たのしい大学体育 タグラグビー 序章

大学時代の「タグラグビー」の授業についての話。

大学3年の後期、体育の単位がまだ残っていた。
体育の授業には人数制限があり、抽選によって履修の可否が決定される。基本的に1年生及び未履修者を優先的に受け入れるため、2年次以降の履修は急に狭き門となる。通常は1コマ分の履修で充分なので特に問題にならないのだが、私は教職過程を別にとっていた為他の人よりも1コマ余分に単位が必要だった。毎学期、必修科目の穴を見つけて抽選に応募していたのだが、上記のシステムにより遂にここまで2コマ目の履修が叶わず、今学期中に単位を取得しなければ教育実習に行けないという危機的状況に瀕していた。

そして今回も見事抽選から漏れて体育の路頭に迷うことになった。
お得意の来期取ればいいやはもう使えない。
抽選結果の掲示の横に貼り出された定員割れしている授業を探した。学部3年にもなると必修科目も少なくなり、時間割にも余裕が出てきたことが救いだった。なんとか1つだけ他コマと被らない授業を見つけて、ここに飛び入り参加することにした。
「タグラグビー」。全く知らない競技、という訳でもなかった。小学校の体育やレクで何度か遊んだ覚えがある。細かいルールは覚えていないが、とにかく全力で走らなければならない競技だったと思う。1コマを全力で走りきる元気は無いなぁ…という考えが頭を過るがもう履修する他ない。初回授業に飛び入り参加することにした。

タグラグビーの初回授業は木曜2限、サッカーグラウンド集合だった。1限の専門科目(専門科目で唯一評価 良 を下回った)を終え、集合場所に向かう。誰もいない。どうやら1番乗りだったようだ。とりあえずベンチに腰をかけて授業開始まで待った。
授業開始近くになってぽつりぽつりと学生が集まる。
授業が始まって暫くして先生が来る。
がっしりとした壮年の、如何にも体育教師といった風体だった。
この時点で学生は私を含めて男子3人女子2人の計5人。
履修希望者は4人だったらしい。
私は飛び入りなのでその旨を伝えると全然いいよとのこと。

「ただ、困ったなぁ」と先生。
なんでもタグラグビーは1チーム5人制なのだという。
つまり最低でも10人はいないと競技として成り立たない訳だ。
他に移ってもらって今回は閉講でもいいかな?と我々に問いかける。
他の受け入れ可能なスポーツは他のコマになってしまうらしい。
それはまずいと私は食い下がった。
すみません、教職が絡んでて今期中にとらなくてはならなんですが、ここしか空いていなくって、と
また、女子2人は別キャンパスの看護科の子らしく、やはりこの時間がいいとのことだった。味方が居てくれてなんと心強いことか。

わかりました。それではなにはできるか考えておきますね。
来週もこの時間に、ここに来て下さい。
と先生が言う。心なしか少し嬉しそうだった。

自己紹介をして今日は終わりましょう。
それぞれが自己紹介を始めた。
まず女子2人は看護科の1年生でタマイさんとカトウさん。
男子は文学部の1年生のサッカーサークルのイトウくん、2年生の法政経学部でアメフト部のオカくん。私が3年生で最年長だった。
みんな仲良くやっていけそうな気がする。


先生を含めてたったの6人。
半年間のたのしい大学体育が幕を開けた。



続く

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