#43何を話すか以上に大切なこととは~馬との交流分析からの学び~
こんにちは、人馬交流分析士のりょーじ(@Horse Value)です。人馬交流分析って何?りょーじって誰?それをやって何になるの?という疑問への答えは#1をお読みください!
さて、#40ではH.O.R.S.E.理論と交流分析の関係のお話をしてきました。大まかにお話しすると、僕が馬との交流で得た気づきである「人間は本来H.O.R.S.E.だよね」という理論と交流分析の人間観がすごく似ているよ、というお話をしました。
※H.O.R.S.E.理論について詳しく知りたい方は、#7や#28、#29を読んでください!
※交流分析って何?という人は#30~#39を読んでください!
とはいえ具体例を交えていかないと中々分からないと思いますので、僕が学びを得た馬と人との交流を、交流分析を用いてより分かりやすく説明していきます。
今日のラインナップはこちら!
・自分の気持ちを素直に伝えられない(#10)
・交流分析における裏面交流~何を話すかより重要なことがある~
・裏面交流は不信感を生む
今日は#10でお話しした馬との交流についてお話ししていきます。後半ではこの交流に関連する、#30~#39では説明しきれなかった交流分析の理論について説明していきます。
自分の気持ちを素直に伝えられない
自分の気持ちを素直に伝えることができないというのは誰にでも起こったことがあるんではないでしょうか。
交流分析では、誰もが5つの自我状態を全て持っていると考えているので、思ったことを常に言い続けるということができていない時は誰にでもある、と考えています。
さて、#10では馬に彼らが嫌がりそうなことをやってもらう時どうするか、というお話をしました。そこでは「馬に何かを求めることは愛を深めるチャンスだ」というお話をしました。
「自分が何かを求め、馬がやってくれて、自分が感謝して、馬がその感謝を受け入れる」というプロセスは絆を作ることに繋がるということをお話してきたのです。
今回は、その時には交流分析についてまだ説明できてなかったので詳しく解説できていなかった部分についてお話ししていきます。
誰かに何かをお願いするなど言いにくいことを伝えたいとき、どうしたらよいか、について分析的にお話しします!
まず「誰かに何かを求める」時に意識してほしいことは、前回のトラウマ克服の回でお話ししたように「まずは大きな愛を持って働きかける=NP(養育的親)を使う」ことです。
誰かに何かをお願いしたりやってほしかったりする時は、その人との間に愛情があることがとても大切になるからです。素直にお願いできる、というのは信頼を表すことにもなります。まずはその愛の気持ちをしっかり自分の中に持ち、表現しましょう。
「あなただからお願いするんです」「本当に頼りになるありがたい存在なんです」と思い、伝える、ということです。
その上で、何か率直にお願いする時は「僕はこれをしてほしい」という素直な伝え方(FCを使う)をしてください。やるべき(CP:批判的親的)とかやった方があなたのためになる(NP:養育的親的)みたいな姿勢はおススメしません。
人に何かやってもらいたい時CPを使って「やるべきだからやってくれ!」となりがちなのですが、これでは相手はお願いされた内容ではなく、そういった態度(CP)で接されたことに拒否反応を示したり、萎縮してしまったりするんです。
#10でお話ししたように「相手が嫌がるかもな」というのはあくまで自分の予測でしかないので、まずは子どもみたいに率直に「やってほしい」と伝えてみることが有効です。
裏面交流〜何を話すかより重要なこと〜
さて#10では、逆に思ったことを伝えない時不信感が募るというお話もしました。この部分は、実は#36で説明しきれなかった交流の3つ目のパターン、裏面交流のお話になります。
これからその裏面交流について解説を入れつつ、思ったことを伝えないとどうなるか、についてお話していきます。
裏面交流とは、発する言葉と実際の自我状態が噛み合わない交流のことです。つまり、意識的にもしくは無意識的に嘘をついているということになります。
具体例はとても簡単です。こんな交流を見たことあるんじゃないでしょうか?
「遅くまで大変ね(こんな遅くまで何やってるのかしら)。」
「本当に大変なんだよ(ウルセェな!)」
最初の人は発する言葉の上ではNP(養育的親)なのですが、カッコに囲われた内心ではCP(批判的親)です。つまり自我状態としてはCPです。
図では実線が言葉上の交流で、点線が自我状態に基づく心の交流です。
裏面交流は不信感を生む
感覚的に分かっていただけると思いますが、この裏面交流は不信感を生みます。さらに厄介なのは、時として自分が「発する言葉と違う自我状態を持っている」のに自分自身が気づいていないことです。
つまり、無意識的に裏面交流をしてしまっていることがあるのです。
さて、どんなに言葉では別の自我状態を装うことができても#34でお話ししたように自我状態には特徴的な仕草や姿勢があります。
たまに「この人は本心が見えないな。なんだか信用できないな。」と思うことがあるかもしれませんが、多くの場合その人との間に裏面交流がある結果そう思うのです。
ここまでで感づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、この裏面交流は人間特有の交流方法です。
馬に働きかける時、はっきりとした指示を出さずに態度で示そうとしても何を言わんとしているのかは伝わりません。人間同士なら「察する」というシステムはありますが馬にはそれは通じないのです。
ただ人間の方が何か満足していないという「感情」は馬に伝わるので、馬は「何を望んでいるんだろう」と混乱し、不信感を持ちます。
そんなすれ違いの状態は僕達と馬達の間に溝を作ります。そして人間の方が「どうせ分かってくれない」と思い、さらにはっきりと伝えなくなる悪循環に陥るのです。
そういったことを防ぐために、この回の前半や#10でお話してきたことをやっていく必要があるのです。
どうせ態度でなんとなく伝わってしまうんですから、それを察してもらおう、向こうから言ってもらおうとするのはあまり得策ではありません。
もちろんお互いを察し合うことが人間の美徳だという考え方もあるでしょうが、それが不信感を生むというデメリットは確かにあります。
はっきりと伝えることが絆を創る出発点だと信じて、伝えていきましょう。
【今日のまとめ】裏面交流とは人間特有のもので、それは不信感を生む原因になりうる。何かを望む時は、隠しても何か不満なことは伝わってしまうので子どもに戻って口にしてみましょう。
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