舞台は大詰め、大一番/将棋
玉を「詰める」
将棋における勝敗
将棋の対局で、決着がつく一番の要素は、
相手の玉将を「詰み」にすることである。
これはチェスにおけるキングをメイトすることと、
ほぼ同義である。
玉の逃げ道をなくして「詰み」の状態にする。
これを目指して将棋の対局は進行する。
私のような将棋をまったくかじったことがない人間でも、
「詰将棋」や「一手詰め」といったことばは
聞きなじみがある。
「詰み」のパターン
基本的な将棋の詰みパターンは、
先ほど引き合いに出したチェスにおけるメイトに似ている。
相手の玉将の行き場をふさぎ、
かつ王手をかけている駒を取ることもできない――。
こういった状況が最も詰みやすい。
また、桂馬によって駒を飛び越え、
玉将は味方の駒によって逃げられない、といった詰み方も、
チェスにおけるスマザードメイト(窒息メイト)を彷彿とさせる。
<第1図>において、
☗2三桂と打つと、相手の玉将は「詰む」。
守備を味方の駒で固めていたはずが、
逆に逃げ道をふさいでしまう結果となっている。
また、銀将で桂馬を取ることもできない。
4四の角行がにらみを利かせている。
「金将」の威力
「頭金、腹金、尻金」
金将は守備にも強い性質をもつ駒であると同時に、
相手の玉将を詰ませやすい駒とされる。
代表的な金による詰ませ方が、
「頭金、腹金、尻金」と呼ばれる3パターンである。
金将は、斜め後ろの2マス以外の方向に動くことができる、
可動範囲の広い駒である。
では、<第2図>の盤面で、
玉将を「詰ます」にはどこに金将を打てばよいだろうか。
これは、「頭金」と呼ばれるテクニックで、
☗3二金と打つと、
金の動ける範囲から分かる通り、玉将は逃げ場を失う。
また、玉将自ら金将を取ることもできない。
後ろにと金が控えているためである。
同じように金将の持つ可動範囲を生かして、
<第3図>では「腹金」、<第4図>では「尻金」で、
玉将を詰みにもっていくことができる。
さいごに
相手の玉将を詰ますためには、
①玉将の逃げ場をなくす
②王手をかけている駒が取られないようにする
この2点が重要な要素となってくるだろう。
最後に<第5図>を示して終わりとする。
大駒である角行を使った「3手詰め」の盤面である。
将棋における「詰み」は、
勝敗を決める究極の目的であり、
まさに将棋のエッセンスの詰まった要素なのだ。
―B.―
<第5図>の手順
☗3一角成 ☖同玉 ☗3二金(「頭金」)
あるいは
☗3一角成 ☖1一玉 ☗2二金
特に前者の詰ませ方は、
大駒である角行を犠牲にして「頭金」を狙うという、
鮮やかな手筋である。
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