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「まだ、やってる」という価値(企画展「みうらじゅんFES マイブームの全貌展」の感想)

茨城県筑西市のしもだて美術館で開催されていた「みうらじゅんFES マイブームの全貌展」に行ってきました。

「なぜ、この場所で??」と思いつつ、実家から比較的近い場所で開催されていた縁もあって。みうらじゅんワールド全開で、みうらさんの国宝ならぬ「ボクホー」を思い切り浴びることができました。

「みうらじゅんとはなんぞや」を語るのは、なかなか難しい。

Wikipediaには、「職業については、エッセイスト、小説家、ミュージシャン、評論家、ラジオDJ、編集長、ライター、解説者など幅広い分野で活動しており、公表している職業は「イラストレーターなど」。」と書かれています。「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親でもあります。

でも、いくら職能や実績を書き並べたとて、みうらさんのことを言い得ている気がしません。

で、それがなぜだろうと思ったとき、みうらさんが毎日のように編集を繰り返している“現在進行形”の人だからだと気付きました。

「みうらじゅんFES マイブームの全貌展」では、幼少期からみうらさんが繰り返してきた創作物や収集物の数々が展示されています。仏像や牛やレコードや英字が記された紙袋。観光地のお土産屋さんで誰もがスルーしそうな物品など、そこかしこに、ある意味で“放置”されている物事にみうらさんは目を向けていました。

以前、武田砂鉄さんがパーソナリティを務めているラジオ番組「武田砂鉄のプレ金ナイト」で、自身が名付けた「マイブーム」について語っていました。

砂鉄:最近“推し活”という言葉がちょっと流行っているじゃないですか。
みうら:流行っていることに乗ったら、駄目なことになってるんですよ。自分で。
砂鉄:だから絶対遠ざかってますよね。推し活的なものと。
みうら:マイブームというのは推しではないですから。マイですから。人には薦めてないつもりで言ってるだけですから。
砂鉄:「俺のマイブームを聞いてくれ。」というのはちょっと矛盾してるわけですもんね。そもそも。
みうら:俺のマイブームに従えよという気持ちは一切なかったし、イワシの群れに従う人はいないと思って言ってますから。そこでだいぶ推し活とは違うと思います。

(TBSラジオWebサイト|みうらじゅん「マイブームというのは推しではないですから。マイですから。」より引用)

これを読んで改めて感じるのは、みうらさんは「誰かのニーズを満たす」ために活動しているわけではないということ。

自分のため。マイ。みうらさんの人生で膨大に得てきた「マイ」の結果が、今のみうらじゅんという人間であるといえるのだと思います。

みうらさんは、他者のアウトプットを収集しているだけではありません。コロナ禍に入り、「誰にも頼まれないで描いた」というコロナ画を大量に描いていました

コロナ画(みうらじゅん)

コロナ画には、ご自身の幼少期における思い出の場所(本人曰く「走馬灯で出てくるであろう風景」)だったり、マイブームのひとつである仏像だったりが描かれています。

コロナ禍に入って耳鳴りの症状に見舞われたみうらさん。それが「耳の中にセミがいる」ようだと思ったそうです。「セミに愛着が湧いた」から、セミの絵を描いたというのは、発想の転換というか、自身の興味・関心に実に忠実であり迅速だなと思いました。

企画展の冒頭、みうらさんのメッセージが掲示されていました。

それは世間的には価値のないものかもしれませんが、一点一点が唯一無二の国宝、もとい『ボクホー』であることは間違いありません。(中略)“また、やってる”の最大級“ま、やってる”。人生はループオン・ロケンロール!僕は今日も、何かしらまだ、やっていますから。

(「みうらじゅんFES マイブームの全貌展」より引用)

続けることは大変だ。

もっと大変なことは、「まだ、やってる」くらいのレベルまで、長く続けることだと思います。

長く続けるのは、労力に加えて、精神的な「怖さ」もあるでしょう。こんなことやっていて意味があるのか?と。3年間、毎日続けているこのnoteだって、意味あるのかな?と思うことがしばしばあります。

でも、みうらさんは長く続けてきました。ただ、ひたすらに。

他人は呆れられたこともあるでしょう。でも、編集に編集を重ねたことで、唯一無二のアウトプットが出てきたわけで。長く続けることの賜物に他なりません。

何度も展示を見て爆笑しました。と同時に、勇気をいただけた展示会でした。

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