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「北欧の神秘」展(新宿) レポ

平日のお昼に駆け込むのが最適解でした。

まずは概要から。2024年3月23日から開幕したこちらの展覧会は、新宿のSOMPO美術館で鑑賞できます。6月9日まで楽しめます。当日券も1600円とお手頃価格なので、仕事帰りに突撃しても大丈夫そうですね。10時から18時まで、金曜は20時まで開館。休館日は月曜ですが、4月29日と5月6日は開館するそうです。4階展示室のみ撮影可能で、なんとムンクの作品もそのエリアにあるのです。ゴールデンウィークはおそらく混雑するので、空いているタイミングを狙って撮影するのもオススメ。オンラインでチケットも取れます。

民話の作る世界

北欧、と言えば某ソーシャルゲームの影響でゲイボルグだとかアルスターだとかそういうのを想像していたわたくし。しかしこの展示は「近代の北欧」がテーマなので、どちらかといえば民族主義を中心とした作品が並んでいました。確かにクーフーリンやスカサハ師匠は好きだけれども、雪原と広大な山脈、フィヨルド、澄んだ湖などの自然も素敵だと思いました。あのゲームをやっている人は第2部2章の世界だと思ってください。民話や伝統的な詩歌などをモチーフにした作品もあり、吟遊詩人の絵や神話の場面を描いたものなど、北欧における近代化と民族としての独立などを考えるのにぴったりなテーマでした。いちばん驚いたのは王族が画家になったという話で、「そんなことがあるのですか⁉」と目がまんまるになりました。他の画家に引けを取らない技量だったのも、趣味ではないという覚悟を感じさせて良かったです。

独特の描き方がおしゃれ

北欧の文化について

以前東京都庭園美術館にて開催されたフィンランドグラスの展示(リンク参照)でも実感したのですが、北欧の人々は「自然と自分たちの生活が密接に関わり合っているからこそ、厳しい寒さと短い夏を肯定する独自の文化を形成している、という自意識が強い」のかもしれない、という印象を色濃く受けました。だからこそ自然派が一時代を築けたのだろうし、自国の在り方が大自然が生んだ神話や民話に根ざしたもので、それをずっと引き継いできた自負と、誇りとがあるのでしょう。自国の文化を大事にする、近代化してもなおその雄大な自然を愛し続ける精神性に脱帽です。日本は文明開化後に政治的な理由で「美術」というものが規定された(『境界の美術史』北澤憲昭著より)とのことでしたが、北欧にもそういう力があったとしても「絵画のメッセージ性」は比較的牧歌的で、「自然に対する畏怖」だとか「神話に対する親しみ」を感じさせるのがお国柄なのかな、と感じました。

神話のワンシーン
おとぎ話の世界


いざ、不思議な北欧世界への旅へ。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。