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まだ「ツイスターズ」を観てないなら、ぜひ映画館の最前席で🌪️🌪️🌪️

トルネードの大迫力を体感するなら、多少ストーリーを追えなくても構わない。いや、実は「ツイスターズ」は脚本もめちゃくちゃ練られているのだけど、やはり人間も街も引っ剥がしてしまう恐ろしい竜巻の演出にぶっ飛ばされる映画でした。

「ツイスターズ」
(監督:リー・アイザック・チョン、2024年)


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今日は個人的に「ニクい」と思った点を3つほど紹介する。

ニクいね①:「ツイスター」へのリスペクトを感じる設定

本作は、1996年公開「ツイスター」の続編でもないし、リスペクトでもない。原案を手掛けた映画監督、ジョセフ・コシンスキーさんが「ツイスター」の世界を舞台にした新世代の竜巻チェイサーの物語をつくりたいと企画したことが発端だそうだ。

そういった背景から、竜巻のなかにセンサーを飛ばしてデータを取得する「ドロシー」という装置は前作を踏襲している。主人公の男女ふたりは、前作でも冒頭は仲違いをし、徐々に絆を深めていく物語になっているが本作も同様だ。(母がつくるバーベキュー料理は、どちらもワイルドだが実に美味しそうである)

主人公のケイトは、後半はタンクトップの衣装をまとっている。これもまた、「ツイスター」のジョーのコスチュームを意識しているのだろう。真に竜巻チェイサーとして開眼したとき、まとう衣装は肩出しタンクトップで“決まり”なのだ。

ニクいね②:人間の無力さという真実

最終的なエンディングに至るまで、自然の前で人間がいかに無力であるかを示している。そこがものすごくリアリティがあると私は感じた。

「町の人を救いたい」と願う主人公たちだが、死傷者をゼロに食い止めることはできない。最終局面であっても、少なくない人たちが竜巻の被害で亡くなってしまっている。

ハリウッド映画は「ヒーロー」や「ヒロイン」を求めがちだが、必ずしも主人公ふたりがそうではなくて。どんなに尽力しても、被害をゼロに止めることはできないというリアリティが本作にはあった。

ニクいね③:「事件は会議室で起きてるんじゃない」感

踊る大捜査線の名台詞を、「ツイスターズ」にも連想することができる。

主人公のケイトは、とある事故をきっかけに竜巻を追うことを辞めニューヨークの気象庁で勤務することになった。気象を予測し、警報や注意報を出すかの判断をラップトップ上で行なっている。

だがオクラホマでは、データ収集は別として、実にフィジカルに生データを拾いに行っている。「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」と言わんばかりの熱量で、竜巻を追い続ける人たちがいて。それは当然危険を伴うものだけど、誰かがやらなければならない意味のある行動だ。

コタツ記事を書いて満足しているライター(私も含めて)には、到底想像も及ばぬ“蛮行”。しかし、その蛮行が人々の行動を変え、そして命を救っていく。ニューヨークとオクラホマの対比は、衣装も道具も言葉遣いも、何もかもが違う。さて、あなたはどちらを

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あまり批判したくないのですが、日本語版の予告がダサいというか、明確にコンセプトを誤っていてモヤモヤ感が募ります。

そもそも「竜巻=モンスター」じゃないし。そういう解釈もできなくもないけれど、ちゃんと作品のプロダクションデザインを尊重した予告編をつくってほしいと切に願いたいです。

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