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泉鏡花『春昼』あらすじ

『春昼』
{あらすじ}
明治時代の逗子が舞台。
のどかな春の昼。

ぶらぶらと散歩をしている主人公の「散策子」は行き着いた山寺の住職から不思議な話を聞く。
それは昨年この寺に逗留していた若い「客人」の奇妙な体験についてだった。

「客人」は道ですれ違った土地の有力者の妻「玉脇みを」と不気味で神聖な夢うつつの世界で思いを交わす。
夜の山中で艶めかしくも妖しいみをの背中に△☐〇と指でなぞる客人の分身。
あれは幻だったのか。
発狂した客人はその後……。


そして住職は散策子に言う。
その客人とは、
「丁(ちょう)ど貴方のような方で」と。


逗子駅落成式のお祭り騒ぎを離れ、ひとけのない寺で聞く美しくも奇怪な魂の交感。
散策子が話を聞き終わる頃、外には通り雨の音が聞こえていた。
雨はまるで美人(たおやめ)の霊魂がゆっくりと道をかよっているようであった。


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