社会不適合者すぎて借金返せなくて金融ブラックになった方法

こんにちは、バリバリ現役ブラック太郎の星野です。

今回は、「なんかいつもお金ないなぁ」「今月家賃払えないなぁ」「借金しちゃおうかなぁ、どうしようかなぁ」という段階の人に、【ブラックリストに載った方法】を教えたいと思います。

前提として、僕が借金でやらかした原因は、起業でも投資でもなく、酒や風俗やギャンブルでもなく、詐欺に遭ったとか、誰かに貢いだとかでもありません。

シンプルに、お金の管理がずさんだっただけです。

生活にいくら必要なのか考えもせず、必要な量の労働をサボっただけです。

これで20代30代の貴重な時期の大半をぶち壊しました。

「冗談でウンコ踏んだら感染症で足切断する羽目になった」ぐらい情けない話です。

こんなつまらない理由でブラックになった人は他にいないかもしれません。

しかし、当時の僕のように

・仕事が大嫌い
・お金の管理がド下手
・何か一発逆転したい

という特性の持ち主は、決して少なくないと想像します。

そういう(特に若い)人には、こんなどうでもいいことで僕のように落ちぶれないでほしいと切に思うのです。

だからこれを書いています。

「自分もそれに近いかもしれない」と思い当たるところがあるならば、1回はこれを読んでください。

この記事は、今の僕なら絶対に回避できたであろう重大な失敗が満載です。

よって、この記事を読んでおけば、例えあなたがどんなにお金の管理が苦手でも、どんなに低収入でも、金融ブラックに載る災禍を回避できる可能性が格段に高まるでしょう。

多分これから何度でも同じことを言うと思いますが、はっきり言って、ブラックリストに載った者に人権はありません。

一応憲法上は「人権は誰にでもある」ということになっていますが、現にブラック太郎やってる当事者として、僕は断言します。

ブラック太郎に人権はないです。

金融ブラックになった瞬間、「普通の幸せ」「平凡な人生」、そういったものへの道は絶たれるものと思ってください。

残酷なようですが、日本は資本主義社会であり、資本力が底抜けにマイナスの人間は社会の一員ではありません。

ゴミです。

「なんてことを言うんだ!」と思うかもしれませんが、どうか一旦落ち着いてください。

僕は決してお金のない人をゴミ扱いしていません。誓います。

僕自身がゴミ扱いされてきたんです。これは当事者としての証言です。

(あとくれぐれも言っておきますが、僕も自分のこと普通にゴミだなぁと思います)

さて、本題に入りましょう。

初めて借金をしたのは十数年前のこと。

僕は成り行きで就職した会社にウンザリしていて、約100万円の貯金だけを握り締めて仕事を辞め、社員寮から引っ越してしまいました。

当時の僕は自分でも意味不明なレベルで馬鹿だったので、100万という金額で何ヶ月生活できるかなんてさっぱりわかっておらず、何なら「一生遊んで暮らせる」ぐらいの感覚で過ごしていました。

いや、本当に自分でも書いてて突っ込みたい所は色々あるんですが、上述の通り、当時の僕は信じられないほどの理解不能者だったので、そのようになってしまいました。

そして、多分半年ぐらい無職だったと思うのですが、その辺りでとうとうお金が全くないことに気づき、それはもう大発狂です。

住んでいるアパートの家賃が払えない。

光熱費が払えない。

携帯代が払えない。

ついさっきまで当たり前に食べていたコンビニ弁当が買えない。

「え、じゃあどうしろと?死ねと?」とかなんとかわめきながら頭を掻きむしって部屋の中をぐるぐる回りました。

そんなことをやっている間にも、郵便受けには請求書がみるみる溜まっていき、「督促状」「重要なお知らせ」など、黄色や赤のきな臭い封筒が届きます。こういうのは慣れていないと、届いただけでゾッとします(慣れていいもんじゃありませんが)。

