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東京の正解、東京らしさ

ポップカルチャーの総合誌、雑誌『BRUTUS』が創刊40周年記念特大号を発刊しました。記念すべき今回は「東京の正解」という特集が組まれています。「福岡の正解」「札幌の正解」「名古屋の正解」「大阪の正解」と続き、満を持して組まれたものだと感じます。

本特集では「東京っぽい店の正解」「ヴィーガンの正解」「スーパーカーの正解」「街の正解」など、東京にまつわる様々なキーワードをもとに、多種多様な記事が組まれています。「文学の正解」「映画の正解」という直球な小見出しもあれば「屋上の正解」「噂の正解」など、小見出しから興味が湧くようなものも。

さすが東京!と唸るような面白さに溢れています。コロナウィルスの停滞を吹き飛ばすような明るさがあり、すぐにでも東京を巡ってみたいという気分になります。

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特集では様々な著名人が東京を巡り、物語りをしてます。

太田光さんと塙宣之さんは芸人とヒーローを。
神田伯山さんは浅草の歩き方を。
亀田誠治さんと常田大希さんは音楽シーンを。
川村元気さんは新進気鋭のクリエイターを。
リリー・フランキーさんは東京タワーを。

東京は住むだけの場所ではなく、それぞれの人生が生まれる場所だということが分かります。人生が生まれる場所には必ずカルチャーがあって、その空気に影響され、人生は彩りを増していくのかもしれない。太田光さんは、生まれながらの太田光ではなく、東京を通じて太田光になっていく。媒介として機能する東京の尊さです。

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もちろん人生に彩りを与えるのは、東京だけではありません。

東京に特別ゆかりがない方も、それぞれの場所でそれぞれの物語が間違いなく生まれています。だけど僕が本特集を読んで気付いたのは、東京は、物語を思い出してくれる存在だということ。

僕は栃木県出身です。垢抜けない10代を地元で過ごしました。女性にもモテたかったけれどモテなかった。その頃(2000年前後)の東京と言えば、NIKE AIR FORCE 1とA BATHING APEでした。東京事情は分かりませんが、僕らの高校ではめちゃくちゃ流行った。受験生にも関わらず東京に行き、それらを調達しようとする人が後を絶ちませんでした。

「ここにはないけれど、東京にはある」

僕は今、東京で暮らしています。10代の頃に抱いた東京観は、日々の喧騒の中でやや色褪せていました。BRUTUS「東京の正解」は、東京の今を取り上げているものですが、僕にとっては懐かしいアルバムをめくるような感覚もあるのです

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雑誌の中に「よりぬきBRUTUS ブルートくんが振り返る、「BRUTUSの正解」40年史。」というBOOK IN BOOKが入っていました。

BRUTUSがBRUTUS自身を誌面で振り返ることも、BRUTUSの編集者の方々が寄稿するのも珍しいのですが、どんな風にBRUTUSを成立させてきたのかが垣間見れて非常に面白いです。

その中で、現在の編集長を務める西田善太さんは、東京とBRUTUSの関係をこんな風に伝えています。

2年前の3月1日売りで特集「東京らしさ」を作ったのはそんな気持ちを整理するため。僕らが一番”東京らしい人”と思っているムッシュかまやつの一周忌に合わせて、「東京っぽい」ではなくて、「東京らしさ」ってなんだろう、と人や景色や店を取材した。東京特集をローカルに考える分岐点になったはず
(雑誌『BRUTUS 919号「東京の正解」P133より引用』。太字は私)

東京っぽい、ではなく、東京らしさ。

言葉の遊び、妙がこの一文に現れています。

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そう言えば、本日7月7日は、僕ら夫婦の結婚記念日。無事に5年間の月日を過ごすことができています。

これからも家族で「東京らしさ」を感じながら、「家族らしさ」に溢れた生活を目指していきたいと思います。

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