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【日本神話②】黄泉の国 逃走中

 火の神カグツチを生んで焼死したイザナミを追い、イザナミは死者の世界・黄泉の国(夜見の国、根の堅洲国)へと足を踏み入れます。扉の前でイザナギがイザナミに帰るよう語り掛けると、イザナミは黄泉の国の神に相談するといい、そこで待つようにと返答しました。

地上の世界と黄泉の国との境目と言われる島根県松江市東出雲町の「黄泉平坂」。門扉のような二本の石柱に、結界のようなしめ縄が張られている(2014年3月22日撮影)

 イザナミを待つイザナギでしたが、待てど暮らせどイザナミは戻ってきません。そこでイザナギは火を持って暗闇の中へと足を踏み入れました。そこには、体が腐敗しウジがわいた醜い姿のイザナミが横たわっていました。これにイザナギは驚き逃げ出します。それを見たイザナミは「よくも恥をかかせたな」と怒り、イザナギを追いかけました。

黄泉平坂の奥の雑木林(同日撮影)

 追ってくるイザナミや醜女たちに対し、イザナギはブドウの実やタケノコなどを投げて注意をそらしつつ、時には剣を振りながら、なんとか黄泉平坂(よもつひらさか)逃げ切りました。すぐにイザナギは「千引きの岩」で黄泉の国への入り口を塞ぎました。

黄泉平坂の石柱付近に並ぶ石。イザナギが黄泉の国の出入り口をふさいだ「千引きの岩」の痕跡だろうか?(同日撮影)

 黄泉に国を塞いだ岩の向こう側からは、「それなら私は1日千人を殺すだろう」と恨み節のイザナミ。イザナギは「ならば私は、1日に1500人の人間を生もう」と答え、夫婦神はここで絶縁することとなりました。

イザナギが晩年を過ごした場所とされる兵庫県淡路市の伊弉諾神宮(2019年6月14日撮影)

 黄泉の国から一人戻ったイザナギは、穢れを払おうと水に入り儀式を行いました。顔を洗った際、左目からアマテラスオオミカミ、右目からツクヨミミコト、鼻からスサノオノミコトが生まれました。一説には、綿津見三神や住吉三神なども生まれたそうです。

伊弉諾神宮の神泉(同日撮影)

 イザナギはアマテラスに天上の高天原を、ツクヨミに夜の世界を、スサノオには海原国を治めるよう委ねました。尚、この時に顔などを洗う禊の儀式の作法が、神社参り前に両手や口を洗う儀式の元になったそうです。続く。

黄泉平坂への地図↓

伊弉諾神宮↓


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