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十二月の星々(140字小説コンテスト第2期)応募作 part5

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月ごとに定められた文字を使った140字小説コンテスト。

十二月の文字「光」は12月31日をもって締め切りました!
(part1~のリンクも文頭・文末にありますので、作品の未掲載などがありましたらお知らせください)

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そして一月の文字は「結」です!
応募方法や賞品、過去のコンテストなどは下記をご覧ください。

応募作(12月27日〜31日・投稿順)

ヒトシ(サイトからの投稿)
ファンヒーターがタイマーで動き出す。すっぽりと首まで毛布にくるまって部屋が暖まるのを待つ。この30分のたまらない贅沢に微笑む。窓から差し込む朝の光が結露に乱反射してオレンジ色に染まる。1日で一番寒い時間。そして1日で一番美しい時間。世界の片隅でなんでもない日がなんでもなく始まる。

四野灯子(サイトからの投稿)
かかえた膝に頬をのせると、床に落ちた光の線が揺れる。カーテンの向こうで、庭は静かだ。可憐なプリムラ、賑やかなパンジー、そして純白のヒヤシンス。あのひとが残した花たちに、幾日水をやっていないだろう。じっと祈る。幸せな記憶を、薄い光がすこしずつ枯らしてくれますように。

四野灯子(サイトからの投稿)
闇がやってきた。なぜ塔に残るのです、と僕は司令官へ問うた。荒野に残る仲間は僅かで、もう時間の問題です。種族の最後があなたになったとして、それでも逃げないことに意味はありますか。「兄弟よ」青い瞳で彼女は僕をみた。美しい視線だった。「ここに光が灯るかぎり、絶望して死ぬ同胞はない」

ちる(サイトからの投稿)
夢の中の百貨店はすべてが光り輝いていたが、私は迷子になって泣いていた。私の前に、ピエロが現れた。彼の風船を持っていない方の手を握ったのは覚えているが、その先は覚えていない。何しろ昔の夢なのだ。確かなのは、あの時ピエロに誘拐された私が本物で、今ここにいる私は別の何かだということだ。

ちる(サイトからの投稿)
未確認生物シュリーム・モクロムは、光速で空を飛ぶ。あまりに速いので、その存在を知る者はほとんどいない。でも優しくてかわいい子なんだよ。そんな生き物のことを、なんで僕が知っているのかって? 誰も見つけてくれないと言って公園のベンチで泣いていたから、キャンディやって友達になったのさ。

なつ(サイトからの投稿)
薄く開こうとする瞼の隙間から光が輝いている。万華鏡のように、きらきらと。流しているのは冷たい涙だ。全ては凍りついてしまいそう。いつになったら止まる?いつになったら忘れられる?いや違う。忘れたくない。忘れることは、きっとない。だけど。この涙が変わってほしい、温かな涙に。温かな光に。

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