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「贈り物本屋」を具体的にどのように作ろうと考えているのか、について。

こんばんは。贈り物本屋『Hotaru』の井上拓美です。

noteやTwitterを通じて連絡をくださる方がいたり、定期的に開催している「BAR Hotaru」にもたくさん人が集まってくださったりと、少しずつではありますが、「本の贈り物」の可能性を日々感じています。


「本を贈る」という行為、それは実際に「モノ」としての本を贈ることはもちろんですが、「モノ」ではなく、たとえば本を勧めるなど「本の情報」でも良い。誰かにとって新しい本との出逢いを作る行為はたくさんあって、そういった行為はすべて「贈り物」なんだと思います。贈り物本屋の形は、本当にたくさんある。

BAR Hotaruでも、本を普段読まないような人が本を買い始めたり、誰かが薦めていた本をその場で買うなどをする人がいたりと、いろんな形の「贈り物」がすでにその場所にあると感じています。


さて今日は、具体的に僕たちが今どんな贈り物本屋を作ろうと考え進めているのかをお伝えできればと思います。


僕が一度投稿したnoteでもお伝えした通り、贈り物本屋「Hotaru」では、人が贈り物をするときの「ニヤニヤ」をデザインすることに決めました。

先に伝えたいのが、僕らが今回提案する贈り物本屋「Hotaru」の形は、あくまでも一つの形であって、「ニヤニヤ」をデザインする本屋の形は人の数だけあると思います。なので今回は、僕が実際に「本の贈り物」をしたときの原体験を元にした、一つの形としての贈り物本屋「Hotaru」を提案したいと思っています。


頭の中で想像しながら読んでみてください。


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駅からすぐ近く。いつもなら見逃してしまうような場所に古いビルが一つ。贈り物本屋「Hotaru」はそこにある。

エレベーターに乗る。このエレベーターも古く、間違った階のボタンを押したら、二回続けて押しても消えないタイプのやつだ。それぐらいには古い。

本屋の階まで上がった。エレーベーターの扉が開く。目の前に、古いビルならどこにでもあるようなドア。ドアの端っこに、贈り物本屋「Hotaru」と書いた小さな看板だけがあった。

入り口は暗く、入ると目の前にはたった一行の文章が小さく壁に書いてあった。


「大切な人たちの顔を思い浮かべて10秒間目をつぶって下さい。」


10秒が経ったので、さらに奥へと入ってみる。

そこに壁中に埋め尽くされているのは、「本」ではなく、何やら200字ぐらいの「文章」。

それらは全て本の中にある一文らしい。「本」ではなく「本の中の文章」だけがひたすらに壁を埋め尽くしているのだ。

つい大切な人たちの顔を思い浮かべながら、贈りたい言葉を壁中を埋め尽くす一文の中から探していた。「この言葉はこの人に贈りたい。あの人にはこの言葉が合うだろうな。」と収拾が全くつかない。

いつの間にか三種類の文章を手に取ってしまっていた。そしてそのまま三つの文章をレジに持っていく。

レジには贈り物用にと、数種類の中からブックカバーや包装、そしてしおりなどを選べるようになっていた。イラストや写真、総柄のものなど、色々なクリエイターの方々とコラボしたやつらしい。

贈り物用の包装が可愛い本屋さんはあまりみたことがなかったので、選んでいる時間は、相手の顔を思い浮かべてはついニヤニヤしてしまう。

それぞれの顔を思い浮かべながら、喜んでくれそうなブックカバーやしおりを一つずつ選んだ。

お金を払うと、本がどんな本なのかを知ることもないまま、既にブックカバーや包装をされた状態のものを受け取った。Hotaruでは相手がこの包装をとって中身を取り出すまでは、贈る側も何の本を贈ったのか分からないらしい。

この中身の分からない本の入った紙袋を持ってお店を出た。僕は、早くあの人に贈りたくて仕方がなかった。


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これが今、僕らが考えている贈り物本屋『Hotaru』の形。この本屋が実際にうまくいくかどうかはわからない。だからまずは、小さく1ヶ月〜2ヶ月間の期間限定で贈り物本屋をやってみようと思う。

たくさんの人が訪れて、まだまだ続けたいって思ったら続けるし、人が来なくて今回で終わろうかなって思ったら、また違う形の贈り物本屋を作れば良い。


僕らはただ、「本の贈り物」をする人を増やしたいだけだから。


次回のnoteは、1ヶ月〜2ヶ月間の期間限定で開く、贈り物本屋「Hotaru」に置く本をどのように選書して、どう集めていくかを、今回Hotaruを僕と共に考え、始めることを決めたSmilesという会社の田原さんに語ってもらおうと思う。


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