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昨日までは気体になっていた君

4
短編小説
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#ショートショート

昨日までは気体になっていた君 4

昨日までは気体になっていた君 4

10月の後半空いてる?

なんてアバウトな質問でも
きっと君は返してくれるよね?
そんな圧力とも捉えられるこの言葉を
用いてしまうのは、
今朝の苛立ちのせいなのだろうか。

昨日洗ったばかりの枕カバーは
やけに洗剤のにおいが強く、
大学時代の初めて泊りにいった人の部屋を
嫌なほどに脳内の記憶に差し込んでくる。

食器が洗われる音がする。
電気をいくつか消してテレビをつけ
ソファの左端に座る。
結婚

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昨日までは気体になってきた君 3

昨日までは気体になってきた君 3

「もう少し光あてて〜」

「はい!」

「ラストテイク行きま〜す」

何とか今週の撮影も乗り切った。
このスタジオはやけに日当たりが良くて
10月の冷たい風も心なしか
夏の香りを含んでいた。

「お疲れ様」

酒焼けしたかのような掠れ声とともに
アイスコーヒーを渡されたものだから
一瞬だけ夏の香りが強くなったような気もした。

煙草を吸いながら、
今日手伝わせてもらってる
大学時代の写真サークルの

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昨日までは気体になっていた君 2

昨日までは気体になっていた君 2

くそ

目がチカチカしてきた。
もう何時間もこの憎き画面を眺めている。
明日は土曜日だというのに
というか時計に目をやるともう今日が土曜日になっていた。
また今日は風呂に入って勇太にかまってやることもできずに寝るのか。
どうせ晴香の入れた湯船も冷え切っているに違いない。
画面をシャットダウンせずにお辞儀させ、
せめてもの優越感に浸り,
まだ会社に残る後輩の槇に声をかける。

「槇ちゃんお疲れちゃん

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昨日までは気体になっていた君 1

昨日までは気体になっていた君 1

昨日の主任は一段とウザかった。
私のミスではないのに先月のミスと同じミスだったので
私のせいにしてきたのだ。
悔しくて、もう、どうにでもなれと
今日は出勤する時間に勤務地の病院とは
真逆の方向の満員電車に乗り込んだ。
本当はこのまま東北の方まで逃げ切ってしまいたかったのだが、
途中で怖くなって、
たったの三駅で降りてしまった。
なんて言い訳しようかと主任のメアドをスマホで開いたまま改札を出る。

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