第66回イベントレポート『一年間造作した箇所の経過観察』
2023年6月28日、くもり、時折り陽射し。
今年度の最終イベントとして、一年間造作して来た箇所が、どのような変化を見せているかを観て周りました。
イベントを開催する日の朝は、必ずこの祠に安全祈願をしています。
『事故なく怪我なく恙なく終われますように』
今回は私が主催する最後のイベントでもあるため、特に強く、山と谷の神さまに参加者の無事をお願いしました。
今日まで四年間も続けて来て、怪我はおろか、ただの一度も〝ヒヤリハット〟すら無かったことに感謝の気持ちを伝えました。
でもそれも、今日なにかあったら全てが台無しになってしまいます。〝百里の道は九十九里を半ばとす〟、〝ハシゴは最後の一段を降りる時こそ一番慎重に〟、〝勝負は下駄を履くまで分からない〟、、、座右の銘をたくさん持って、とにかく終日、安全第一を最優先にして、山へ入りました。
この森で、初めてノコギリカミキリと出会いました!
カミキリムシさんと分け合って、ちょっとだけ森の恵みを戴きました。甘いッ!!
たった1ヶ月での劇的な変化
流れが残っていないかと密かに期待していた沢の入り口付近は、完全に水が涸れていました。
ここは、今年の2月ぐらいから、イベント時の手入れに合わせて少しずつ変化を見せてくれた場所です。
しかし、良く観てみると、川底は様変わりしています。
堆積していた細かな土砂が雨に流され、埋もれていた岩が地表に現れていました。
すぐ上にある昔の堤も、雰囲気が変わっています。
周辺の様子にも、以前との違いが見られました。
5月24日のイベントの時に参加者の一人が、
「結構イイ感じ♡の沢になって来てるけど、周りの草木の葉っぱに水滴が付いてないのが不思議。ホントに健康なら、大地の底から登って来て葉の表面に水滴が残っててもいい筈なんだけど、、」
と教えてくれたのは、こんな水の雫のことを言ってくれてたのでしょうか。
と、すぐ先で、スタッフのあっちゃんが何かを見つけたようです。
ここは平成元年東日本台風で2019年の10月12日に、斜面が大きく崩落した箇所です。
ホタルです。
ホタルを飛ばす会の活動開始以来、この沢で初めて見ることが出来たのは、奇しくも、この場所、先月開通した『ホタルを楽しむ散歩道』のスタート地点でした。
散歩道の、嬉しい最初のお客さまでした。
その時の詳細はコチラからどうぞ
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と、ホタルを見つけて大興奮の渦に包まれていた、ほぼ同時刻、そこから数十メートル上流の、山側から湧き水がコンコンと流れ出るようになった場所でも、先を進んでいた方がホタルに遭遇しておりました。
ここは、2020年10月31日の第9回イベントの時、この沢で初めての水生昆虫発見となったシマアメンボと出会った感慨深い場所です。
今年になってから、見違えるように水の流れがイキイキとし始めた、両側の地形から見ても見えない地下水脈が合流していると思われる、とても重要なポイントです。
急速に改善へ向かい始めた〝きっかけ〟は、本当に小さな穴を掘る所からでした。
「ここに、ピンポイントで穴を掘ろう」
と、剣スコップの先を入れようとしても歯が立たなかった場所ですが、森の看護師@あきちゃんの、
「無理して深く掘らなくても良いのヨ♪、手のひらぐらいの穴をつくるだけで、何十メートルも深い所の地下水脈の水には、必ず伝わって影響を与えるから!♡」
とのアドバイスを半信半疑で試してみました。
ホントだったらオカルトです。
以来、私はイベントのたびに、この穴をチェックしていたのですが、周りは涸れても何故かここだけは水が残り続けていました。
しかも、少しずつですが、穴が広がってきています。
そして、飛躍的に大きな改善の引き金になったのは、周辺に仮置きして何年間も立てかけたままだった倒木を片付けたことだったのではないかと思います。
かなりの力作業になるので、参加者の顔ぶれとも相談しながら先送りしつづけていたのを、ようやっと2023年4月16日、グループ分けした男組、木こり@てっちゃん&ハンター@YUKIくんの2人が半日で運び出してくれたのです。
「あの倒木の重みで、地下の水が動きづらくなってるように感じたんですよ」
と、大ハードな作業後に涼しい顔で笑ってくれたのが超絶嬉しかった!
