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一月の星々(140字小説コンテスト第2期)応募作 part4

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月ごとに定められた文字を使った140字小説コンテスト。

今月の文字は「結」。

1月31日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、過去のコンテストなどは下記をご覧ください)

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(不定期でマガジンメンバーの記事が配信されることがあります)

応募作(1月20日〜26日・投稿順)

おもち(サイトからの投稿)
姫は遊びで時たま蛙になる。戻る為にはキスをするしかない。
「さっさとキスをしろ」
理解者が俺しかいないからと、俺の気も知らないで!
「早くしろ。人が来る」
それでもいい。俺は蛙の口にキスをする。戻った姫が身なりを整えて。
「いくぞ下僕」
結んだ俺の手を引く。この片想い叶うといい。

おもち(サイトからの投稿)
「僕は先生が好き」
「お前、男」
「けど好きです。結婚してください!」
差し出された指輪に俺は笑う。
「お前の小遣い3ヶ月分?」
「バイトして、買いました。プラチナじゃないけど」
そっと俺の手を取りはめる。
「綺麗だな」
「石はムーンストーンです」
「恋の予感か…」
悪くない。

ヒトシ(サイトからの投稿)
その桂の大樹は奥まった社にあり、幾本かの太い幹が鬩ぎ合いながら遥か高い空へと聳え立っている。大寒の強い北風が冬枯れの枝枝を轟々と揺さぶりながら吹き抜ける。一条の光が幹の根本の隙間を貫き、鮮烈に迸る谷川の水面を照らした。まるで光年の距離と悠久の年輪と刹那の流れを光の糸で結ぶように。

あかいあとり(サイトからの投稿)
今日を以って私は亡き姉の夫と夫婦となる。形は違えど同じひとを愛し、残された子をともに慈しむ同志よ。どうかこの契約が、性愛ではなく親愛で繋がる私たちを、正しく家族として結んでくれますように。「彼を夫とし、命ある限りともに慰め合い、助け合うことを誓います」

すーこ(サイトからの投稿)
遥か昔、星と星を結んで話を紡いだ先人がいた。「さっきのプラネタリウムの話、切なかったね」「うん。でも、今ふたりは星になってずっと一緒。もう寂しくないんじゃないかな」「そうだといいな。私もあなたと一緒になりたいな」「ぜひ」数千年の時を越え、今もなお語り継がれる話が、人と人を結んだ。

すーこ(サイトからの投稿)
「今日は新月だね。冬の大三角がよく見えるよ。そっちはどう?」スマホを傍らに置き、再び空を見上げる。しばらくして、バイブが返信を告げる。「シリウスが今日も青く輝いているね」私が好きだと言った星。今は単身赴任の彼との初めてのデートのときのこと。空は今も、私と彼を結びつけてくれている。

すーこ(サイトからの投稿)
高校二年の冬、青井大河、小白千尋、俺平山賢治の三人でふたご座流星群を見た。一等星になりたいと願った千尋は、空へと旅立った。四年後、大河と再会し、思い出と夢を語らった。互いの努力が実を結ぶことを願い、二人で空を見上げると、一際明るい星が輝いている。千尋が背中を押してくれた気がした。

すーこ(サイトからの投稿)
星空の下、契りを結んだ。「一人前になって、貴方を迎えに来ます」貴方の言葉を信じ、今日も窓辺で星空を見上げて待つ。都会色に染まって変わってしまったのかも。そんな不安が頭をもたげる。コンコンコン。「約束を果たしに来ました」逸る気持ちを抑え、扉を開ける。変わらない笑顔の彼を抱き締めた。

すーこ(サイトからの投稿)
残業を終えて外へ出ると、リボンのように冬銀河が空を結んでいた。ご褒美の贈り物のようだ。帰り道を歩いていると、内耳の奥であの旋律が響き始める。ピアノの音が鳴り響く。オルゴールのときもある。作曲した数々の音楽家も、こんな夜空を見上げたのだろうか。ノクターンが、今日も私の夜を支配する。

Kayoko(サイトからの投稿)
雪なのに、待っているのよ。あの人を。胸の高鳴り、聞こえるかしら。
かんざしと、結った金髪、似合うでしょ。当時みたいに、また褒めてよね。
足袋だって、もう慣れたから、何処へでも、行ける気がした。貴方とならね。
それなのに、亡き故郷は、遠すぎる。
記憶が薄れ、安住の地に、溶け込んだ。

あかいあとり(サイトからの投稿)
真っ白な窓に指を当て、子ども達は競い合うように絵を描いている。それは結露というんだよ。声をかければ、なぜ何どうしてが止まらなくなった。気を逸らすことには失敗したらしい。ちなみに君らの名前はこう書くんだよ。見よう見まねで字を辿る子の姿に、かつての父の気持ちがようやく分かった。

なつ(サイトからの投稿)
新年のお詣りでみかんを頂きました。みかんはいつの日からか少し苦手です。一番奥の小さなみかんを、一つ手に取りました。そろそろ踏み出す季節なのかもしれません。みかんの香りが広がって蓋をしていた中身が顔を出し。結びをひらいて。ありがとう、さようなら。嗚呼、なんて甘いみかんなんでしょう。

なつ(サイトからの投稿)
ふと何気ない瞬間に、深く想いが沈んでしまうこと。決めたことが一瞬で、散り散りになってしまいそうになること。そんな足取りの、踏み出す一歩の重いこと。わたしは何故そこに向かうのか、確かな理由も決意も揺らぐ。ただ一つ、わたしが在ると教えてくれる言葉。それだけが、きつく結ばれた心を解す。

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