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受発注に際して、自分が嫌われて良いと思っている。

ふと、こんな言葉が浮かんだ。

発注側であれ受注側であれ、両者でサービスにおける対価を決めなければならない場面が出てくる。わりと多くの場合、発注側が受注側に対して「見積もりを出してください」と言うわけだが、受注側の立場だと「これくらいの金額で大丈夫なのだろうか」とモヤモヤすることがある。なので、あの手この手を使って相手の予算感を聞き出すわけだが、厄介なことに、窓口を担当している人が決裁者ではない場合もあり、情報をもとに弾き出した金額が「高すぎる」みたいな結末になることもあって。

長年この手のやりとりに苦慮したこともあって、今、僕が考え得る態度としては「自分が嫌われて良い」ということだった。

会社でWebサイトを運営しており、ライターやデザイナーの方に依頼をすることがある。その辺の相場が分からないし、そもそも相手のスキルや経験によって金額も変わってくる。なので本心としては、「どれくらいで受けてくれますか?」と聞きたい。「1万円でお願いします!」と言って「そんな安い値段で受けられるわけないでしょ?」と嫌われるのも怖いのだ。だけど相手の立場に立つと、いくら自分で希望の価格設定があるとは言え、なかなか発注側に言い出すのは困難だろう。これも人によってだが「安い値段でも仕事を受けたい」と思う人もいるだろうし、その機会を自分の金額設定の「ミス」によって逃してしまうのは何より怖い。なので余計に気を遣って金額を提示しなければならないのだが、そもそも発注側が受注側に対して、そんな気を遣わせてどうするんだ?と思ってしまう。発注受注の関係は本来フラットであるべきだし、何よりコンテンツを生み出してくれる立場の方に余計な部分で気を遣わせたくない。であれば発注側である僕が「こういう企画をやるんだけど、これこれこういう事情で、これくらいの金額設定でお願いしたいんですが、どうでしょう。ぶっちゃけお高くないので、断ってしまって全然構いません!」という感じで、言い出してしまえば良い。場合によっては「そんな安価で...失礼な会社だ」という風に信頼をなくしてしまうかもしれない。だけどそれはそれで失敗として受け止める。いつか信頼回復の機会があれば頑張れば良いし、そこまで自分なりに誠実な仕事をすれば良いだけだ。

また逆に、採用支援の仕事をしているので、対企業向けにコンサル的な立ち位置で仕事を受注するという立場にあることもある。だいたいの価格帯はパッケージとして用意しているが、わりと頻繁に、想定していなかったタスクを別途依頼されることもある。その場合は必ず「見積もり出してもらえますか?」と聞かれるのだが、こういった場合でもそれなりの論拠を示して、自ら「これくらいの値段でお願いします」と一発回答するのが理想だと思っている。もちろん現実にはコミュニケーションの中で発注側の事情などもヒアリングするけれど、「だいたいの予算ってどれくらいですかね?」という質問は、発注側に対して、ネゴシエーション的な頭の使い方を求めてしまう。発注側にとっては、お金の交渉はもちろん大事だが、受注側がめちゃんこ良い稼働をして価値貢献してもらうのが本質的に重要なわけで。ネゴシエーション的な頭の使い方を求めて、何かしらの金額が出てきたとしても、やはり色々な要素の組み合わせによって「もともと提示していた予算だと難しいです」みたいな回答が出てきたりする。「それ言ってたのと違いますやん」とは受注側はなかなか言えないんだけど、発注側にとっても「ああ、間違った情報を伝えてしまったなあ」みたいな後ろめたさを残してしまう。それも何だか申し訳ない。

こんなことを書くと、非常にネゴシエーションに対して「甘い」やつだなと思われるが、実際に甘いのだと思う。

少なくとも従業員として働いていたときは、上記のようなことができたら良いなと思いつつ、やはり会社の利益を最優先で考えていたので、わりと手数を用いながら金額の落としどころを探るような仕事の仕方をしていた。両者の納得性は担保されつつも、スピードは落ちる。

商売は、やはり発注側、受注側、双方にとって「良い」取引でないと、長くは続かないものだ。

「自分が嫌われて良い」と書きつつ、自分の非力さを卑下するわけではなく、「これくらいないと厳しいんですよ」と正直に語ることによって、相手が複数の出方を作れるような余地を残したいというのが意図としてある。

もちろん取引成立に至る理由として、価格設定だけではないものの、やっぱりお金はすごく大事なことだ。逆にお金のピントが早く合えば合うほど、それ以外の部分の調整がききやすい

告白されるよりも、告白するみたいなものですかね。

考えてみれば、これまでの人生で「告白された」経験ってないので、むしろ告白していくような攻めスタンスしか取れないというのもあるかもしれない。

勢いのまま書いてしまったので、いずれ見直して修正を加えるかもしれないけれど、8割くらい言いたいことは込められていると思う。頑張るぞと。

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