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ノルウェー・オスロが実現した「クルマを必要としない」都市づくりとは?

歩行者の交通事故死がゼロ!

まだまだ自動車産業が強い日本では想像しづらいですが、オスロの事例から、2020年代の都市づくりを考えてみるのも良いかもしれません。

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2019年、ノルウェーのオスロでは、歩行者(+自転車)の交通事故死者数が「ゼロ」だった。交通事故死も1件と、60万人規模の都市にしてはかなり少ないと言えるだろう。(この1件も、運転手がフェンスに激突して死亡したケースである)

約1千万人の東京都と比較するのは適切でないかもしれないが、東京都の2020年の交通事故死者数は155人。移動自粛で交通量が減少した中での数字であることからも、オスロとの差は歴然としていることが分かる。

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交通事故死の根絶を目指す取り組みとして有名なのが「ビジョン・ゼロ」だ。世界各国が取り入れている中で、ノルウェーがかなり理想に近い形で目標実現に近付いている。

その意志の強さは「Our main objective is to give the streets back to the people」という言葉に現れている。

Our main objective is to give the streets back to the people,” Hanna Marcussen, Oslo’s Vice Mayor for Urban Development told BBC Future in 2019, explaining the radical changes the city was making to local streets.
「私たちは人々にストリートに戻ってきてもらいたい」と、都市開発担当副市長であるハンナ・マーカソンは、オスロが地元のストリートにもたらした徹底的な改革について、BBC Futureに説明しました
(STREETSBLOG USA「Best Practices: How Oslo Reached Vision Zero (And How Your City Can, Too!)」より引用、太字および日本語訳は私)

かつてオスロでは大気汚染の影響もあり、バカンス時期になると人々が市外に出てしまっていた。そこに危機感を抱き「オスロに戻ってきてほしい」という思いがビジョン・ゼロ施行時の動機になっている。

取り組みもかなりドラスティックだ。

・都心部の沿道に設けられた駐車スペースを1,000以上なくす
・便利な公共交通機関の利用を推進
・自転車レーンと歩道の増設
・市内の広範囲を自動車進入禁止に(事故率が高いエリアや、小学校の周りなど)

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つい、東京や大阪でも同じような取り組みが可能かを考えてしまう。

コロナ禍にも関わらず「経済を回す」施策を強行させようとする政治にいつも頭が痛くなるが、それは行政の責任だけでなく、僕らが「便利」をとことん追求することに慣れてしまっていることもあるだろう。

そんな国民(都民、府民、道民、県民)に対して、「自家用車はなるべく持たないようにしましょう」という呼び掛けは通用しそうにない。(自動車業界からの大反発もありそうだ)

だからと言って「クルマのない世界」を想像することは無駄ではない。ハードやソフトの制約を敢えて外すことで、従来の枠組みに捉われずに、「住みたい」都市を構想することができるからだ。

子ども連れで街へ出る。考えてみれば、いつだって自転車やクルマを気にしている。とても窮屈で、できることなら自由に子どもを走らせていたいなあと感じるのだ。

これを実現するためには「移住」という選択肢もあるが、わざわざ住み慣れた土地を離れたくはない。というか住んでいる土地で、こんな街になったら素敵だなと語れないのはかなり不健全なことだ。

結論はややとっ散らかってしまったが、ビジョン・ゼロの取り組みは、僕たちに様々な気付きや可能性を与えてくれるに違いない。

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