架空の第120回箱根駅伝を実況する⑥5区
こんばんわ、スーホです。架空の箱根駅伝実況します。
↓に各チームの紹介と前の区間があるので是非ご覧ください。
5区 小田原~芦ノ湖 20.8km
国道一号線最高点の標高約874mまでを一気に駆け上る20.8kmという距離だけではまったく予想のつかないコース。16.2kmの最高地点を過ぎると19km過ぎの箱根神社大鳥居まで、今度は一転して下ります。ここでの走りの切り替えがゴールタイムを左右する大きなポイントに。(公式サイトより引用)
流石の変更の少なさ。國學院は本来の候補が平地に回りルーキー望月が出走。東国、立教、順天は往路平地に何かあった時に平地に入る準備もしていたと思われる主力たちである。
区間賞候補の大本命は昨年区間賞・早稲田中内。今季は出雲6区で区間3位など平地走力の成長も著しい。対抗馬は東洋の留学生・マイナでこの両者の一騎打ちが。この他にも、激坂王優勝の法政・石川や昨年4位・駒澤木村、中央のキャプテンにして安定感の塊の松山などがいる。
先頭を走るこれが初駅伝の慶応・龍神は3kmを9分00秒で通過。解説は区間上位を狙うにはやや遅すぎるペースだと指摘している。今大会のエントリーメンバーで最小の159cmの体躯と極端な前傾姿勢が印象的でいかにも登りのスペシャリストだ。2位の駒澤・木村は8分44秒で通過し、両者の差は1分を切ってきた。
3位争いでは法政・東洋が快調だ。法政は激坂王優勝の石川が走っているが、東洋の留学生・マイナをまだ追い付かせていない。三大駅伝デビュー戦、出だしはひとまず好調だ。そのマイナも中継所ではわずかな差だった青学、大東を突き放している。昨年8区で表彰台を決定づける走りをしたが、今年も躍動するか。
後方では早稲田・中内が國學院・望月をとらえ10位浮上。シード権の境目、天国と地獄の狭間を意識し始める頃だ。
ここまで最もいい走りなのは法政・石川。先頭との差を既に19秒詰めているほか、なんと東洋の留学生マイナを突き放し始めた。
塔ノ沢を過ぎ本格的な登りに入るが、先頭の慶応龍神のペースが思ったより上がらない。フォーム・表情は悪くないはずだが、天下の険を超えるにはやや走力不足だったか。箱根登山鉄道のガード下で測ると駒澤との差は44秒。わずか1km少々の間に14秒も差を詰められてしまったことになる。
大東松野が青学吉田に追い付けそうで追い付けない。大東はやや不安のある区間だが奇跡の逆転Vのためにここでいい走りをしたいところ。青学の吉田は1年次に8区、2年次に7区を走ったユーティリティプレイヤー。3度目の箱根にして最大の難関である山を乗り切るれか。後ろからは中央松山がじわじわ接近している。
先頭は大平台のヘアピンカーブを通過。駒澤との差は33秒に縮まった。龍神の表情はうつろで明らかにおかしいといえる状態に。駒澤と法政の差は依然26秒だ。マイナはじわじわ法政に離されている。
大平台では33秒あった先頭と2位の差が宮ノ下ではわずか8秒に。その勢いのまま、駒澤木村が慶応龍神をあっという間に交わしてしまった。その後ろ5秒差ほどにまで接近していた法政も慶応をあっという間に交わす。慶応は悲願の112年ぶり頂点へ正念場だ。
後ろでは青学吉田がマイナを交わし4位浮上。青学は直近3年の往路順位が13位、11位、10位だが今年は大躍進だ。中央松山も大東松野を簡単に交わし6位に浮上している。
後方では早稲田・中内が猛烈な追い上げ。3km前の大平台では40秒前にいた芝浦工大を宮ノ下で交わし、さらに一度離されかけた中央との差も1分20秒まで詰めてきている。
そして地味にいい走りをしているのが10年ぶりに箱根路に帰ってきた順天堂の井出だ。井出の母は順天堂大学出身。茨城の守谷高校時代から注目度の高い選手だったが、女手一つで育ててくれた母のために、那須紺のユニフォームと紅白の襷をもう一度箱根路に蘇らせるために、数多くの常連校のスカウトを蹴ってあえて順天堂を選択した選手だ。既に立教・了徳寺を交わし12位に浮上している。
先頭を走る駒澤に法政が追い付き、引っ張る木村、徹底マークの石川に様相が変わった。この状態のまま小涌園に到達。慶応はズルズル後退している。
青学4位、中央5位、東洋6位、大東7位の順で小涌園を通過。マイナは脇腹を押さえており異変があるようだ。
先頭の駒澤・法政の戦いは均衡状態が続く。10位台に突っ込んで入ったチームが多く、相対的にはそこまで傑出したタイムではないのだがここ数年と比べると圧倒的だ。ここからの粘りで後続を一気に突き放したい。
慶応・龍神は芦之湯到達前になんと青学にも交わされてしまう。中央もすぐ後ろにおり、かなり危ない走りだ。
ここにきて國學院のルーキー望月が急加速。芝浦工大をとらえ9位に浮上するとなんと一度は交わされた早稲田との差を再び詰めている模様。東海1区川崎、青学3区種市、立教3区弓納持など無名ランナーの激走が目立つ今回だがここでも新星躍動なるか。区間賞争いは大混戦になってきた。
先頭が芦之湯に差しかかかったところで、最初の下りで駒澤がスパート。法政はこれについていけず、ついに藤色の襷が単独首位に立った。
