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三月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part4

part1 part2 part3 part4 part5 結果速報

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。

【3月のテーマ】
作中に必ず『空』という文字を入れる。

3月31日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、各月の受賞作などは下記をご覧ください)

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応募作(3月20日〜26日・投稿順)

青木ポンチ(サイトからの投稿)
「あっ、龍だ」「あれ、鳳凰に見えない?」ふんわりした女友達は、ちょくちょく、空に何か空想上の生物を見出す。私は、路傍に視線を落とし「うわ、かりん糖と思ったら犬の糞だった」とこぼすと、彼女は声を発することなく、再び空の彼方を見据えた。
沼畑真(サイトからの投稿)
父の遺体を焼いてもらった。焼いた煙が空気中に広がって、父と世界が一体になったのだなと、ぼんやりと考えながら焼き終わるのを待っていた。骨を拾い上げて、一通り挨拶を済ませて帰るとき外に出てみると、これでもかというくらい青い空が広がっていた。快晴の青空だった。
その青さがとても憎かった。
ぴーこん(サイトからの投稿)
メガメガシャキシャキ
ペパーミント
アロマディフューザーの蒸気に乗って、空中に分散。

あなたは私の鼻奥を刺し、容赦なく体に侵入してくる。
あら、夢の中にまでお邪魔するのね。
別に良いわよ、大した内容じゃないから。
見たいならどうぞご自由にご覧なさい。
その代わり目覚めを良くして頂戴。
青木ポンチ(サイトからの投稿)
「東京には空がない」と友が言う。そうだろうか。「思っているような空がない」だけではないか。私は「東京には水たまりがない」と思う。どこまでも平坦で凸凹がなく、無機質で乾いた地面。灰色の空から落ちた雨粒が、灰色の地面にはじかれ、どこかへ消えてゆく。
鳥谷(サイトからの投稿)
 おー、声を漏らせばその響きがそのまま洞穴の天井へと跳ね返り、遠く地下流のノイズへと溶けてゆく。
「ここはね、腹だったんだよ、アレ、骨ね」
 カンテラの光が、岩と同化した骨が列を照らし出す。空洞は微かに塩辛く、目元を拭う。彼方に海が見えた気がした。
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