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Knight and Mist第九章-4みっしょんいんぽっしぶる?

「あらためて見上げるとデカい建物ね……」

「建物っていうか、塔だな……」

ハルカとスコッティが見上げて口々に言った。

「このどこにいるんだろう?」

「塔の地図はイスカゼーレから入手した。あとは上手くいくかだな……」

そして見るキラキラマントの一団。

ちなみにスコッティもキラキラマントを羽織っている。ハルカはアンディから借りたガチの貴族のお姫様ルック。

「いいか、我々はモンド様の遣いで視察に来たこととなっている。アンディ様が難癖をつけて異端審問院を大いに困らせるので、その間にスコッティ殿は異端審問官に変装、ハルカ殿を連行している風を装ってセシル殿の牢を探るんだ」

言うのはモンドの乳兄弟クール・シトラス。

「モンド様があとから酔っ払って現れ騒ぎを大きくするから、なるべくはやくその間に探すんだ」

モンドがどういう目にあうのか想像しながら、頷く二人。

「イスカゼーレの情報によれば、おそらく囚われているのは最上階の特別牢。近くの拷問室も確認を忘れるなよ」

変なカッコだが、クール・シトラスは頼りになる。ハルカは頷いた。

「今更だがなんで僕がこの役をやるのかな?」

「我々は皆面が割れている。一番顔が知られていないのはスコッティ殿とハルカ殿だ。それにハルカ殿は、見る者が見れば周りがおかしなことになっているらしい。見つかっても連行していると言い張れば通る可能性が高い。たとえそれが特別牢方面であってもだ」

「レティシアとイーディスは?」

「イーディス殿を異端審問で捕らえると外交問題となる。レティシア殿も同じだ。そして異端審問官で女だと目を引くから、これが良い配役だ。イーディス殿には逃すときに活躍してもらう予定だ。レティシア殿にも任務がある。やるしかないさ、俺たちが!」

くるっと一回転するクール・シトラス。

このキラキラマントの一軍だけで目を奪えてしまえる気がするが、さすがに堅牢なところがそんな杜撰な警護をしているわけがない。気を引き締めていこう。


ハルバードのような長斧を持った入り口の警備兵に一度足止めを食らった以外は特に問題もなく内部に侵入することに成功。

塔内の比較的広いエリアにある応接間のようなところへ通され、アンディの到着を待った。彼女は別の入り口から、偉そうな人と一緒に到着した。

そして、作戦のはじまりだ。


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