情熱を捨てたら、決断できない(映画「tick, tick...BOOM! チック、チック…ブーン!」を観て)
10年前に公開された映画「ソーシャル・ネットワーク」。Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグさんがモデルとなり、当時のスタートアップの喧騒をエキサイティングに描いた作品だ。
働き始めてから数年、仕事への「馴れ」を感じていたときだっただけに、この映画の中毒性にどハマりし、繰り返し映画館に足を運んだ。
そのとき、主人公の親友を演じたのがアンドリュー・ガーフィールドさんだ。実直で真面目、最終的に損な役回りを演じることになったのだが、それも含めてとても印象的だった。
その後、まさか彼が「スパイダーマン」の主人公に抜擢されることになるとは!という感じだったが、今なおスーパースターとして活躍している姿は、いちファンとして嬉しい限りだ。
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アンドリュー・ガーフィールドさんが主演を務めたNetflix作品「tick, tick...BOOM!」は、アメリカの作曲家であるジョナサン・ラーソンをモデルとしている。なんといっても「RENT」が彼の代表作だが、実は「RENT」初演の数日前に病気で亡くなっている。35歳という早すぎる死だ。
作品名の由来は、30歳を目前に控えた主人公が、時限爆弾のように迫り来る締め切りを表したもの。意外なことに、彼は20代の頃は芸で生計を立てられず、ウェイターのアルバイトで食っていくのが精一杯だったのだ。
本作は、いわゆるミュージカル映画だ。アンドリュー・ガーフィールドさんが歌い、ピアノも披露する多才ぶりには驚いた。
20代の青春、というと眉に唾をつける方もいるかもしれないが、なかなかエンターテイメントという芸事の世界で生計を立てるのは難しいもの。作曲のような、いわゆるゼロイチを作り出す職業の難易度は想像に難くないだろう。
友人や恋人との付き合いもおざなりになり、心身ボロボロな中で「運命の1曲」を作れるかという話だ。
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物語の中盤、「Johnny Can't Decide」という曲が流れる。
タイトルに書いたのは、その一節だ。
ミュージカルが好きで、人を楽しませることに生きがいを感じる主人公。
だけど現実は甘くない。
評論家には酷評されるし、エージェントには雑に扱われる。友人は役者を諦め広告代理店に就職するし、恋人とはすれ違う。おまけに曲を書いている途中に電気が止まる。
作品の中では、何度も挫折しそうなシーンが訪れる。もし彼が挫折をしていたら、「tick, tick… BOOM!」「RENT」といった作品は生まれなかっただろう。(作曲家を諦めて普通の生活をしていたら、もしかしたら若くして亡くなることはなかったかもしれないけれど)
そのギリギリを保つ上で重要なのが、情熱だと説く。
「想い」しかないのだ、と。
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8月に創業した僕も、何度も心が折れそうな瞬間があった。
今だって、半ば折れそうになることがないわけではない。
売れる、売れないをめぐり「もう諦めた方が良いのでは?」という足音が、コツコツと迫っているような感覚もある。
だけど、やっぱり諦めたくはない。何とかしがみついて、面白いことをやり続けていたい。
そのときに必要なのは、あるいは唯一頼りになるのは、内なる情熱なのかもしれない。周りからみたら頼りない灯が、命綱なのだ。
頑張ろう。そう思える作品だった。年末に観れてよかった!
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(Netflixで観ることができます)
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