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七月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part5

part1 part2 part3 part4 part5 結果速報
【お知らせ】
オンラインワークショップと140字小説コンテストの受賞作を掲載する雑誌、タイトルが『星々──生きるように書くこと』と決まりました!
当初は参加者のみへの配布を考えていましたが、広く皆さまにお届けしたいと考え、クラウドファンディングをおこなうことにしました。
近く詳細をお伝えしますので、よろしくお願いいたします!

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。
7月の文字「時」は7月31日をもって締め切りました!
(part1~のリンクも文頭にありますので、作品の未掲載などがもしありましたらご連絡ください)

【月々の星々賞】
一席、二席、三席の3賞+佳作7編(計10編)
一席、二席、三席の方にまんまる○さんによる活版印刷の特製賞状(手書きのお名前入り)を、一席の方にほしおさんの活版カード5枚セットを贈呈

受賞作の速報はnoteやTwitterでお伝えするほか(8月21日夜を予定)、星々マガジンをフォローいただくとhoshiboshiメンバーの記事とあわせて更新のお知らせが通知されます。

そして8月の文字は「星」です!
応募方法や賞品、各月の受賞作などは下記をご覧ください。

応募作(7月27日〜31日・投稿順)

白石慎(サイトからの投稿)
「今日はルフナにしたよ」
流れる砂を見つめて声をかけた。紅茶はいつも2杯分淹れる。君に頼まれたから、儀式みたいに面倒な手順や呪文のごとき茶葉の名前も覚えたんだ。もう一つのカップ、その隣には砂時計。小さくなって玻璃の柩に眠る灰色の君と、3時のお茶会を始めよう。これから先もずっと。
ササキ(サイトからの投稿)
私達から買われていった時間が駅ビルの売店で売られているというので見に行く。各々ショウウインドウを覗く。友人はあのすいかがそうだといい、また別の友人は袋詰めのパン、では私のはと探すと冷めたなす天がそれだとわかる。それは三割引のシールの貼られた天丼の中にあり、疲れた人に買われていく。
日廻羅船(サイトからの投稿)
絡繰り仕掛けの君との一時を巻き戻すことはできない。毎日時を告げる鳥は歌う。日が沈み、土の中に潜ると、一寸ばかししかない君が顔を出す。今日も元気に過ごしていたかい?満ちては欠けゆく、月明かりを纏った夜空の踊り子。君が零す言の葉を、いつも微風がかっさらう。もうじき朝か…お休みなさい。
ゆっぷっぷ(サイトからの投稿)
私はうまくつむげない。
手の中の糸はみすぼらしい。
力を入れすぎてたり、よそ見をしながら縒りすぎていたのかもしれない。
もう一度紡ぎ直すのか、
この糸で作った服を身に纏うのか。
立ち止まっていたら、最期はなにも手にできない。
だからゆっくりでも時の糸を紡いでいくしかないのだ。
ゆっぷっぷ(サイトからの投稿)
速かったり、遅かったり、甘かったり、辛かったり、
毎日ガチャガチャで時を選ぶ。
今日は辛い時間を引いた。苦手な英語のテストの日。
次の日は遅い時間を引いた。全校集会の日。
その次の日は甘い時間を引いた。彼とはじめて手を繋いだ日。
最期の日は速い時間を引いた。あっという間の人生だった。
キジトラ(サイトからの投稿)
幾つもの月日を歩いてきた。水中のビー玉みたいに透明で傷だらけな昔を全て胸に抱えて、今を生きている。運転席のシートを倒して深く息をつけば、青空にゆっくりと流れゆく白い雲。不意にこぼれた涙は、喪失の悲しみに似ていて腹が立つ。この気持ちさえ、いつしか時の向こうへ流れて消えるのだろうか。
一葉(サイトからの投稿)
卒寿のばあちゃんは時の旅人。歳とって体が不自由になると、過去へ旅するようになった。度々行くのは自称美人で活躍したらしい学生時代。女学生に還ると幸せそうに物語る。僕も旅人になりたいと呟いたら「80年早い。過去への旅は生き抜いた者への恩寵だよ」脱帽。ばあちゃんはいつだって冴えている。
一葉(サイトからの投稿)
夏蜜柑をもいだ瞬間時を遡った。皮を刻みマーマレードを作る若かりし母の姿が浮かぶ。シンクロする爽やかな香りと母の笑顔。長い時を経て、こんなごくありふれた一瞬を鮮明に思い出せる事を奇跡とさえ思う。母の枕元に夏蜜柑を置いてみよう。歳を重ね記憶を殆ど失った母にもこの奇跡を見せてあげたい。
西岡玲瑠(サイトからの投稿)
20XX年、医療科学の発展により人間はついに不老不死を手に入れた。
永遠の時を生きられるようになり、莫大な時間を謳歌する人間だったが100年経つ頃には
それは当たり前となり死という概念が薄れ始めていた。
死を超越して永遠の時を生きる人間はやがて神になり自らの手で新たな知的生命体を作り上げた。
甘利(サイトからの投稿)
歴史の教科書に書かれた偉人は何を思い、何を感じて生きたのだろう。
しかめっ面の写真ではわからない笑顔を浮かべていたこともあったのだろうか。
思考の海を泳ぎ遠い時代を夢想する。
しかし優雅な海水浴は、今日もまた唐突に終わる。
教科書に載った写真と同じ表情をした先生の言葉によって。
「寝るな」
肉マン(サイトからの投稿)
6時半の男。晴れの日も、嵐の日も。酷暑の夏も、極寒の冬も。平成から令和に改まっても、世界がウイルスに包まれても。その男は変わることなく、6時半になると決まって、あらん限りの声を上げて、身悶えをしながら、泣く。いや、鳴く。猫よ、なぜ鳴くのか。単に腹が減っただけのようだ。
下記2作品はハッシュタグを漢数字で表記されていましたが、締切直前で修正のご連絡が行えなかったため特別に応募受付させていただきました。
ハッシュタグは半角数字で #7月の星々 などとつけていただくようお願いいたします。
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