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三月の星々(140字小説コンテスト第2期)応募作 part1

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月ごとに定められた文字を使った140字小説コンテスト。

今月の文字は「解」。

3月31日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、過去のコンテストなどは下記をご覧ください)

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(不定期でマガジンメンバーの記事が配信されることがあります)

応募作(3月1日〜5日・投稿順)

紅之下(サイトからの投稿)
解毒剤は一個しかない。「君のためなら……」と踏ん張る僕。疾うに感覚は失われいまや解決策はひとつだった。君が救われ、僕を看取る。そんな些細なできごとだった。恋愛は惚れたほうの負け。いまさらながらにその意味を痛感する。同時に惚れていたら如何なっていたかな……。残す僕はこの上なく幸せ。

sato(サイトからの投稿)
解けてしまった靴紐を結び直そうとして屈んで、革靴が思っていたより汚れているのに気づく。今のワンルームは北向きで、朝も玄関は暗いし、時間にルーズだから、外に出るといつも急いでいて足元なんか見ない。だからこんなに汚れているのに気づかなかった。そりゃあこれだけ外回りしてれば汚くもなる。

sato(サイトからの投稿)
週に二度は銭湯で身体を温めるルーティーンにしようと新年の抱負で決めたものの、寒さが和らぐと決意も弛みがちで、しばらく行っていない。生活はどうにも解れていってしまうが、しばらくするとまた纏まってくるはずだ。私自身が纏め上げるというより、多くは季節の仕事だから、今はそれを待っている。

tadano turu(サイトからの投稿)
人間は不思議だ。様々な何かしらの影響で心身が一致しなくなった時、身体と心が分離し、解体する感覚に陥る。身体の内側から細胞が分裂し壊れそうになる。とてつもなく怖い。だが細胞は生をつなぎとめようと解体から解放へと向かおうとする。強引に生の方向に押し上げてくる。解はどちらにもなりうる。

アサキ(サイトからの投稿)
解が無い。解が無い。解が無い。

しまった、15文字使ってしまった。けれど幾ら探しても、見つからない。
むしろ見つかってしまったら、無駄だと諦めるしかない恐ろしさもある。
上や下に並ぶ方々は、もう見つけているのだろうか。
解が分からないからこそ、夢を追って書き続けている。

紅之下(サイトからの投稿)
解決策はない。でも諦めたくない。ジレンマの渦中、電話が鳴った。「俺達付きあうことになったんだ」親友からのひと言。途方に暮れ、「おめでとう」と返す。さっき彼女からも電話があった。「私達付きあえるかな?」。意地だった。親友の幸せを裏切れなかった。それだけのこと。それだけの春。

だい(サイトからの投稿)
試験開始三分前に彼はやっと現れて、隣の席の僕に「筆記用具貸して」と言った。筆箱ごと渡すと「これ借りるよ」と彼は青ペンを一本だけ取り出した。
解答用紙を回収するときにちらりと見えた彼のその用紙には「ごめんなさい」とだけ書かれていた。「あまりできなかったよ。」と彼は自信満々に言った。

紅之下(サイトからの投稿)
解れるように君との距離を。そう願ったのは、いつだっただろう。春の夜風が気持ちいい。そう感じたのは、又、いつだったのか……? 変わらぬ距離。変わらぬ言葉。ここには居ない、誰かを想い――君の言葉はすぎ去っていく。「秋までには、なんとか」。只、そう願う、横顔に、僕は。

紅之下(サイトからの投稿)
「俺が一番、残酷なんだぜ?」、と、君。私は「でも優しいよ?」と、返す。「俺は、この空の下、自由だ」、と君。私は、「じゃあ一緒に飛ぼうよ」と、返す。ふたりの間に、剣呑な、空気。「解せないな」とは、残す君。「でも私は……」追いていくから。と、私。

紅之下(サイトからの投稿)
「負け犬同士だね」。と、君。僕は只々竦むのみ。「理解不能よ」とは、又ひとつ。『振られた者に、人権は、ない』。僕は只々竦み切り。やっと、ひと言、絞り出す。「でもさ……でも、違うだろう!」。ふたりは『一時、微笑んで』。只、訝しみ、笑うのだ。嗚呼、苦しい。『ここの酸素は、金が要る』。

なつ(サイトからの投稿)
解(と)けるって何でしょう。解(ほど)けるって何でしょう。結んだ心に触れてみる。それは緩んだら駄目ですか。頑なになっては駄目ですか。何度も何度も確かめてその綻びに締め付けられる。頑なになりたいのは自分だ。緩めたいのは自分だ。解けない私を確かめる。解けてなくならない自分を確かめる。

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