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「デ・キリコ」展(上野) レポ

不思議な世界にも秩序はある。
まずは概要から。東京都美術館にて8月29日まで開催中。
月曜休館ですが8月12日は開館するそうです。
9:00~17:30が開館時間ですが、金曜日は20時まで開いています。
平日の午後はわりと人が少ないので、おすすめです。
写真はNGですがフォトスポットはあります。

キリコの目指したもの

キリコはギリシャの出身で、古典作品への造詣も深い人でした。
そのため、彼の作品は全体的に「制作の意図を深く考えさせられる作品」が多かった印象がありました。彼の持つ教養を感じるというか。
たとえばキリコの作品では「マヌカン」(いわゆるマネキン)をメインとして配した作品群が有名ですが、対面すると人間ではなくマヌカンになっている理由、あえて表情を排した意味とは何か、など自然と考えさせられました。また、「ヘクトルとアンドロマケ」の連作的絵画を前にしたときは「神話を換骨奪胎したそのわけ」をおのずと思索していました。
ここまで見る者に問いかけてくる作品があることを知り、私は今までの鑑賞経験を省みるいい経験だと感じました。
だからこそ、早いうちに知りたかったなと。
私が絵画を鑑賞し始めた頃に出会っていれば、知っていれば、今以上に多く学べるものがあったのではないかと思ってしまうのです。
今回は一緒に来てくれた友人に説明をしながらの鑑賞だったので、いっそう強く感じたのかもしれませんが、私が今まで見てきた作品への敬意や知識が足りなかったことに思い至らせてくれたことは感謝しています。
初めて見た人はきっと絵画の深さや広さにきっとわくわくするし、たくさん見てきた人はもっと絵画を味わい尽くすきっかけになると確信しました。
その効果のみなもとにあるのは、おそらく彼が生まれ育ったギリシャの地に息づく神話を敬っていた事実であり、愛読したニーチェの著作を意識しての作品制作であると思いました。
フランス、イタリアなど地中海を中心に活動した彼の作品は、見る人に対し強くメッセージを発している作品に触れる、いい経験になりました。
できるだけ多くの人に足を運んでもらいたい展示です。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。