「わかってる、わかってるよそんなことは!そんな何回も言われなくたって、金を払わないといけないのはわかってるよ俺だって!でも、でも……今までそこに無尽蔵にあった金が、なぜかないんだよ!ちょっと考える時間をくれよ!」

パニックに陥る星野太郎。嫌いなものは努力と仕事。好きなものはおっぱいと乳首。

更に追い打ちをかけるように「差し押さえ」だの「法的措置」だのといったパンチの効いたワードを盛り込んだ最後通告の書類がどこからともなくやって来ます。

星野太郎は叫びました。

「うわあああああああ!!怖い!もう嫌だ!手紙なんか見たくない!見たくない!いくら金払えって言われても、払えないもんは払えないんだよ、クソ野郎が!そもそもお金なんてモンがあるからこんなことになるんだ!お金なんか大っ嫌いだ!お金って言葉を聞いただけで寒気がするんだよぉーー!!」

今までもこれからも経済の恩恵をモロに受けて生きているくせにこの言い草です。気持ち悪いですね。

そしてとうとう請求書のプレッシャーに耐えられなくなった星野太郎は、信じられない行動に出ます。

なんと、請求書や督促状や支払用紙を全てまとめて捨ててしまったのです。

「はあ、はあ……これでスッキリしたじゃないか。ほら、あんな気味の悪い手紙なんか、見た目が怖いだけで、なくなっちまえばどうってことないじゃないか!所詮はただのコケ威しの紙っぺらだ!ふははははは!!」

と、一旦は現実を忘れて比較的平常な(?)気分に戻ることはできたものの、生活に必要なインフラの支払用紙まで捨ててしまったため、お金が工面できないだけでなく、支払方法そのものすらなくなってしまいました。当たり前ですね。

すると、まずネットが繋がらなくなり、大好きなネットゲームができなくなりました。

次にガスが点かなくなり、水でシャワーを浴びなければならなくなりました。

その後、携帯も繋がらなくなり、いよいよ誰とも連絡が取れなくなりました。元々引きこもりに近かったと思いますが、社会から隔絶されたような気がして、一気に心細くなりました。

せめてどこかのWi-Fiスポットで検索エンジンだけでも利用しようと、携帯を充電していたら、タイミングよく電気が止まりました。

部屋は一気に真っ暗になり、エアコンも止まり、携帯も充電できません。

「もおおおおお!何だよ何だよみんなして!!クソ!クソ!クソ!クソ!どいつもこいつも死んじまえー!!」

と、1人で渾身の逆ギレをぶちかました星野太郎は、アホなので携帯の充電ケーブルを引きちぎってしまいました。

ちなみにその時の僕はコンビニのおにぎりを買う経済力もなかったので、充電ケーブルも買えません。

散らかったワンルームアパートの部屋の中には、引っ越してきた時のまんまのボロボロの段ボールと、布団ぐらいしかありません。

「こんなはずじゃなかったのになぁ……。金持ちになって、お洒落な家具も買って、そのうち車で一人旅とかするつもりだったのになぁ……。あれから何にも変わってないのはなんでなんだろう。それについこの間までお金に困ったこともなかったのに、なんで急にこんなふうになっちゃったんだろう」

そこで、とりあえず寝っ転がって今までどうやって生活していたかを考えます。
すると、2時間くらいで答えが出ました。

「ああ、そうか!俺は今まで貯金を切り崩して生活していたんだ!その貯金が底をついたんだ!」

なぜか今になってそのレベルの当たり前すぎる事実を認識するんですね、このアホは。

会社を辞めたことで労働から解放された気分でいた星野太郎は、自分が空を飛んでいるのではなく、自由落下していたに過ぎないことを受け入れるのにかなりの時間を要しました。

そして泣きながらタウンワークをめくり、アルバイト募集中の飲食店に応募するんですが、面接で「月いくらぐらい稼ぎたいですか?」と聞かれ、今思えば明らかに23万ぐらい必要なのに「12万あれば…」とか答えてました。

