見出し画像

新卒フリーランスで中国語学習法のプロになる

はじめに

みなさんこんにちは、彩(あや)と申します。

今年の3月に大学を卒業して、在学中からフリーランスで受けていた仕事を続けています。いわゆる新卒フリーランスになりました。主な仕事は、オンライン授業を主軸とした中国語指導と、0から有名大学への中国留学を目指す中国語学習サポート、そしてインバウンドの医療コンサルです。

大学1年の時に「交換留学で北京大学に行こう」と決めたときから、私の人生が大きく変わりました。

実は医学部受験に失敗し、文転して現在の某有名私立の政治経済学科に入学した経緯があります。大学在学中にただの語学留学ではなく、単位の取れる留学をして、グローバルに活躍したいという思いがありました。

当時最初に考えていたのは英語圏への留学で、トロント大学を視野に入れていました。しかし、大学1年の夏休みに行った欧米圏での海外ボランティアを契機として2つの現実に直面しました。

一つ目は、私は英語は得意な方で、国内ではTOEIC含め高得点で学習量にも自信がありました。それなのに、他国の学生に比べて「全然話せない」と感じたことです。

言いたい事を違う国の違う文化や背景を持つ人たちに正確に表現する事の難しさに直面したのです。
正直、彼らと同様の会話力を身につけて、なおかつ学習者の多い英語のスペシャリストとしてあの中で突出した存在になるのは「キツそう」と感じました。

二つ目は、想像上の欧米のイメージと実際に行ってみた感覚がずれていたことです。
渡米前の私は、アメリカ人は誰でも明るく言いたいことはズバズバ言うような印象があり暮らしやすそうだと感じていました。

しかし実際にはそうではなく、能力主義で英語でのプレゼン能力が弱い私の発言を遮られたりして、悔しい思いをしました。加えて時差や食生活などがどうしても合わず、留学について考え直すきっかけになりました。

猛勉強と中国留学

留学について悩んで母校の公費留学について調べたら、中国の交換留学先に「北京大学」あったのを見て「これだ!」と思い、その場で母校の中国人の同級生と教授に頼み込み、ゼロから中国語を猛勉強しました。

半年後に公費の交換留学の学内選考があり、北京大学には行けませんでしたが、山東大学への1年間の交換留学が決まりました。

留学までの準備期間も『使える中国語』を意識して、沢山のネイティブと積極的に交流し猛勉強を続けました。

そして大学2年の9月に山東大学へ。準備期間にしっかり勉強した甲斐があって、外国人向けの語学クラスでは上級コースに入ることができました。

でも私は、語学クラスだけじゃなくて、主に現地の学生が学ぶ本科の授業も受けたかったんです。本科の単位を取得すれば、日本の大学と単位互換ができるので、留年せずに日本の大学を卒業できるので。

大学事務局に行って直接交渉した結果、語学クラスと本科の授業をどちらも受講してもいいと許可をもらいました。
本科では、アナウンサーや報道に関する授業を選択しました。

これが後の中国語レッスンに大きく影響します。というのも、アナウンサーになるための発声や話し方をみっちり練習したんです。

私は耳で聞こえたものを記憶して再現するのが得意なので、普段の会話からプロの話し方まで、とにかくたくさんの中国語会話を聞く経験がとても役に立ちました。

プロは違うな、と感じたのが、中国語の基礎的な文法や発音に関して、理論立てて説明してもらえたことです。
その時までは「耳から入ってきた音を再現して話す」というスタイルで中国語を学んでいたのですが、外国人に中国語を指導するための方法を知ることで、感覚でとらえていたものが体系的な知識として定着しました。
知れば知るほど、中国語学習の面白さにのめり込んでいきました。

留学先では、現地のテレビ局でインターン生として働き、主にSNSを使った広報としてお仕事させて頂きました。

1年間の留学は楽しいこともたくさんありましたが、ハードさもありました。
先輩から「まだまだ中国語ができてない」と言われて発音を基礎からやり直したり、報道メディアを専攻してアナウンサーを目指そうと専門の教授に話を伺ったら、「外国人アナウンサーでアジア人がどれだけたくさんいるのか調べてから質問するように」と厳しい事を言われ、中国と日本を股にかけて仕事をするにはどうしたら良いか悩みあぐねていました。

