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映画「ソイレント・グリーン」が示唆した環境問題の行方

1973年のアメリカ映画「ソイレント・グリーン」を観た。

爆発的な人口増加と環境汚染に見舞われたニューヨークの2022年を描いたSF作品

公開当時から50年後の世界を描いた作品であり、作品と実際の答え合わせは容易にできる。ありがたいことに僕らは(ニューヨーク市民は)食料の入手に困ることはなく、家計の範囲内で、食べるものを自由に選択できる

とは言え、未来も引き続き、楽観的シナリオを描けるかといったら不明瞭だ。とりわけ食料自給率が40%未満の日本(*1)では、このまま人口が増え続け、サステナビリティに配慮した環境を作ろうとすると、現在のように美食にありつくことは難しい。

映画では、主人公とその相棒が牛肉を食するシーンが出てくる。牛肉を目の前にした彼らは、牛肉という貴重な食材に感極まり涙を流していた。

貧富の差が拡大した世界では、牛肉は富裕層のみが食べることを許される。富裕層ではない彼らは、合成食品「ソイレント・グリーン」を食べるしかないし、それすら安定して供給がなされているわけではない。人口増加と環境汚染により生態系が破壊され、食料自給がままならなくなった世界の成れの果ては、とてつもなく不自由だ

環境問題が叫ばれて久しいが……

現実に戻ろう。

環境問題に関して、生活者の意識や知識はかなり低いように僕は感じている。ようやくレジ袋有料化が義務付けられるようになったが、その背景のファクトを理解している人は少ないのではないだろうか。

例えばファクトとして、世界で年間約800万トンのプラスチックごみが海洋流出されている(*2)。

ほとんどのプラスチックは分解できないため、埋め立て処分になるか海洋に投棄される。言わずもがな、後者の場合、海洋生物の生態系に深刻な影響を及ぼすことになる。

日本の責任は重大だ。

プラスチック生産量において世界3位であり、1人当たりの容器包装プラスチックごみ発生量は世界2位だからだ。

日本が直接海洋投棄しているわけではないが、廃棄過程まで鑑みると、日本に由来したプラスチックごみが海に流出されている(*3)。

サプライチェーン全体での改善が求められているのは言うまでもないが、少なくとも生活者の意識改善は必須だろう。

温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロに

2020年10月26日に国会で行なわれた菅首相の所信表明演説では「温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする」という宣言がなされた(*4)。

SDGsも2025年、2030年と段階的な数値目標が設定されている。

菅首相は「温暖化への対応は経済成長の制約ではない。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要」と述べている。

悲観シナリオをベースに各国が施策を打ち出している中、僕らはどのように未来の道筋を立てていくことができるか。開かれた未来に向けて、多様な発想が求められている。

参考リンク

*1 日本の食料自給率(農林水産省 HPより)

*2 海洋プラスチック問題について(WWF HPより)

*3 1からわかる!プラスチックごみ問題(1)(NHK HPより)

*4 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説(首相官邸 HPより)



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