なんで12万でいけると思ったのかは自分でもわかりません。馬鹿だからとしか言いようがありません。

で、無事に受かったはいいものの、いざシフトを出す時にはなぜか週4か3くらいで、勤務時間もせいぜい5時間とかにしてしまうんですね。よっぽど働きたくなかったんでしょうね。

結果、月収はおよそ8万程度となったのですが、どうにかこうにかインフラだけは復旧させると、何を血迷ったのか「よし、これで大丈夫!」とか思ってる訳ですよ、この男は。

再三になりますが、当時の僕の脳みそは完全に支離滅裂です。自分でも全く理解できません。とにかくそういう男だったのです。

更にはこの期に及んでいまだに生活費を計算することもせず、家賃を払う前にコンビニで弁当やジュースやお菓子や煙草を買いまくり、夜遅くまでゲームなんかやってる訳ですよ。

こんな調子で家賃を払えないままなぁなぁに暮らしていると、そのうち大家さんから電話がかかってきます。

この頃の星野太郎は意味不明なので、とりあえずシフトを増やして支払いの目処を立てるとかすればいいものを、大家さんに何と説明していいかわからないので電話をひたすら無視していました。

そして、家賃滞納が3ヶ月にもなってくると、今度はいよいよ大家さんが直々に乗り込んでくるんです。

10分ぐらいずっとチャイムを鳴らされ続け、こちらはもう一生懸命布団に包まって居留守に徹する訳ですよ。

そのうち「鍵開けて入りますよ」と露骨な半ギレトーンで言われ始め、とうとう観念した布団包まり太郎は恐る恐るドアを開けました。

その時の大家さんの表情ときたら、まさに「ゴミを見るような目」をしてるんですよ。

とりあえず「すいません…」と言ってみるも、赦してくれる気配が1ミリもないんです。

こちらは何とか情に訴えて上手い言い訳しようとあれこれ悩むんですが、そんなものは一切聞く耳持ってもらえず、「これどうするつもりなんですか?」「出て行ってもらいますよ」「出て行くにしてもどうやって始末つける気ですか?」的なことをひたすら詰められ、ただでさえ馬鹿なのにもう頭真っ白です。