その時の詳細はコチラからどうぞ
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その日の午後からは、皆んなで力を合わせて周辺を整えました。
水ある場には、生きものたちがやってくる
さらに上流へ向かうと、まるで渓流のような美しい景色が続いていました。
イベントに来てくれて、たくさんの方が、たくさんの場所を整えてくれた結果を、いたる所に見ることが出来ました。
カワトンボでしょうか、この季節、この辺りに来ると、いつも輝くカラダと笑顔を見せてくれるようになったトンボです。
露わになった粘土質の層のあちこちから、水が流れ出しているのも確認出来ました。
そして、この沢の最初の分岐点でも、またまた嬉しい出会い。
ここは、『ホタルを楽しむ散歩道』の終着点でもあります。
捕まえなくても、逃げません。
源頭部の辺りまで登って来ました。
前回、手入れを行った真下の湧き水ポイントでは、岩肌を音を立てて、水が滴り落ちていました。
5月24日に、〝水の波動〟の力を試しに信じて、この水に「6/10(土)のイベントには本流の北浅川のホタルさんたちに遊びに来るよう伝えてね」と、かなり本気で祈願したのですが、その時の水はきっと、地下に潜ったり地表に出たりを繰り返してウネウネと浄化されながら下り、ホタルさんの耳に届くまで1ヶ月以上も時間がかかってしまったのかも知れません。
その時の詳細はコチラからどうぞ
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お昼は、この沢の最上部でいただきました。
一年間では効果が分からないこともある
午後からは、沢から一段高い位置に通したトラバースの小道の経過観察に向かいました。
新しい小道から観て行きます。
途中、段を切り直したり、炭を追加で入れたりして補修をしながら進みました。
年度の始めごろに造作していた辺りでは、とても嬉しい発見がありました。
コナラの実生(みしょう。種子から発芽した植物)です。
土中環境があるレベルまで良くならなければ、ドングリは芽吹かないのだそうです。
2年前の2021年5月14日、この斜面に初めて足を踏み入れた時には、かなり山の上部まで登らなければ全く見ることが出来なかった落葉広葉樹の赤ちゃんです。
その時の詳細はコチラからどうぞ
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もしかしたら、この辺りの環境が良くなり始めているのは、ここの真上の方で施した約2ヶ月かけたナラ枯れ対策の造作が、山の斜面に良い影響を与えたのかも知れません。
その時の詳細はコチラからどうぞ
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周辺には、過去に見かけなかった草たちも、元気に顔を出していました。
山の神さまは、願いを聞き届けてくれた
今日の予定していた行程の九分九厘九毛を終え、今年造作した最後の経過確認ポイントである『ほたるてらす』を見終わったところで、あまり近くまでは接近して欲しくはない恐ろしい生きものが姿を現しました。(ミミズでわありません^_^;)
巨大なスズメバチです。
「スズメバチが来ました。近寄っても逃げないでくださいねー」
と私が全員に声を掛けたのと、その声に参加者の一人が振り返ったのと、振り返ったその参加者の方にスズメバチが向かって飛び始めたのが、ほぼ同時でした。
カチッと、スズメバチの体内で何かのスウィッチが入ったのが、分かりました。偵察モードから警戒モードに変わったようです。このスウィッチが攻撃モードに切り替わったらアウトです。
私は過去に、千葉県で危険木伐採の仕事をしていた時に、片付けようと持ち上げた数メートルの枝の先を誤ってオオスズメバチにぶつけてしまった時のことを思い出しました。
真っ直ぐに向かって来た親指くらいの大きさのスズメバチは恐ろし過ぎて、私は眼を固く閉じ、その場で石のように固まり立ちすくんでいました。至近距離で何度も全身にまとわりついた後、腕に止まり、歩いて肩から首筋を通って顔に来て、眼鏡と瞼の隙間に潜り込み、ウロウロつんつんしてました。「長くて30秒だから、木になってりゃ大丈夫!」と同僚に言われ、頭の中で30を数えながら心では「僕は木だ、僕は木だ、僕は木だぁー」と呪文のように唱え続けました。時間にして3分程だったと思いますが、何回30を数えても飛び去ってくれません。
「動かないでくださいねー、石になったつもりでジッとしてれば絶ーーっ対に大丈夫ですから!」
私は声をかけながら、「あー、あの時の千葉での経験は、きっと今日の、今この時のためだったんだなあ」とか、「今朝、祠の神さまに安全だけをお願いして、余計なこと(ホタルが来ますように、とか、パチンコ勝たせて、とか)を願わなくてホントに良かった!」などと思いながら不思議と、絶対に刺されないと冷静に感じていました。初参加の方なら予測不能の事態ですが、この森に何度も何度も来て手を入れてくれた、その参加者の方を森が守ってくれないわけがない!、と根拠のない確信が理屈抜きで湧き上がっていました。
3人で周りから声をかけ続け、声を出して30を数えながらの励ましも5回目を超えたあたりで、そのスズメバチは、ようやく警戒を解いて、森の奥へと飛び去ってくれました。
