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【人と人の関係】イヤな同僚と職場(最終回) 馬と絆を結ぶ

A氏の振り返り(怖さの違い)
1度目は、他者目線に対する意識が封印している「怖い」という感情。
ルーカスは微動だにせず。
私の心がルーカスではなく他者に向いているから。

2度目は、自分の心の中に生じた純粋に「怖い」という感情。
ルーカスはA氏が「怖い」と思った瞬間に停止。
呼吸をして静かにルーカスを向き合ったから、草を食べるのをやめて私に歩み寄ってきた。でも、途中で怖いと思ったから止まった。

そういうことか。オーナーが言ってた「馬に人の心は隠せない。」とは。
馬の反応は本当にシンプルだ。

1.3度目の挑戦

静かに呼吸する。もう何も考えない。呼吸に専念しよう。
静かに息を吐く。
ルーカスが歩み寄ってきた。
やはり、ちょっと威圧感を感じる。
ルーカスが立ち止まる。でもルーカスの目が優しい。
さっきは気づかなかった。

息を吐く。肩の力を抜く。
ルーカスが頭を下げて、穏やかな目をして近寄ってくる。
静かに息を吸う。そして静かに息を吐く。
こんな穏やか目をしていたんだ。さっきの怖さが今はない。

ルーカスがもっと頭を下げて近づいてくる。
そして止まった。私の目の前で。
こんな優しい相手がさっきはなぜ怖かったんだろう。
自然に手がルーカスの額へ伸びる。
温かい。

パパすごい!
娘の声が聞こえる。
妻がルーカスのような目で私を見ている。

2. 職場に戻って

なんか、今日は足取りが軽い気がする。これまでの重苦しさがない。
オフィスはいつも通りだ。
支店長との会話
支店長:「おはようAさん。体は大丈夫?」
A氏 :「はい。おかげさまでゆっくり休んだら回復しました。」
A氏 (心の声):なんだ、普通の会話じゃないか。昨日休んだことに対する嫌みの1つでもでるかと思ったけど。

B子さんとの会話
B子さん:「昨日の書類、速やかに処理お願いしますね。」
A氏 :「おはよう。昨日は突然休んで済まなかったね。」
A氏 (心の声):挨拶もなしに、いきなりこれか。

静かに息を吐く。肩の力を抜く。そして静かに息を吸う。そして吐く。
胸元、開けすぎだな。
香水、臭いな。
声、インパクトあるな。
ん? 不思議だ。ありのままの事実だけを感じようとしている。
いつもなら、だらしないとか嫌らしいとか評価して不愉快になるのに。

A氏 :「書類は一応目を通した。君が作った書類だから、それでいいんじゃない。はいお返しします。」(自然に言えてる!)

B子さん:「えっ!!」

その日の午後(実際の会話だそうです。)
支店長:「B子さん、例の書類できてたら見せてくれない?」
B子さん:「え、えぇ。一応出来てますけど。こんな感じで。」
書類に目を通す支店長:「これ・・・。 ん~。」
支店長:「Aさん、これちょっと目を通して、必要箇所を直してくれない?」
A氏 (心の声):「やはりきたか。」

静かに息を吐く。肩の力を抜く。そして静かに息を吸う。そして吐く。
見える。この構図が。 シンプルだ。
B子の無責任・・・それはB子の問題
B子の怠慢・・・それもB子自身の問題
B子への指導・・・それは支店長の権限、支店長の問題
B子から私への責任転嫁・・・受けるか否か。それは私の選択
支店長から私への責任転嫁・・・受けるか否か。それも私の選択

私の心はなんと言っている?・・・Noだ。
でも、それは私のわがままか?・・・Noだ。
私が断ったら、周囲の空気が・・・ 気にする必要なし。それは他者目線。
あとで気まずくなったら・・・ 気にするな。それも他者目線。

昨日、ルーカスは私が私に向き合ったときに心が通じ合えたではないか。
私の本心を、他者目線で封印すると、結局、お互いに通じ合えない。

静かだ。

A氏:「支店長、それならB子さん自分でできますよ。」
(自然に言えてる!イライラしていないし、心も騒いでいない。
支店長の反応にも、B子の反応にもまったく心が向かない。)

この様子を見ていた、本社から転勤してきた若手のD君
「Aさん!!」(ただ驚く。)

3. その後の嫌な同僚と職場はどうなったか

その後、A氏は静かに仕事に専念できるようになりました。支店長とB子さんが、支店内で少しずつ浮き始めてきたからだそうです。

A氏の静かな対応と、そのたたずまいが周囲の他のスタッフにも波及していきました。
A氏は支店長やB子さんを、心静かに観察しているうちに、彼らに対する評価目線や、自分自身に対する他者目線にすぐに気がつくようになったそうです。

そして、A氏はさらに重要なことに気がつきます。

それは、B子さんの公私混同に振り回されたのは、
B子さんの言葉が、いつも心に嘘がない状態だったからインパクトがあったのではないかと。(事の良し悪しは別として)
自分の心を封印しないで、自分に向き合う。
この経験をしてから、感情論に走ることなく、相手を観察できるようになったA氏だからこそ、B子さんのある意味素晴らしい特性に気づいたのかもしれません。

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