実際、その場がどうやって終わったのか、記憶がありません。

普通ならさすがにここらで観念して頑張って働くなり実家帰るなりして、何かしらどうにかすると思うんですが、星野太郎は意味不明なので、引き続きゲームをやっていました。

なんでやねん。

自分でも突っ込まずにはいられません。

『中間管理録トネガワ』に「多重債務者の習性は常人が想像するより遥かに意味不明だ」というエピソードが登場しますが、本当にあんな感じです。誰も手が付けられません。

『中間管理録トネガワ』©福本 伸行, 橋本 智広, 三好 智樹, 萩原 天晴

さて、そうこうするうちに、また1ヶ月が経ちました。

すると、一体どうしたことでしょう。溜まった家賃は3ヶ月分だったはずなのに、たった1ヶ月目を離しただけで4ヶ月分になっているではありませんか。

イリュージョンです。タネも仕掛けも脳みそもありません。

さあ、このままでは怒り狂った大家さんがパワーアップして帰ってきてしまいます。

太郎は再び怒られるのがどうしても怖くて、とうとう消費者金融に手を出したのでした。

審査が緩く、即日借りられるという誰もがよく知るローン会社、A社の無人ブースに、処刑台の階段を上るような気持ちで入りました。

僕が子供の頃、母はこんなことを言っていました。

「サラ金に手出すぐらいだったら自殺しろ!神様は全ての行いを見てるんだよ!キエエエエエ!」

母は当時の僕から見ても究極に意味不明太郎だったので、あれは多分独身時代にサラ金で失敗してると思います。

そして、その失敗から得ている教訓が雑すぎる点を見るに、母はどうしようもなくなった借金を自分で片付けることができず、父に肩代わりさせたんだと思います。

で、もしも子供がサラ金で失敗したら自分が肩代わりさせられると思っているので、「手出す前に自殺しろ」と言ったのでしょう。

母の教えは間違いだったと、今の僕にはわかります。

借金それ自体は悪いことではありません。悪いのは計画性と常識がないことです。

現に僕は親に似てサラ金で失敗しましたが、死んで解決する問題でないことは見ての通り明らかです。

しかし、多感な時期に植え付けられた「サラ金は死ぬよりヤバい」というイメージにより、僕は越えてはいけない一線を越えてしまったと思い、二度と立ち直れないような絶望感に包まれていました。

それでも、ほぼ面識のない「ちゃんとした人」にガチトーンで怒られることは、僕の中では「死ぬよりヤバいこと」よりもっとヤバいことだったのです。

もうなんか我ながら生きづらそうすぎて鼻水出てきました。

何はともあれ審査は通り、僕は10万円の借り入れに成功したのでした。

ここで読者の皆さんに念を押しておきたいのは、このド貧困請求書全捨て太郎が借り入れの審査を通過できたということは、家賃、住民税、国民年金、国民健康保険、携帯料金、ネット代、電気代、ガス代、水道代については、いくら滞納しまくっても金融ブラックには載らないという事実です。

ブラックに載るのは、ローンかクレジットカードの支払いに失敗した時です。

したがって、かつての僕のように経済力に不安がある人は、固定費の支払いをクレジットカード払いにしない方が安全です。

また、もしもあなたがローンの支払いに追われていて、「家賃かローンか光熱費か、どれか1つしか払えない」という状況に追い込まれた場合は、迷わずローンを優先してください。

家賃を滞納しても、大家さんが「よし、追い出そう」という決意するまでには、概して数ヶ月程度の猶予があります。

次に引っ越す際の入居の審査が通らなくなる可能性はありますが、家賃の滞納歴を業界全体で共有するような仕組みはありません。物件を変えればオーナーも審査基準も変わります。

なので、家賃滞納歴で入居審査に落ちるということはあまりありません。あるとすればオーナーや保証会社が同じだった場合です。そういうケースでは「あ、またこいつか。どうせまた家賃滞納するんだろうな」と判断されて落ちる可能性はあるでしょう。

そして、電気代やガス代については、滞納を繰り返して供給が停止されたとしても、休日返上で日雇いのバイトでもすれば、問題なく復旧させられます。

しかし、金融ブラックはどんなに急いでも5年はあなたの足を引っ張ります。というのも、金融ブラックは「原因となった借金を完済してから5年経過したら解除」というルールだからです。完済できず自己破産したら7年です。

僕の場合は既に10年もブラックに載っていて、しかもまだ完済していないので、どうまかり間違ってもブラック懲役15年というのは確定しています。これからまた返済を怠れば更に何十年でも伸びるでしょう。

ちなみに、予備情報として、ブラックリストにはいわゆる「金融ブラック」の他に、「携帯ブラック」なるものが存在します。その名は単なる俗称ですが、仕組み自体は実在します。

携帯代の支払いに失敗し、そのまま強制解約に至ってしまうと、その情報が他の携帯キャリアにも共有され、「どこの携帯も契約できない」という事態が発生します。

とはいえ、携帯ブラックに載ったとしても、金融ブラックよりは100倍マシですし、それが直接の原因になって金融ブラックに載ることもありません。

あるとしたら、携帯料金をクレジットカード払いにしていた場合と、携帯端末をローン(分割払い)で買っていた場合です。その場合は「クレジットカード会社やローン会社に借りたお金を返さなかった」という扱いになるため、金融ブラックに載る要件を満たしてしまいます。

では、話を本筋に戻しましょう。

さすがの僕も、「消費者金融に借りたお金を返さなかったらもっとヤバいことになる」という雰囲気だけは察知していて、他の支払いがどうであろうと、借金だけは毎月1万ずつしっかり返していきました。

では、星野太郎はなぜブラックに載っているのでしょう?

