格化されたものでした。
今まで曖昧だった自転車は軽車両だと明記され、原則として左側通行で車道を走ることがルールになったのです。

施行された当時は、車道を走ることが危険だとか、なんだかんだと不満の声が多かったのですが、ようやくそれも収まってきました。
街では路肩を広く取ってブルーラインを引いた自転車が通り易い道路が多くなり、心配された車道走行の怖さもある程度は解消されてきたのだろうと思います。

実はこの車道の取扱いについて、道路交通法改正時に議論になったことがあるのです。
車道とは、車両が通行する通行帯のことで、一般的には「車線」と呼ばれています。
その一方で、車道と歩道の間にある路肩は、安全な停車をするためのスペースで、車両の通行帯ではありません。
道路の安全上、路肩は必要で、そこを自転車通行帯にするのはどういうことか…と。

ま…仰ることはご尤もなのですが、融通が効かないヘリクツにも見えてしまいます。
その一方で、法律に「融通」は通らないという意見もわかるのです。

自転車のルールは何も難しいことを言っていない、車両は道路の左側を走る、停車中や遅い車両をパスする時は、対向車や後続車に注意した上で右側から追い抜く、車線が複数ある場合は、速い車両ほど右側に出る、それだけのことです。

たったこれだけのことを制度化するのに、こうも難しい言葉が必要なのか…。
あの時、改正道路交通法を見て、そう思ったのです。

障害者雇用の場合はどうでしょう?
基本的のことを言えば、仕事をするとは「生活する資金を得ること」だと私は思っています。
その上に「やり甲斐」だとか「楽しさ」だとかが載ってくる、単純にお金を稼ぐだけではないモチベーションみたいなものが必要で、長く仕事を続けようと思うのならば「遣り甲斐のある仕事をすることで生活資金を得る」という自転車の両輪が必要なのだと思うのです。

恐らく…仕事をするほとんどの人は、遣り甲斐のない仕事やお金が稼げない仕事はしたくないと思っているでしょう。
ガンガン稼げるけれど、カラダが持たなくなるようなきつい仕事を長く続けようと思わないでしょうし、すごく楽しい仕事なんだけど給料が安くて生活できないような仕事はしたくないワケです。

私は、今の障害者雇用は改正前の道交法みたいなものだと思うのです。
歩道も車道も右側通行も関係ない、野放しの自転車みたいなもの…とでも言いましょうか。
企業には規模に応じた障害者雇用者の割り当てがあって、でも決まっているのはそれだけの野放し状態で内容はバラバラなのです。
企業は「定型者・健常者という自動車ばかり買わないで、障害者という自転車を必要数だけ買い入れてください」って言われてるわけです。
自動車だってスポーツ用もあれば、トラックだってあって、イロイロです。
でも、道路を走る分には道交法のルールに則って走るワケです。

自転車だってスポーツ用もあれば、電動もある。
子乗せ自転車もあれば、新聞配達用なんかの営業用もある。
でも、これをキチンと運用できるルールがない…。

何のために仕事をするんでしょうね。
そして、それが上手く稼働するにはどうするべきなんでしょうね。

障害者の雇用って、数ばかりに目が行っていませんか。
キチンと自転車が走れる環境を作るためのルールが欲しい…私はそう思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/3/15

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