3位青学に中央松山が追い付いた。先頭とは少し離されてしまったが最後の箱根。気持ちの籠った激走である。慶応は5位に転落してしまったが、それ以上に心配なのが東洋だ。マイナは大東・早稲田どころか國學院にまで抜かれ9位に転落してしまった。
先ほど往路の戦いは完全に決着したかのように見えたが、最高点を過ぎた後の下りから法政・石川10秒ほどの差を維持するようになる。駒澤の木村、法政の石川、ともに非常に苦しい表情でここから先は限界を超える戦いだ。
元箱根のヘアピン付近で早稲田が慶応・大東を一気にかわし5位浮上。慶応は大東との20秒ほどのリードをキープしており最悪の状態は脱したがまもなく爆発的な追撃を見せる國學院にも交わされた。
東洋・マイナの蛇行が始まる。低体温症に陥ったか。芝浦工大にも交わされ10位転落。なんとか完走してほしい。
後方では了徳寺・坂田が立教・清田を突き放し13位死守の構え。坂田は前年も山登りで区間11位。総合5位に貢献したメンバーとしての意地がある。清田は昨年の5区で区間18位。リベンジのために粘りたい。
形成の変動はあまりにも急だった。元箱根のヘアピンカーブで先頭を走る木村と2位の石川の差が9秒、つまり先ほどより1秒縮まったと報道された。石川はその後みるみる駒澤との差を詰めていく。息を吹き返した石川、疲労困憊の木村、両者が対照的なものとなっていく。
そして箱根神社の大鳥居をくぐる所で首位逆転!おそらく過去の名場面として半永久的に使われ続けることになるだろう。法政石川が駒澤をみるみる話していき、わずか500mほどの間に18秒差になった。石川のこの1kmは下っているとはいえなんと2分44秒。ここまでの疲労を考えると異常なペースだ。
3位争いも決着。こちらでも箱根神社の大鳥居で中央松山が青学吉田を突き放す。中央は1年生4人で逆転優勝の可能性を残す位置での3位。1年のころからいぶし銀の活躍を見せてきたキャプテンの完全覚醒が躍進の要因だ。
往路芦ノ湖、法政の部員たちの作る歓喜の輪、往路は慶応・法政に対して1分ビハインド以内なら合格という監督のコメント通りの走りだが笑顔のない駒澤の選手たち、残酷なまでのコントラストとなっている。
石川陽向が最後の角を曲がる。法政には前々回大会まで5代目山の神と呼ばれた結城斗輝央が在籍していた。彼は5区で4年連続区間賞。彼の2年次には2分25秒差、3年次には3分6秒差、4年次には2分35秒差を逆転し往路優勝を果たした。しかし、チームは傑出した存在を活かしきることができず、彼の在学中にはついに駅伝タイトルに手が届くことはなかった。結城の悔しさ、彼に助けられてばかりで面目立たなかった先輩の悔しさ、彼を助けてやれなかった同期の悔しさ、彼に恩返しできなかった後輩の悔しさ、チームを優勝させられなかった首脳陣の悔しさ、そのすべてが今回の優勝につながった。見事に法政大学は2年ぶり5度目の往路優勝。117回、118回、119回と法政は直近3大会で3位、3位、2位。その前には常に駒澤の藤色の襷がいた。因縁の相手に4度目の正直を狙う。
2位・木村貴典が最後の角を曲がる。素晴らしい走りだったが石川の異次元の加速の前に力尽きた。復路にも33秒差を逆転するには十分すぎる戦力が揃っている。栄光の4連覇への展望は明るい。
3位・松山律希が最後の角を曲がる。安定感の塊のような存在だったが、今回で完全に一皮むけた。チームの逆転へ望みを残す1分59秒差だ。
4位に上がってきたのはなんと國學院大學のルーキー望月健吾だ。朝ドラで主演を務めた有名女優の弟という家柄で入学前から注目されていた存在だったが、入学後はほとんど記録会にも出場せず。まさかこのような秘密兵器となっていたとは。最後には姉の母校・青学との2分1秒差を逆転してしまった。ほぼ差がなく早稲田、青学、慶応、大東が殺到。青学吉田は残り500あたりから足を引きずっての急失速で悔いの残る結果となった。
9位で芝浦工大が帰って来る。大学史上最高の往路順位を更新した。ルーキー剱持悠誠は渾身のガッツポーズ。地元で格好いいところを見せた。
芝浦工大のゴールから20秒ほどのち、10位で帰ってきたのは10年ぶりの箱根、順天堂だった。井出が最後の下りで急加速。区間賞争いもあるかもしれない。その10秒後に東京国際が11位でフィニッシュ。やはり学生最強格を並べた序盤で苦しんだのが痛かった。
フラフラになりながら東洋・マイナがやってきたがフィニッシュ直前で了徳寺・坂田に交わされ13位転落。東洋にとっては優勝どころかシードすら危うくなるような悲しい往路になってしまった。その後、14位立教、15位創価、16位帝京がぽつぽつとゴール。駿河台、日大、東海が激しい17位争いを繰り広げたが駿河台が制した。
20位は国士舘大。ここはブレーキとなってしまった。すぐ後ろにいた明治大が21位。
22位で最後は才木がフラフラになりながら城西がゴール。23位立命館、24位薬科大もゴールし、最後にはデジハリ岡田がチームとして一本の襷を繋げる喜びをかみしめた笑顔でのゴールで、往路はしめくくられた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?