こうして1年間の山東省での留学を終えて、帰国しました。


はじめてのフリーランス業

日本に帰国してからも、通訳や中国語レッスンの仕事を個人的に引き受けることが多かったです。
中国留学中は指摘されていた中国語も、日本に帰ってくると「中国語しゃべれるってすごいね」「発音がとても上手だね」と褒められるようになって、留学と猛勉強の成果が感じられて嬉しかったです。

能力を認められて、仕事をさせてもらえるようになって、口コミの紹介でフリーランスの仕事は順調でした。

その時に受けた依頼の一つが「90日でHSK3級に受かるように中国語を指導してほしい」というもの。ある企業の社長から、社内研修として実施するからやってほしい、と任されました。

HSK3級は、ヨーロッパで定められた言語規格CEFRによるとTOEICスコア500~600に相当する基礎レベルです。

外国語が苦手な日本人で、しかも学生と違って時間に余裕のない社会人に短期間で効率よく学んでもらうにはどうしたらいいか。
留学時代に学んだ中国の『对外汉语』という外国人に中国語を教える為の語学学習の理論とメディア学科で学んだ「発音理論」や、自分なりの猛勉強の経験と塾講師としてアルバイトした経験を生かし、中国語学習の重要な点だけをピックアップして指導マニュアルを作成しました。

私のオリジナル中国語学習教材のポイントは、日本人学習者の弱点克服を徹底したところです。
それはずばり発音に関する部分で、自分で発音できない音はリスニングで聞き取ることができないので、この点を効率よく効果的に学べるようにしました。
さらに、漢字学習は世界中でも日本人がいちばんの得意分野で、日本語と中国語の表記が共通する部分も多いので、この日本語ネイティブの強みを利用して勉強ができます。

こういった内容を盛り込んだ短期HSK3級対策の社内研修をしたところ、とても好評で合格者が続出しました。
中国語指導という仕事に手応えを感じた瞬間です。

この中国語学習をさらに改良して、学習者がいつでもどこでも中国語の勉強ができるようにと動画教材を中心とした中国語学習プログラムを制作しました。

評判が口コミで広がって、この商品はどんどん売れて、大学4年の去年の夏には50万円を越える収入になりました。

新卒としての就職活動もしていたのですが、中国語学習者のサポートをしたり、中国語通訳の依頼が順調で、なによりも楽しかったので、卒業後もフリーランスとしてやっていけるんじゃないかと感じていました。

去年の同じ時期から始めたのが、コミュニティの運営です。
中国語を動画レッスンで学ぶだけではなく、実際に学んだ言葉を使って外国人と「繋がる」経験を国内で出来ないかと考え、中国語学習者の日本人と日本語学習者の留学生が交流するためのLINEコミュニティを作りました。
語学を真剣に学びたい人であればどなたでもご参加頂けます。

Twitterで参加者を募集しながら、現在もLINEとWechatのグループチャットで運営しています。

このコミュニティ運営で実現したいのは、学習者のインプットとアウトプットの両方の機会を作ること。
自分の経験から感じることですが、中国語も日本語も、どれだけ自分で勉強しても、実際に会話やコミュニケーションで使う機会があるのとないのとでは学習効果が全然違います。

私の中国語学習プログラムで学ぶことが楽しいと思ってもらえるのも嬉しいんですが、中国語で会話をしたり、いつか中国や台湾に行ったときにも異文化に触れてなにかを感じてもらえたらいいなと思っています。

こういった中国語学習に関するサポートや、中国在住者を対象にした医療通訳などで仕事は十分にあったので、大学卒業後もこのままフリーランスでやっていこうと思いました。
とある医師会と医療コンサルの契約をして、法人化に関しても前向きに検討し、自信がついてきた部分もありました。

