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Episode 178 そこにジレンマがあるのです。

ニワトリが先か、卵が先か…。
すごく単純な因果性のジレンマの問題は、発達障害を自覚するほとんどの人が経験する仕事上の大問題だと思います。

私もどれだけ自分が発達障害を持っていると会社に伝えるべきか悩んだことか…。

最初は自分自身の体調や、発達障害があるが故の得手不得手を自分だけで抑え込もうと努力するのが一般的だと思います。
自分のことを守ることで必死…とでも言ったら良いのかな。

そもそも発達障害の当事者が、自発的に積極的に自身の性格を把握することは先ずないのだろうと思います。
大概の場合、対人関係でぶつかったり、行動パタンが社会規範からはみ出してしまったりして、周囲との「ズレ」をネガティブに感じ取ることで発達障害者であることを自覚することが多いのです。

それ故に自覚症状と低い自己肯定感は「セット」になっていることがほとんどで、周囲を遮断して閉じ籠る人や自身の本当の性格に鎧を被せて別人に変身しようと努力してみたりする人がいるのだと思うのです。

本当の自分とナチュラルに向き合えないことが発達障害者の自己肯定感の低さを更に強めることになる…。

それ故に「発達障害を持つことを周囲に理解してもらわなきゃ…」と思うカミングアウトの願望を抱えることになるのです。
話して楽になりたいと思う、少なくとも私はそう思いました。

ただ、カミングアウトには幾つもの「壁」があって、それを突き崩すことが非常に難しいのも事実なのです。
特に、私のように一般枠での就労で、途中で発達障害があるとわかった場合は難しい。
曲がりなりにも仕事上の実績があり、曲がりなりにも管理職待遇であれば尚更のこと。

障害を理由に給与が下げられることはありません。
これは間違いないことです。
給与が下げられるとすれば、仕事の内容でクレームが付くということです。

管理職待遇で仕事をしていても、社内配転で作業員として仕事をしていたりするのです。
でも配転半年の業務習得の猶予期間後には、管理職としての「結果」を求められるのです。
営利企業ですから、管理職が管理職としての仕事ができないと困るのです。
そこはわかるのです。

問題は、私が幾度も二次障害を発症して、戦線離脱してしまった事実です。
そこで発達障害をカミングアウトすることで「管理職の任」は重過ぎると判断されたらどうするのか?

私の今の上長は、私の発達障害を聞いて「黙認」の立場を取った…それは部下の生活を守るためでもあったのです。
障害者手帳を所持した一般枠就労の人は私以外にもいる、会社もそれを知っていて理解してくれている…でも、未だ嘗て障害者手帳を所持した管理職はいないのです。

上長はいろいろ「探り」を入れてくれました。
でも、派手に動くことができなかったのも事実なのです。
そこで「探り」を入れるのが表立てば、私の存在は直ぐに特定できてしまいます。
特定されていい方向に話が進めば問題はない…でも、悪い方向に進んでしまったら手の打ち様がないのです。

私は、今の上長と出会い、発達障害者の就労に関しての「新たな方向性」を感じたのです。
でも、それを実現するには、私が発達障害者で手帳を所持していると会社に報告することが必要になるのです。
私は発達障害者でも、やり方次第では一般就労で管理職ができると証明できるかもしれないのです。

あくまでも会社が理解を示してくれた場合です。
そして今はまだ答えが出せていない…守るべき生活が私にはあるから。
道が繋がるかもという思いはある、そこには簡単に踏み込めないリスクもある…。

発達障害をカミングアウトすれば、収入が下がるかもしれない、でも言わなきゃ発達障害者の地位は向上しない。
発達障害をカミングアウトする人が、ごく一部の成功者になってしまうのは、公表しても揺るがない立場と収入がある人じゃないと自分の生活が脅かされるからなのだと思うのです。

このジレンマをどのように解決していくのかが、発達障害者に未来に繋がる気がするのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/3/11

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