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【後編】神戸遥真さんの恋シェイクシリーズは高校生の等身大の気持ちがめいっぱいつまってる

こんにちは、上田です。めっちゃくちゃ暑いですが、私はさっきまでカフェにて読書してました!

帰宅してカフェの涼しさと家の暑さの落差にがっかりです(笑)

カフェで読んでいたのは、神戸遥真先生の「恋とシェイクとバレンタイン」「恋とシェイクと春休み」「第45回日本児童文芸家協会賞」を受賞した、Eバーガーシリーズの続き、4巻と5巻です!

今回はこの2冊について、本の紹介と感想をつづっていきますが、シリーズ前半3巻の「恋ポテシリーズ」については前編であるこちらの記事をどうぞ。

後半2作は「恋シェイク」と略すようです…!「恋ポテ」もかわいいけど「恋シェイク」もかわいい!

さてさて、ではシリーズ4巻目「恋とシェイクとバレンタイン」のご紹介を、ネタバレに配慮しつつしていきますね!

「恋ポテ」シリーズの主人公は守崎夢芽ちゃんでしたが、4巻目の「恋シェイク」からは主人公が交代!夢芽ちゃんと同じ高校一年生の衣笠詩織ちゃんになります。

ある日、帰宅した詩織ちゃんを待っていたのは、父がカフェレストランを開業するために会社を辞めた、という彼女にとっては「聞いてないよ」とでも言いたくなる報せ。詩織ちゃんは母から「これからお小遣いはなし。ほしいものがあったら自分で働いて買いなさい」と言い渡されます。

厳しい家庭ゆえにバイトが禁止だった夢芽ちゃんの家とはまた違った、自立心を育ませるような家庭環境の詩織ちゃん。これからどうするのだろう、と興味を惹かれます。

ネイルなどの趣味にもお金がかかるゆえに、バイトをせざるを得なくなった詩織ちゃんは、京成千葉中央駅にあるEバーガーに面接に行くことになり……

Eバーガーシリーズを1巻から読んでいる方にとっては、とっても美味しい展開なのですが、詩織ちゃんが働くことになったEバーガー店舗は、1~3巻の主人公である夢芽ちゃんのバイト先と同じ。

つまり、また3巻までに出てきた登場人物と、4、5巻でも会えちゃうわけなのですよ。

「恋とシェイクとバレンタイン」は、詩織ちゃんを中心に、3巻までの登場でお馴染み、大学生スタッフで演劇サークルに勤しむ隼人さんが出てきます(イケメンゆえに周りの女子がどんどん勝手に落ちていく地獄の展開は4巻でも変わらず…!)

そして、詩織ちゃんが中学生のときにあるトラウマをつくるにいたった、同じ中学校の須野陽平くん、詩織ちゃんが高校デビューしたときに、まっさきに友達になれた、華やか女子のクラスメイト、愛実ちゃんの二人もまた重要なキーパーソン。

4巻で一番面白いのは、詩織ちゃんが自分のなかに勝手に作った掟「キャラづくりをうまくやらないと、みんなとスムーズに仲間になれない」に振り回されて、失敗しながらも試行錯誤していくところ。

新しい環境に飛び込むときって、それが学生生活でも、職場でも、サークルでも、すごく最初は緊張して「うまくやらなきゃ」って思いますよね。でもそのわりに、うまくとりつくろうことができずに空回りしちゃったり。

詩織ちゃんの悩みながら奮闘していく姿がいとおしい、4巻でした。

さて、続いては「恋とシェイクと春休み」の紹介にまいりますね。

4巻の終わりで、仲のいい友人だと思っていた愛実ちゃんをあることで怒らせてしまい「高校生活、詰んだかも」と絶望する詩織ちゃん。

一方、気になりはじめて意識した隼人さんに、バレンタインでチョコを渡したらたちまち微妙な空気になってしまって、そのあとも何事もなかったように振る舞われていることも、詩織ちゃんが落ち込む原因のひとつで…

ちょっとしたことで嬉しくなったり、地の底までテンション下がったり、高校生の感情は忙しく、そのあたりも本当に丁寧に描かれているなあ、と思います。

なんとか挽回しようとがんばるなかで、詩織ちゃんは隼人さんと二人で会う機会をとりつけます。

お出かけのなかのあれこれで、隼人さんはどうも「自分の見た目(表面)の良さだけ切り取られていろいろ判断されること」が好きじゃないということに気が付く詩織ちゃん。

詩織ちゃん自身は一方「自分自身は表面的な部分ばかり人前で取り繕ってきた」ということに気が付き、いろいろなことを考え始めます。

愛実ちゃんとの仲直りのために背中を押してくれたのは、やっぱり隼人さんで。詩織ちゃんは勇気を出すことに決めるのでした。

一方、同じ中学でいまはバイト仲間でもある須野くんも、詩織ちゃんが隠し続けてきた「趣味」について、二人の間の誤解が解けたあとは全力で肯定し、励まし続けてくれます。

ほんと、須野くんのキャラが良すぎて、読みながら「詩織ちゃん、隼人さんばっかり見てないで、須野くんのほうも見てね???」とおせっかいを焼きたくなったくらいでしたよ。

こんなまっすぐに自分にOK出してくれる仲間が近くにいたら、いいなあ。

そして、夢芽ちゃんと詩織ちゃんの仲も、一緒にバイト先やプライベートで過ごす時間を重ねるなかで、だんだん信頼を増してきて、とってもすてき。

職場で出会う人って、選べない分、思いがけない出会いがあったりするんですよね。

そして、ネイルだけじゃなく、いろんな「できること」を持っている詩織ちゃんは、もっと自信をもっていいのにな、と思いました。自分が実はできること、って、自分のなかではあまり重要視しないのだけれど、ほかの人からみたら「すごいこと」だったりするのですよね。

というわけで、駆け足でしたが、Eバーガーの4巻「恋とシェイクとバレンタイン」5巻「恋とシェイクと春休み」を紹介させてもらいました。とっても面白くて、読むと勇気になる作品を、神戸先生ありがとうございました!

そして、1~3巻と同様に、4巻5巻でも、すごく面白い見所としてバーガーショップの仕事内容がくまなくわかり、職場体験しているような気分に読書をしながらなれます!

印象として、夢芽ちゃんはレジカウンターの接客の描写が多く、詩織ちゃんはキッチン(厨房)での作業が多かったのかな?

たくさん種類のあるメニューを、最初はとまどいながらも、作り方をしっかり覚えていく詩織ちゃんに、エールをたくさん送りたくなりました。

私が高校生のときにこの作品があって読んだとしたら、ぜったいにマクドナルドやモスバーガーで働いてみたい!」と思ったような気がします。

それくらい、この作品の読者層である中高生に、心から「働くことにチャレンジする勇気」を与える作品じゃないかなって思いました。

最後まで読み切って、ちょっと寂しくて、また丁寧にはじめからページをめくりたくなるような、そんなEバーガーシリーズでした。

みなさんも、ぜひ読んでみてください!!!




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