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「夏の子ども ~ 長崎・大黒恵美須市場にて」

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「大黒・恵美須市場」は今年で約50年。
他の多くの市場と同じく、戦後ようやく戦禍・原爆禍から立ち直っていった頃にできた市場です。

元々長崎市中心部では、焼け跡にポツリポツリと立っていったバラックのお店から少しずつ市場を形づくっていった場所も少なくないと思いますが、この大黒・恵美須市場は元々今のJR長崎駅あたりにあった市場が、長崎市との契約によって小さな川の暗渠上に移ったものです。

しかし、その後50年、暗渠部のコンクリートの劣化が進んだとして、市側はこれ以上の契約の更新をしないと市場に通告。結果、来年2012年の3月末を持って、この「長崎の復興の象徴」とも言うべき市場は解体・撤去されます。

このイラストは、たまたま仕事でお世話になった方のご両親が大黒・恵美須市場内で鮮魚店を営まれており、すごくお世話になったお礼として、また私の著「僕の子ども絵日記~ながさきの四季」の原画プリント展を現在も尚快く了承してくださっている同市場の共同組合さんへの感謝を込めて描かせてもらったものです。

今日2011年12月30日、その鮮魚店さんが閉店されるという前日。「お疲れ様でした」という言葉を伝えるのと、お正月の買い物のために市場に行きました。
やはり変わらぬ笑顔で迎えていただきました。きっと来年も再来年も年の暮れになると、今日の日を思い出すと思います・・・

皆様もぜひ「戦後長崎の復興のシンボル」でもある、この市場と最後まで笑顔と感謝で商いをされている市場の方々に会いにきてください!

昔は人であふれ、通行するのもままならなかったとのこと。その頃とは比べようもありませんが、それでもこの日はやはり「正月を迎える」という活気、空気感が市場内に満ちていました。

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お店を始められて47年。私の人生とほぼ一緒です。それはそれは長い年月ですね。好況、不況、大水害・・・いろんな長崎の歴史とともに商いをされてきたわけです。

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周りが1つ、また1つとシャッターを降ろす中でも明るく気丈に頑張ってこられた、ということをしっかりと見届けさせていただきました。 本当にお疲れ様でした。

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市場でのご商売も明日一日ですが、よいお年をお迎えください・・・
お顔を見れないのはさびしいですが、作品を展示させてもらっている者として、来年からもちょくちょくこの市場に寄らせてもらい、ディスプレイを少し変えながら市場の最後の日もちゃんと見届けたいと思っています。

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(元記事作成:2011年12月30日)

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