見出し画像

親は、みんなが思っているより脆い説(映画「私ときどきレッサーパンダ」を観て)

先週の「SING」に続き、ピクサーの「私ときどきレッサーパンダ」を観ました。観たい作品があって今月からDisney+を契約したのですが、気分がダウナーだったこともあり、明るくなれるような作品をということで。

*

本題から外れますが、原題は「Turning Red」だそうです。

主人公の中学生女子・メイリンは、思春期になるとレッサーパンダに変身する家系に生まれます。ある朝目覚めたらレッサーパンダになっているという設定は、考えてみればフランツ・カフカ『変身』のパロディでしょうか。もしそうだとしたら、あながち奇天烈な設定とも言えないかもしれません。

「Turning Red」というのは、レッサーパンダに変身する過程で、メイリンの目が赤くなるという意味。原題と邦題が全く違うというのは、もはやずっと続いてきたことではありますが「原題のままだと売れない」ということで、日本に最適化した邦題をつける慣習がずーっと続くのであれば、日本と日本以外のギャップというのは埋められないのでは?と思います。(まあ、今回に関しては、原題の「Turning Red」で、ターゲットが「そそられる」かどうかは甚だ疑問なんですが)

*

作品は、個人的にはけっこう楽しめた部分もあります。

親に縛られて子どもが自由を謳歌できない。そんな設定の作品はこれまでもずっとあったのですが、最終的に解放されていく流れは、めちゃくちゃ、ぶっ飛んでいます。

思った以上に、家族よりも友達やアイドルへの憧憬の割合が大きいような気がして。でも、もしかしたらそれがリアルなのでしょう。

親が思っている以上に、子どもは親のことをそこまで大事に思っていないというか。いや、大事に思っているんだけど、友達やアイドルのことも超大事だよねという。

そこを思いっきり振り切って描いているので、観賞後の「読後感」がすごく良かったです。母との和解も、親が歩み寄るのでなく、子どもが主体になっているのがすごく良かった。気持ち良かったし、リアルな感じがしました。

親は、世間が思っている以上に脆いもの。

年長者なんて大したことないんだよ」という監督の人間観が、アニメを通じて如実に表現されたなあという感じです。

*

ピクサー作品とはいえ、アニメは子ども向けのもの。

これを観て、勇気をもらえる子どもは多いんじゃないでしょうか。

こういう爽やかで、人間の情緒を良い意味で単純化して表現する作品は、日本ではほとんどないような気がします。(感情の機微をしっかり描くことに価値が置かれる傾向にあるので)

そういう意味で、本作の気持ちよさは異質。だからこそ、僕はとても楽しむことができました。

──

(Disney+で観ることができます)

#映画
#映画レビュー
#映画感想文
#私ときどきレッサーパンダ
#ドミー・シー
#ロザリー・シアン
#サンドラ・オー
#エバ・モース
#ヘイン・パク
#ディズニープラス
#DisneyPlus
#ピクサー

この記事が参加している募集

記事をお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただくのも嬉しいですが、noteを感想付きでシェアいただけるのも感激してしまいます。