はい、それはもう素直に「馬鹿だから」としか言いようがありません。

借り入れというまとまった現金を手に入れる方法と出会ってしまった星野太郎は、「借りればとりあえず何とかなる」という安心感から、仕事でちょっと嫌なことがあると、すぐに「辞めちゃおうかな」という衝動に駆られるようになったのです。

星野太郎は脳みその代わりに豆腐でも詰まってるんじゃないかというレベルのアホンダラなので、一度チラッとでも頭をよぎった衝動を実行せずにはいられません。

早い話が、僕はすぐに仕事を辞めてしまう、職を転々フリーター太郎となってしまったのです。

そんなことをやっているうちに、またしても返済が追いつかなくなり、上述の「借りれば何とかなる」発想が発動しました。

そうです。太郎は新たに消費者金融B社から上限いっぱい10万円を借り入れ、これをA社の返済に充てるという暴挙に出たのです。

噂に名高い多重債務者の誕生です。

しかも「これ」という理由がなく、事故でも病気でも詐欺被害でも投資で失敗したでもなく、別に何もないのに多重債務者になってしまう辺り、これこそが謎の生物「多重債務者」たる所以と言っていいでしょう。誰も我々の行動原理を説明できません。

更に困ったことに、この時の星野太郎は「また厄介なことをしでかした」とは思っておらず、むしろ「俺は賢いから上手くやり繰りしてのけた」と思っています。

さきほど僕は「脳みその代わりに豆腐が詰まっている」と書きましたが、多分思い出補正による間違いです。

正しくは、脳みその代わりにうんこでした。

しかし、この男の暴走はこんな所で止まりません。

なんと、何の前触れもなく突然トチ狂い(いや元々狂ってるんですが)、「声優学校に入って世界一の俳優になる!」などと不可解な寝言をほざき出したのです。

ただでさえツッコミどころが大渋滞しているのに、俳優を目指してなぜか声優学校を選ぶという妖怪変化の奇行です。

悪いことに、ここで学生ローンが通ってしまい、滞納している税金や保険料が何十万なのか、2社から借りたカードローンの残債がいくらなのかも把握していない体たらくなのに、追加で60万もの借金を背負ってしまったのです。

ここまで来ると、もはや一周回って天才なのかもしれません。

しかし、1年生の2学期、突如覚醒俳優目指し太郎は、またもや何の前触れもなく声優学校を辞めてしまい、残された学生ローンを払うために泣きながら派遣バイトに勤しむのでした。

ああよかった、ちゃんと馬鹿でした。星野太郎が天才だったらどうしようかと思いました。

それにしても彼は果たして何がしたかったのでしょう。ちょっと他人のフリをしたくなってきました。

星野太郎の大暴走はこれにて鎮火したかに見えたかもしれませんが、驚くべきことに、ここまでは序章です

もはや通ってもいない学校の学費を払うために日夜過酷な労働を余儀なくされている現状にウンザリした僕は、人生の一発逆転を夢見て、ネットで儲け話を探していました。

すると、こんな求人が目に入りました。

「キミも経営者になれる!」

「月収100万円も夢じゃない!」

僕は仕事をバックレて、その求人を出した会社に行きました。

それは某労働マルチ、もとい、フルコミッション制の営業会社で、主に食品を手売りするのが仕事でした。

要は売った分だけ歩合給がもらえるルールなのですが、基本給はゼロ。そしてド素人の一個人が自力で販路を開拓しなければならないという、簡単に言えば無理ゲーな訳です。

しかし、「頑張れば経営者になって月収100万円も狙える」という、今思えば怪しい以外の何物でもない触れ込みが、当時の僕には希望の光に思えて、すっかり現実が見えなくなってしまいました。

