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政治家と業界団体の付き合いは悪か!?

「国会がない時期、国会議員は何をしているの」。よく聞かれる質問です。ある一日の私のスケジュールをご紹介しながら、この質問に答えてみたいと思います。

閉会中のある一日のスケジュール

9月22日、早朝から富士山の大沢崩れの視察に出かけました。大沢崩れ周辺では豪雨や雪崩による土砂崩れが起こりやすいため、砂防ダムや遊砂地がつくられています。

我々政治家は道路事業や川の治水事業については頻繁に見て回るのですが、砂防事業については大規模な災害が発生しない限り住民の関心が集まりにくいこともあって滅多に見る機会がありません。時間がある閉会中に一度は見に行かなければならないと思っていました。

現場に足を運んで、国交省の砂防事務所や地元の建設土木会社の関係者が人知れず尽力されている姿に感銘を受けました。まさに縁の下の力持ちとも言うべき存在です。こうした取り組みを継続的に支援するのは地元議員の責任です。

建設業協会からは、災害が起こった時に契約書なしで復旧にあたるのは自分たちなので、平時から地元企業優先で仕事を発注してほしいという要望をいただいています。

富士山の視察を終えた夕方は、静岡市で行われた税理士政治連盟の会合に参加して税理士の方々の話に耳を傾けました。最も話題となったのは10月1日から導入されたインボイス制度です。多くの中小企業を顧問先に持つ税理士の方々の話は、中小企業の実態や税制の現場を知る貴重な機会です。

民主党時代の苦い経験

建設業協会、税理士会などのいわゆる業界団体と政治家が関係を持つと癒着だと捉える向きがあります。私はむしろ彼らの話を政治家はしっかり聞くべきだと考えています。

そう考えるのは民主党政権の苦い記憶があるからです。自民党とは異なり、業界団体との関係が薄かった民主党は、政策の焦点を個人に当てて実行しようとしました。例えば、医療であれば医師会ではなく患者の立場で、農業政策であれば農協ではなく農家の立場でという考え方です。

診療報酬の改定、農家の個別所得補償などの政策を実現しようとしましたが、現実には国民個々人の視点といっても実に多様で意見の集約が難しく、公平な制度を作ることの難しさを痛感しました。医師会や農協は所属する会員(組合員)の意見を集約し、効果的な政策を提案する能力を有しています。私はその声を聞かないという選択肢はないと思います。

団体を代弁するだけではダメ

もちろん、救急医療を担う総合病院の医師、農協を通さずに消費者とつながっている農家など、業界団体から聞くことができない声を積極的に聞きに行く努力は必要です。時折、自民党の会議で団体からの要望をそのまま言っている人がいますが、私は慎むべきだと思います。政治家は団体の要望を聞き、団体以外の声も踏まえた上で、自らの考えを発するべきです。この辺りは「政治家の矜持」が問われるところだと思います。


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