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僕はTOTOに行きたかった。

2007年に、僕はIT業界に入ったが、第一志望はTOTOだった。

トイレやユニットバス、システムキッチンなど水回りの衛生陶器を扱うメーカーであり、日本にいれば「TOTO」のロゴを毎日目にする機会があるだろう。

ITを始めとする情報工学に強かった大学に所属し、在学中は複数のITベンチャーでインターンの経験もしていた。SNSというコミュニケーションの可能性を変えるツールのことを、自ら探求していきたい気持ちも強かったが、同じくらい、トイレに関する思い入れは強かった。

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僕はこれまで、ずいぶんとトイレにお世話になっていた。

50分の授業時間や、通学時間、1時間の商談……。「途中でトイレに行きたくなったらどうしよう?」という恐怖。なので必ず、時間前にトイレに行っていた。ある種の閉所恐怖症だったのだと思っている。

ポジティブな理由もある。雑誌「Pen」で2005年に特集されていたのが「公共のデザイン」。そこで、ロンドンにある公衆トイレが紹介されていた。

監視カメラとの連携もあり良い文脈だけで語られるわけではないが、公衆のために、モダンで安心安全な開かれたトイレを作るという発想は素晴らしいと思った。そして実際に行ってみた。

トイレは、用を足す手段だけではない。

もっと広い意味で、トイレがHubとして機能することもあるかもしれない。それに加えて、衛生環境が低いアジアやアフリカなど、未開拓地も大きい。(当時、海外拠点はあったものの、商品自体は「最高級品」という位置付けで、一般人までTOTOの商品が広がっているとは言い難かった)

その想いを面接で熱弁すると、面接官も呼応するように想いを話してくれた。30分の面接予定が1時間を超すこともあった。選考を進むにつれて、TOTOへの入社を真剣に考えるようになる。

だが、最終面接に臨んだものの、不採用となってしまった。

ズラリと面接官が並び、空気に飲まれてしまったのだ。何とか言葉を絞り出すも、まともな回答ができた記憶がない。縁がなかったのだ。

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ちなみに、TOTO不採用でしばらくした後、INAX(現在のLIXIL)の選考を受けるべく書類選考を申し入れた。

結果は、書類選考で不採用。

TOTO不採用で落胆したのがエントリーシートにも反映されてしまったか、ハナから採用要件に満たなかったのかは分からない。

同じ業界にも関わらず……。就活とは、不思議なものだ。

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そんな思い入れのあるTOTOで、僕が入社する(はずだった)当時の社長・木瀬照雄さんが、日本経済新聞「私の履歴書」で現在連載を行なっている。

6月13日現在では、木瀬さんが千葉県柏に新設された出張所に、初代所長として異動が決まったシーン。入社から何度も異動を繰り返し、また明日の連載では別の場所に異動しているようだ。

僕もTOTOに入っていたら、今頃、東京ではない別の場所で生活していたかもしれない。アジア?ヨーロッパ?それとも日本のどこかの営業所だろうか?

TOTOで働いていたら、今のように、こんな感じで、noteを更新していただろうか。そもそもnoteに出会っていただろうか?

案外、TOTOの広報担当として、バリバリnoteを活用していたかもしれないな!


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