結果的に、そこが地獄の入り口となりました。

毎日必死でモノを売りに出かけるんですが、どんなに一生懸命プレゼンしても、ほとんど見向きもされません。

たまにお情けで買ってくれるお客さんもいるものの、僕の給料は1日あたり2000〜せいぜい3000円。

そうしている間にも、ローンの支払日が刻一刻と迫ってきます。

どこかで冷静に考えて「あ、これダメだ」と気づいてダッシュでバイト生活に戻っていれば……あるいは、撤退ラインを最初から決めておいて、「何月何日までに売上いくら達成できなければ、日雇いでローンの支払いだけでも間に合わせる」といった立ち回りをしていれば、金融ブラックという最悪の事態は回避できたと思います。

しかし、当時の僕は現実を直視することから逃げてしまいました。

心の奥底では「まずいまずい」と感じているのに、弱気な顔をしてるとバカにされるので「ははは、これからこれから!」と余裕ぶっていました。

本当に馬鹿のくせに馬鹿扱いされるのが嫌とは、贅沢な野郎です。

また、「ここで結果を出せないようでは何をやっても一生ダメだ」と信じ込んで(あるいは教え込まれて)おり、どんな犠牲を払うことになっても絶対に逃げず、何が何でもこの会社で成功するんだ!と自分に言い聞かせていました。

す、すごい。人生の2択問題を寸分の狂いもなく全て適確に間違えている。もはや職人技、もはや芸術です。

僕の逆をやって失敗する人はまずいないでしょう。

成功者の本を読むより僕のnoteを読んだほうが生涯収入の期待値は高いかもしれません。

さて、やがて星野太郎は「今から寝ずにバイトしまくっても絶対間に合わない」というデッドラインを越えました。

支払日を過ぎてからはもう3社のローン会社や債権回収業者や市役所や国税局や大家さんからひっきりなしに電話が鳴りまくりです。

こうなってくると、もう電話自体が怖い。

この頃の星野太郎は、ネットで聞きかじった情報により、ブラックリストの存在自体は知っていました。

しかし、「今からちゃんとすればまだブラック入りは避けられる可能性が残されている」という事実を知りませんでした。

そうです。金融ブラックに載る本当の要件は、単に「支払日までに借金を返さない」というだけではなく、「借金を返さない上に、対応が悪い」というものでした。

だから、僕が本来ここでやるべきだったことは、営業会社を即刻辞めてアパートに帰り、日雇いバイトの予約を1ヶ月先ぐらいまで埋めて、かかってくる電話に全部出て、

「申し訳ありませんでした。転職に失敗してお金がなくなってしまいました。取り急ぎ日雇いで働いて、遅れた分は2週間以内に払います。次回からは遅れないようにします」

と釈明し、実際にその約束を果たすことでした。

それはこんなに救いようのないポンコツクソ頭だった当時の僕でも充分にできたはずのことです。

にも関わらず、現実の星野太郎ときたら、電話にも出ず、「自分の実力では稼げない」と実証済みの仕事にしがみつき、返済に必要な額を余裕で稼げることがわかりきっている日雇いのバイトを拒絶しました。

更に更に、逆境に陥るほど「正解の逆」をやるのが星野太郎です。

なんと、この脳みそウンコ太郎は、何を思ったか住んでいたアパートを引き払ってしまい、あろうことか、会社のオフィスに住み着き始めたのであります。

うぅ、頭が痛くなってきた……どういうことなんだ?一体何がしたいんだこの珍獣は。これは本当に自分なのか?というかそれ以前に人間なのか?

いや、うっすらと思い出してきました。

多分こいつの脳内では「これぞ背水の陣だ!退路がなければ前に進むのみ!これで成功は確約されたようなもの!すごいぞー!かっこいいぞーー!」という計算になっています。

馬鹿なの?

