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泉鏡花『春昼後刻』あらすじ

『春昼後刻』
{あらすじ}
『春昼』の続編。

―――通り雨はすぐに過ぎ去った。
寺を辞した「散策子」。

ゆるゆると帰る途中、土手にいたのは紫色の傘を傍らに広げた儚げな美女。
彼女は住職の奇怪な話に聞いた「玉脇みを」その人だった。

絵を描く趣味があるというみをがくったくなく笑い見せてくれた手帳には無数の〇☐△。

現実には客人と一言の言葉も交わしたことがないはずのみをがなぜ?
彼女は客人の見た幻覚と通じ合っているのだろうか。
そして意味深な言動で散策子を翻弄するみをは近くにいた角兵衛獅子の子どもを伴って更に不可思議な運命に自ら入っていく。

逗子のきらきらした海辺で散策子が見た、切ない幸福感にゆっくりと沈み行く人々の魂。

”玉脇の妻は霊魂の行方が分かったのであろう。”
そう物語を締めくくる鏡花。
人生は長い夢を見ているようなものと思わせる小説。
この夢が覚めたら霊魂のあるべき場所が分かるのかもしれない。


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