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僕らの金メダル 14話

12月に入り、すっかり秋から冬へと木々の表情も変わり始めていた。
僕らの参加できる大会も残り数試合となっていた。
この日の大会は、参加チーム数32という割と大きな大会だった。優勝を2回体験した僕たちは、この日も勿論、決勝リーグに上がりたいと考えていた。ところが、予選メンバーを見て目を疑った。対戦相手は、あの全国3位のチーム、1度は勝てたけど…楽には勝てないだろう。もう1チームは、夏に善戦したものの負けてしまった相手だ。厳しいブロックに入ってしまった。もう1チームを含め、決勝リーグへは1チームしか上がれない。
1試合目…今期6度目の対戦だ。先に2点取られてしまった。しかし、四番の同点2ランホームランで追い付き、キャプテンが決めた奇跡のホームランで逆転した。2度目の勝利だ。
2試合目…激戦区だったので、このチームは前の試合で引き分けていた。だから、この試合で負けさえしなければ予選を突破出来るわけだ。1点リードされたまま最終回をむかえた。このまま終わってしまうのかと思ったが…またもやキャプテンの好走で同点にした。1対1のまま引き分けた。勝つまではいかなかったけど、予選通過することは出来た。かなりの疲労感でいっぱいだった。
準々決勝…普段なら楽勝出来る相手に、1点差に迫られた。ファーストの彼は、なかなか打てなくて…すぐに涙を見せてしまう。この試合、打順も下げられた。悔しくて…悔しくて涙が止まらない。監督に怒鳴られ、悔しくて顔をあげられない。いつも、誰よりも声を出し、チームを盛り上げ引っ張ってきたのは彼だ。監督の「お前が盛り上げなくて誰がやるんか!!」の言葉に…歯を食いしばり意地を見せた。フルスイング…ホームランだ。彼に笑顔が戻る。そこからチームも盛り上がり、7対2で勝利した。
準決勝…前回、投手戦で引き分けたチームだ。初回、3点を先制した。これはチャンスだ。…なのに、守備でエラーが続いた。サードの暴投、バッテリーエラー、基本的なプレーをおろそかにした結果だった。結局、3対3の引き分け。タイブレークに持ち込んだものの、相手チームの勝負強さの前に…崩れ散った。
3位という結果で終わった。悔しさもあったが、内容の濃い試合の数々にヘトヘトになりながらも満足していた。
僕らには、あと一つと大会を残すだけとなった。

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