そうだ、馬鹿でした。さっきから自分でずっと言ってるじゃん、馬鹿なんですよこの男は……。

こうして、最後に残された唯一の正解、「会社を辞める」という選択肢を勝手にブチ捨てた星野太郎は、引き続き3000円しか稼げず、かといって収入がないので住処である会社を去ることもできず、携帯も強制的に解約されてしまい、なす術なく金融ブラックとなったのでした。

「背水の陣」などと言えば聞こえはいいですが、僕は崖際まで勝手に逃げ込んだのをカッコつけて言い換えていただけであり、そのまま水に落っこちたので身も蓋もありません。

もはやストーリー的には普通は悪役ポジションっぽくなりそうな労働マルチ会社も、星野太郎のアホっぷりには迷惑していたに違いありません。

そう。最初から最後まで、悪は自分でした。

僕はずっと、世の中が怖かった。

職場の人たちも、仕事で出会うお客さんも、債権者も、公務員も、真っ当に働いている普通の人たちも、僕にはあらゆる人間が怖かった。

いつも誰かに責められている気がして。

それはそのはず。僕はどう見ても化け物です。

周りからしたら僕が一番怖かったと思います。

鬼電しまくってくる債権者たちも、トラブルを避けるために話し合おうとしていただけなのに、こちらが勝手に拒絶していました。

いわば、自分で放火した家に取り残されて、助けに来た消防隊員を「俺を捕まえに来た!」と思って蹴飛ばしていたようなものです。

正直、ブラック生活が長すぎて、自分でも何がキッカケでブラックになったのかわからなくなっていたのですが、こうしてnoteに書くことで思い出せました。

金融ブラックに載った原因は、【充分に足りていた支払い能力を、わざわざ自分でかなぐり捨てたこと】でした。

そもそも支払い能力がなければローンの審査は通りません。通った時点で「返せる」と決まっていたのです。

それを事情らしい事情もなく自分でぶっ壊していました。

後年、自分があまりにも馬鹿すぎるので、僕は自分が心配になって、病院に行きました。

僕は何か、生まれつき障害のようなものを抱えているのではないかと……。

すると、驚愕の事実が判明します。

公認心理師による正式なテストの結果、星野太郎の知能は「普通。厳密には平均よりちょっと高い」ということがわかったのです。

つまり、生まれ持った特性や出自のせいではなく、単に自分のせいで馬鹿だっただけという、取り憑く島もない話だったのです。

僕は多分、病気だったんだと思います。

心の病気でも頭の病気でもなく、「生き方が病気」だったのでしょう。

それはきっと、「自暴自棄」とか「現実逃避」とかいった言葉で扱われる、一種の病気なんです。

さて、長くなりましたが話をまとめます。

星野太郎が金融ブラックに載った方法は、【借金して仕事しなかったこと】でした。

な、なんという当たり前すぎる結論……脳細胞を3個ぐらい使えば実証しなくても事前にわかることでした。

しかしながら、僕の想像では、かつての僕のように「生き方が病気」という人自体は、そんなに少なくない数いるのではないかと思います。生き方の病院はありません。

そして、もしも今「借金が返せなくてブラックに載る恐れがある」という人がこれを読んでいるならば、まず次の5項目を厳守してください。

①ローン会社に借りている残債と、今月の返済額を明確にして、数字を書き出す

②毎月の生活費をざっくり(万単位で)計算し、数字を書き出す。間違ってもいい。ただし嘘を書かない

③ローン以外の支払いを全部極限まで遅らせる。借金の1つであっても、金融業者でなく、国や自治体や慈善団体や勤め先や身内や知人に借りたものなら、怒られようが殴られようが泣いて土下座してでも遅らせる。仮に裁判所命令で慰謝料などの請求を受けているとしても、それすらも遅らせる(※あくまでも遅らせるだけです。踏み倒してはなりません)

④収入と有り金から生活費を引いて、残るお金を借金返済に充てる。計算の結果、「1円も残らない。むしろ◯万足りない」ということがわかったら、売れるものを全部売るか、日払いの仕事をするかして不足分のお金を稼ぐ。大至急

