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温暖化で富士山が崩れる?トイレ問題にも国が本腰をいれる時

先日、富士山に行ってきました。自分の足で登ったわけではなく、食料やガスボンベなどを運ぶブルドーザーに便乗して富士山の状況を確認してきました。

富士登山を支えるスタッフの存在

ブルドーザーで登った率直な印象は、富士山に物を運ぶのがこんなに大変なことだったのだということです。登りも下りも約3時間。安全で余裕のあるコースかと思ったら大間違いで、熟練したドライバーが時には切り返しをしながら山の稜線に沿って細い道を登っていきます。山小屋に物資を運んだブルドーザーは、帰りはゴミを積んで何とバックで下って行きます。ドライバーの技術の高さには驚きました。

富士山に登る多くの方々が食事や休憩をできるのは多くの方々の支えがあるからです。国立公園は環境省、道路は静岡県や山梨県が管理していますが、山小屋などの運営は民間の方々が行っておられます。彼らの苦労を知ると、頂上の自動販売機の500円という値段は安すぎると感じます。

日本人が入山料を払わない悲しい現実

山に登る前に残念な話を耳にしました。富士山の五合目では協力金という名目で1人1,000円の入山料を徴収しています。最近の登山客の約半分は外国人で、彼らの多くは協力金を払っています。払わないのは一部の日本人だというのです。徴収所の方は「今朝も道の反対側を通ってスルーしていく親子連れがいた」と残念そうに話していました。家族で登山する場合の負担感は分かりますが、富士山に登る人が払えない金額ではないはずです。子供は親の背中を見て育つと言いますが…。

協力金はゴミの撤去など富士山の環境整備に使われています。ゴミ拾いのために毎日富士山に登っているという方もいて思わず頭が下がりました。海外のスポーツ観戦でごみを拾って帰る日本人が称賛されていますが、世界文化遺産の環境整備に協力しない日本人が少なくないと聞くと恥ずかしくなります。

温暖化で山頂が崩壊!?

温暖化の影響が富士山でも色濃く現れていることを感じました。ブルドーザーで登ると植生の変化がよくわかります。頂上に近づくにしたがって植物が少なくなるのですが、ここ10年ほどで植物の生育範囲が頂上付近まで上がってきているとのことでした。

環境の変化によって危険性も高まっています。富士山の頂上の地面は年中凍っている状態でしたが、近年は夏になると地表から1メートルほど凍土が溶けて、山頂付近の石積みや登山道の崩落が毎年のように発生しています。

数年前に大規模な登山道の崩落の際に修復のお手伝いをしていたので知っているつもりではありましたが、山頂を訪れて山小屋を管理している方々の危機感の大きさを実感しました。環境省と相談してできる限りのことをしたいと思います。

崩落したことのある登山道

山頂のトイレは未だに汲み取り式

富士山のトイレ問題はこれまでも度々注目を集めてきました。現在、頂上ではトイレ利用に300円かかります。管理にはかなりの手間と費用がかかりますので、1回300円ではまかなえていないのですが、値段を上げると登山客がトイレ以外の場所で用を足してしまうというのです。

須山口の頂上(富士吉田口も同じ)にはバイオトイレが2箇所、汲み取り式のトイレが10箇所あるようです(注:現地で伺った数字です)。環境面や負担面ではバイオトイレの普及が望ましいのですが、その能力には限界があり、汲み取り式が今も数多く残っています。汲み取ったものを下まで降ろす作業は大変で、山小屋などの大きな負担になっています。トイレ問題は富士山の環境問題そのものです。バイオトイレの補助拡充や能力向上に国としてさらに取り組む余地がありそうです。

何しろ富士山の頂上は私の選挙区(人は住んでいませんが)です。富士山の環境は多くの関係者の努力で保護されてきました。これからも世界中の人たちに富士山に親しんでいただくために国が本腰を入れる必要性を再認識しました。富士山の安全な登山環境の維持と環境保護に取り組んでこられた方々のご恩に報いるためにも、政治家として全力を尽くしたいと思います。


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