ともあれ、この四年間で初めての〝ヒヤリハット〟の出来事ではありました。
来年度も宜しくお願いします。
参加者ふりかえり
作業を終えて一日を振り返り、今日の感想を分かち合いました。
♡ あらちゃん
「今日一番ワクワクしたのは、〝ホタルに会えた!〟ってことです。アタシも何年振り?!、姿カタチを見た時に思い出したんで、昔見た時があったんだなあと思いますけれども、ホントに、もう、ただ、「四年間ごくろうさま!」ってホタルが伝えに来てくださったような気がします。
あと、スズメバチ、来たんですけども、ビックリしたんですけども、皆さんが「動かないで!」ってズーッと言ってて下さったので、それを信じ切って、その指示通りにしたおかげで、アタシも落ち着いて、動かないでいられました。結構、顔の周りもブンブン飛んでたんですけど、そのうち、羽根が涼しくて、、「あっ、コレ、涼しい、気持ちいい!」って、、、。皆んなが声をかけ続けて下さったんで助かりました。ホントに感謝です、ありがとうございました」
♡ こんちゃん
「今日は一日お疲れ様でした。上流まで初めて行きましたけども、いい所ですが、まだ表層から水が流れてるから、もう少し育ててあげたら良い川に、沢になってくるんじゃないかと思います。それを予期するかのようにホタルが3匹いたっていうのが良い先駆けじゃないかなと思います。これから、もっともっと増えて、良い環境になっていけばよいかなと思います」
♡ あっちゃん
「おつかれさまでした。本当に最後の最後で、ホタルを見ることが出来て、良かったです。安心して次の代のホタルの会にバトンタッチできますねっ!。ホタルの会の四年間、楽しかったし、大好きな会だったし、いい時間でした。
私も今回でスタッフを引退しますが、会員のみなさまからいただいた卒業記念の温かい贈り物も大切にします。
本当に感謝しかありません。ありがとうございました」
主催者ふりかえり
「私が主催する最後のイベントだったので、とにかく何より、〝安全第一〟で、一度も事故なく、怪我なく、恙なく、66回目も無事に終わらせることが出来たことに感謝します。
今まで、森の手入れをご一緒していただいた多くの皆さま、本当にありがとうございました。
最後の最後で、初めて顔を見せてくれたホタルさんたちにも、有難うの気持ちを伝えたいと存じますが、大感激したのと裏腹に、申し訳ない気持ちが心いっぱいに込み上げて来ます。それは、この沢の今現在の状況では、折角いのちを賭けて訪れていただいても、トンボさんもホタルさんも、次の世代に命を繋ぐことが出来ないからです。
『枯れ沢復活&ホタルを飛ばす会』の目標は、〝ホタルが棲息できる環境を取り戻す〟ことです。その意味では、一時的ではあれ、枯れた沢が復活する兆しを見せれば、ホタルたちは飛んで来る、ということが今回証明されただけに過ぎないのかも知れません。私の役目は前座で、真打ちはこれからが本番になることと思います。
前回のイベントレポートには書きましたが、
いったい何故、沢の水は枯れてしまったんだろう、、、、?!
私がたどり着いたその答えは、
森(山)と人間は繋がっている、、、、水が涸れたのは、人の心も枯れ始めているからだということ、、、。
です。
ちょっとオカルト的でスピな話しになってしまいますが、最後に、もうひとつだけ。
イベントが無事に終了して解散した、朝の集合場所で、ふいにホタルが一頭、飛んできました。沢で確認した3頭は、地形的に見ても重要なポイントで、かつ数年かけて環境改善に注力して来た場所ばかりだったので、よくぞ此処に現れてくれた!、と感激こそすれ決して不思議ではないことだったのですが、その1頭だけは違いました。
まるで飛脚か何かのように、その場に居合わせた一人の男性に向かって行ったのです。
その方は、第1回イベントで森に集まってくれた5人の方々(私は勝手に〝神5〟と呼んでます)のうちのひとりで、遠く遥々と埼玉から来てくれたEちゃん。いつも陰に日向に遠くから会を支え続けてくれた方でした。
そのホタルがEちゃんの周りを一周して緩やかに飛び去って行くのを見送りながら、信仰心の薄い私ですら、「ヤッパシ、四年間のお礼を伝えに来たんだな」と感じることを禁じ得ませんでした。
自然の神さまへ、最大限の感謝の気持ちを送ります。
どうもありがとうごさいました!」
参加していただいた皆さま、本当に一日お楽しみ様でした。
活動に興味を持たれた方は、是非一度、森に来てくださいね!!
今後の活動予定
来年度の年間活動期間は2023年7月から2024年6月末です。年度内で最初に参加する際に、年会費(または単日参加日)をお納め下さいますよう、お願い致します。
◎ 来年度の日程は、
7/17 月曜日祝日
7/27 木曜日
8/9 水曜日
8/20 日曜日
まで確定しています。
一人でも多くの方のご参加を心よりお待ちしております。
協力感謝
『枯れ沢復活&ホタルを飛ばす会』は、任意団体です。
公益社団法人 国土緑化推進機構様による緑の募金事業の支援を受けています。
一般財団法人セブンーイレブン記念財団様の〝環境市民活動助成〟を受けています。
支援ありがとうございます。
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