コロナ感染拡大により、いきなり苦境に立たされる

そして今年、大学を卒業して、いよいよ本格的に事業を拡大してバリバリやっていこうと決意した矢先に、この新型コロナウイルスの感染拡大の波に世界中が飲み込まれました。

中国人インバウンド顧客のための医療翻訳や、中国出張などが全て無期限延期になり、去年まで順調に業績を伸ばしていた医療機関とも契約終了に。

緊急事態宣言や自粛要請の期間は本当に辛かったです。
このままどうしようか、どうなるんだろうかと毎日悩んでいました。

でも、これまでにも苦境に立たされたことは何度もあったけど、とにかく自分で行動して切り抜けてきたんですよね。
今回も「今すぐ自分にできること」を考えて、思いついたことを全部実行しました。

そしたら思いがけないところからニーズがあったのが、オンライン中国語学習です。

中国に留学や旅行で行くことはできなくなったけど、在宅ワークなとで自由に使える時間が増えたので「空いた時間に中国語を勉強しておいて、渡航可能になったら行きたい」と、中国語学習プログラムへの問い合わせが増えたんです。

「いつでもどこでも勉強できるように」と、通学スタイルではなく動画教材を中心にしたパッケージが結果的によかったんだと思います。
制作は大変だったけど、自信がある商品を開発したのは追い風になりました。

それから、ゆるい感じで運営を続けていた日中交流コミュニティも順調に参加者が増えていて、去年はオフ会みたいに集まって餃子作って食べたりしてたイベントも、今年はzoomでの交流会に切り替えたりして、工夫しながら継続しています。
そのコミュニティからも「もっと中国語を勉強したい」という個別の相談をいただいて個別レッスンをしたりすることも。

自分の商品がある強みと同じように、自分が運営するコミュニティもあってよかったなと思います。
とにかく行動することで、確実に次に繋がっている実感があります。
何よりも、中国語を勉強したいという人に、自分の経験を活かした効果的な学習サポートができることが楽しいです。

語学のスペシャリストとしてフリーランスで仕事を獲得する

私は英語をあきらめて、代わりに中国語教育でスペシャリストになろうと決めて、今に至ります。

語学でフリーランスといえば、まず思い浮かぶのが通訳や翻訳だと思いますが、それらは語学堪能なだけでは仕事になりません。
語学堪能であることに加えて、誰にも負けない専門性が必要です。

私の場合、中国語の指導に関する専門性を留学先の本科や現地のテレビ局の仕事で学んだこと、そして誰にも負けない中国語の勉強量があると思っています。

それから、フリーランスには人とのつながりや縁も大事です。中国留学から帰国した直後の通訳や中国語指導の仕事は知人の紹介だったし、中国語学習パッケージは販売開始は口コミだけで購入者が増えました。

あとは、コンテンツ発信のためのSNSアカウントの利用やコミュニティ運営も、これからのフリーランスにはあるといいなと思います。
オンラインでも人とのつながりをどんどん増やすことができるし、無料で商品やサービスを宣伝できる媒体にもなります。もちろん全てがビジネスのためというわけではなく、自分の発信を見てもらえるのは楽しいし、コミュニティが盛り上がっている様子を見ると「がんばってよかったな」と感じます。

これからもフリーランスで中国語指導のプロとして、得意の行動力で新しい仕事を創出していきたいです。
来年以降に考えているのは、中国や台湾の短期の学習プログラムみたいなものです。やっぱり現地に行って見て感じることが語学の楽しみだと思っているので、現地の語学学校を体験したり、交流会を実施して会話をしたり、そういう体験型の学習プランを構想しています。
留学というと長期の休みが取りづらい社会人にはハードルが高いため、短期でまるごと楽しめて経験値が上がるようなものを提供したいです。

大学で中国語と出会って、学んで、私の人生は大きく変わりました。

もし昔の私と同じように「ゼロから中国を学んでみたい」という人をサポートできるように、そして「中国語って面白い」と感じてもらえるように、企画開発や学習サポートをしていきたいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?