⑤督促の電話には必ず出る。出られなければ最速で折り返す。そして、「遅れた分をいつ返すのか」を必ず聞かれるので、上記の計画で返済することを約束する

↑ ↑①〜⑤スクショ必須↑ ↑

これらを1つでもミスすると、自分の意思では収拾がつかなくなり、「債権者に何と説明していいかわからない……」ということで、電話にも出られなくなってしまいます。

金融に限らず、「連絡がつかない」は致命傷です。電車に轢かれるぐらい致命傷です。相手とどんな関係性でどんな文脈で付き合いがあろうと、完全に「嫌な奴」認定されます。

また、連絡がついてもしどろもどろで何言ってるのかわからない状態だと、これもまた3階から落ちるぐらい致命傷です。連絡がつかないよりはマシですが、返済計画を説明できないようでは乗り切れません。

次に、金融ブラックを回避するためであっても、絶対にやってはいけないことを説明します。

これをやらかすと「ブラックになるほうがまだよかった」と思うレベルのリスクに見舞われるので、頭の片隅に置いておいてください。

①犯罪行為

②犯罪の匂いがする場所や人物に近づく

③売ってはいけないものを売る

④ギャンブル

⑤短期的な投資、投機

⑥闇金に金を借りる

⑦経験のないビジネス(特に直近1ヶ月の給料が日雇いバイトを下回る可能性のあるもの)

上記の7項目をやってはいけない理由は、まさにこれらが「生き方が病気」の原因であり、また症状そのものでもあるからです。

『①犯罪行為』は、逮捕などの明白なリスクがあるだけでなく、「バレたらどうしよう」という不安を常に抱えることになり、日常生活のパフォーマンスを大幅に落とします。

また、自分が犯罪に手を染めると、関係のない無実の人まで、誰も彼もが犯罪者に見えてきて、疑心暗鬼に陥ります。

そして何より、自分が運悪く犯罪の被害者になったり、人とトラブルになったりした時に、警察を呼ぶことができなくなり、身を守る手段が著しく狭まってしまいます。

『②犯罪の匂いがする場所や人物に近づく』ことは、お金欲しさに犯罪に加担する誘惑にさらされやすくなるため、お金に困っている状況では特に危険です。

「いざとなったら自分だけしらばっくれればいいだろう」と思うかもしれませんが、そう思えるようなポジションほど、犯行グループからすれば捨て駒にしやすいんです。

③の「売ってはいけないもの」とは、

・他人のもの
・替えの効かないもの(形見や思い出の品など)
・仕事や生活に使うもの
・身体(臓器売買、人身売買は言うまでもないですが、売春やAV出演などもこれに当たります)
・名義や住所などの個人情報

などを指します。

「先々のリスクなんか気にしてられない。自分なんてどうなったっていいんだ。それより金だ」と思うなら、それこそが「生き方が病気」ってやつなんです。

生き方をこじらせると、口座残高や信用情報どころではなく、自分自身の人格や、文字通り人生そのものすらもぐちゃぐちゃで訳がわからないものになってきます。

僕がいい例です。

元はただの人畜無害なおっぱい星人だったのに、やっていいことと悪いことの線引きを考えず、一発逆転を夢見て足元を疎かにしていたから、「人生の2択問題を百発百中で間違える」という離れ業をもやってのける怪物に変貌してしまったのです。

では、せっかくなので、次はいよいよ「金融ブラックに載ってしまった場合はどうしたらいいのか」という話をしたいと思います。

が、長くなりそうなので、また別の記事で書くことにします。

このアカウントでは、「生き方が病気」だったために金融ブラックになってしまった星野太郎が、どうやって人生を立て直していくかを語っています。

先に断っておきますが、「美味い金儲けに出会って人生大逆転!その秘密をこっそり教えちゃいます!」という話ではありません。

むしろそういうものを片っ端からつまみ食いして大惨事、その後始末をしている様子をお見せするのがこのアカウントです。

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