#LIVE 誰もいないステージ

ずっと続けてる
趣味
バンドとダンス。

どちらも
本職にできないから
趣味にしただけ

学生の頃から
仕事にするには無理だからねと
言い聞かせられてきた。

そんなことを思い出しながら
クラブではまだ珍しい

ベリーダンサーとして
ステージに立つ。

クラブのフロアには
バンドの仲間は
誰もいない

どうやら
バンドマンは
クラブが苦手で

ダンサーとDJは
ライブハウスが
苦手らしい

三次会も
こっそり抜けてきた。

別に悪いことは
していないのだけれど。


曲がスタートし
リズムが刻まれる。

心臓の音と
太鼓の音が
少しずつバラバラになっていく

それで
緊張していることに気付き
太鼓の音に集中する。

さっき腰に巻いた
コインスカーフが
シャラランと音を鳴らす

さっきまで
誰かに委ねていた
自分のカラダは

音に委ねている。

太鼓の低い音と
スカーフの高い音が
一緒にリズムを刻む。

太鼓の大きい音に
合わせて腰を動かし
音と動きを楽しんでもらう。

曲のピークに達すると
振動というのに近い音と
振動というのに近い動きで

太鼓とダンスの

が繰り広げられる。

スピーカーから流れる
正確で
忙しいリズムに合わせ

腰に巻いた
コインスカーフが
忙しく音を鳴らす

太鼓とカラダが
リンクする瞬間。

会場の視線と耳を
全て集め
最後にドン!という音で

全員の集中力を
斬った。

拍手と歓声を
浴びて
ステージを後にする。

明日は
楽しかった
余韻が襲ってくる

結婚式もクラブステージも
一人で思い返しながら
少しずつ胸のうちを整理して

明後日には
普通の生活が始まる。

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