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入れると出すは二つでセット

私たちは食べたら排泄します。排泄できなければ、具合が悪くなります。家だってものを買うばかりで捨てなければパンパンになって住みづらくなります。

それと同じで、人も「インプット」と「アウトプット」を、ほぼ同じくらい行うのがよいのだろうなあ、と、この本を読んで気づかされました。

坂口恭平さんの「自分の薬をつくる」です。これを読みながら、考えたことをつづろうと思いました。(この本の紹介もありますが、私が読んで考えたことが主な本記事の内容となります)

この本の主旨は、著者の坂口さんが読者のお悩み相談のために0円診察室をワークショップとして開設して、答えていくというものなんですが、その答え方が、含羞に富んでいて面白いんですね。

とくに、アウトプットをもっとしよう!と坂口さんは伝えてくれます。

「入れる」ことは、わりと気軽にできます。食べたいものを食べたり、買いたいものを買ったり、本や漫画や映画を鑑賞したり。

でも「出す」ことは、私含めて、うまくできないよ!という人が多いのかもしれません。

腸内環境が整っていなくて、うまく排泄できないから太る、とか、家のなかにものがあふれているのに捨てられない、とか、インプットはできても、アウトプットに苦手意識があって、なかなか思うようにできない、とか。あるあるじゃないですか?

私も、アウトプット下手だなあ、と思うことがあり、それは子供時代に身に着けた「本当の気持ちを言えない」という思いに由来している気がします。言葉を、しゃべるなり、書くなり、外に出そうとするとどこかブレーキがかかる。

喉が詰まっている感じがして、パソコンを打つのも、手書きも、どこか「出していいのかな、こわい!」というためらいがある。

詰まっている言葉を、うまく外に出してやる、そういう訓練をしないとなあ、と思いました。心と体の健康のためにも。

坂口さんは本のなかでこうおっしゃっています。

インプットってみなさん適当にやるじゃないですか。(中略)でもアウトプットの時は急に改まる。アウトプットも、今みなさんがやっているような適当なインプット、乱雑なインプットのようにできると楽になるような気がしませんか?私が普段心がけている方法はこれです。適当なアウトプット。

私も、小説を書き始めたときから「最初から完璧なものをつくろう」という思いが先走りすぎて、自縄自縛になっていました。なので、坂口さんの言葉に結構救われました。

適当でよくて、それを出したあともっとよくしようと思ったら、書き直す、作り直せばいいだけで、最初はもっと適当でいいのだなあと思いました。

もうひとつ、この本のなかで「すごくいいなあ」と思った箇所を紹介します。

創造する、作る、ということは何かを構築することのように考えすぎると、手が出せなくなっちゃうんですね。そうじゃなく、ただ出るままに出すという方が気が楽です。どうするかというと、パッと思いついた「欲しいもの」をそのまま作るんです。これだと、私が自然と欲していることですから、その欲望に従って、それをお金で買うんじゃなくて作るんです。これが一番簡単で、かつとても自然なウンコだと思います。しかも、そうすると、必然的にこれまでやったことがないものになります。このやったことないってことがとても大事な気がします。

坂口さんは小説も書かれるし、セーターも編まれるし、野菜も作っていますし、パステル画も描かれて、Twitterに載せてらっしゃいます。

「つくる」「アウトプットする」という日課を日常に取り入れることで、人生が生きやすくなる、そんなことをこの本は伝えてくれています。

のどの奥につまって、上手く出せないでいた言葉たちを、もっと勢いよく外に出していってあげていいんじゃないかな。

そう思えた、素敵な一冊でした。

noteの街でなにかをつくっている、みなさんにおすすめです。


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