編集補記(李生美さんエッセイ|ふつうごと)
Webサイト「ふつうごと」で毎週公開しているエッセイ企画 #愛を語ってくれませんか 。
7月にエッセイを寄稿いただいたのは、李生美さん。デザイナーとして活躍しつつ、コピーライティングや編集にも携わるマルチな才能を持っている方だ。
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僕は、もともと李さんのことを2年前から知っていた。
きっかけは以下のnote。僕が「菅付雅信の編集スパルタ塾」を受けるかどうか迷っていたときに、李さんのテキストを読んだのだった。
テキストに触発され、実際に1年間講義に通った。だけど期が違うこともあって、なかなか李さんと出会うタイミングは訪れない。ようやく知り合いを経由して出会えたのは、今年6月下旬だった。はじめましての挨拶もそこそこに、「あの李さんですか!!!!!」という感じで話し掛けてしまったのを憶えている。
そのとき、ちょうど李さんは会社を退職するタイミング。なんでも「これからは書く仕事を増やしていきたい」とのこと。
考えるよりも先に、「なにか書いてくれませんか?」という言葉が口をついていた。
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書いてもらった李さんのテキストは、本当に素晴らしいものだった。
1本目のエッセイのタイトルは、「腕を食べたくなるのは、はたして愛なのか。」というもの。愛じゃないだろ!と思わず突っ込んでしまったけれど、読み進めていくに、しっかりと「愛だなあ」と納得してしまうのが見事だった。
エッセイとは、もちろん素材としてのテーマが肝だ。だけどプロのエッセイには「思わず読んでしまう」という、読み物としての面白さがある。李さんのエッセイを読んでいると、何度も口の端が緩んでしまう。プロが書いたエッセイを読んできた身としては、「李さんも負けてない」と自信を持って言い切れる。
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初稿の段階から、素晴らしいテキストを書いてもらっていた。なので「李さんの文体はそのままに、どうしたら読みやすくなるか」という観点で編集を行なった。
どの文章もあまりに面白く、「これは削除でも良いのでは?」と相談するのは勇気が要ったが……。李さん自身も「良い文章を書きたい」という思いが強く、前向きなやりとりを重ねることができた。
「会社の体力がついたら、李さんのエッセイを書籍化したい」。
エッセイのやりとりを終えたいま、ふつふつと湧いている願望だ。
たしか2021年の秋だったと思うけど「制約条件などが全くないときに、あなたは何をやりたいのか?」と聞かれたことがあった。そのときは上手く答えられなかったけれど、編集やメディアに関する仕事を続けてきて、「何十年、何百年先まで残るものを作りたい」という思いが大きくなっている。
李さんのテキストの書籍化も、そんな夢のひとつだ。
夢を叶えるためには、編集者としての能力を高めないといけないし、李さんのテキストを社会に届けるための予算も確保しておかなければならない。
やらなくちゃいけないことが、山ほどある。
創業1年目を終えるタイミングで、進むべき方向がようやく定まりつつあるのを実感している。
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前述の通り、2021年8月4日に創業した株式会社TOITOITOが、間もなく創業1年目を終える。
最終的な総括は別で行なうが、本当に魅力的な人たちにたくさん出会えた1年だった。会社に所属していたときも「人に恵まれてきた」と感じていたが、自らの判断で出会いを重ねていった1年は、とても濃かった。身を削りながら出会い、そして別れも重ねていく。嬉しかった出会いもあれば、「あれは何だったのだろう」といったセッションもある。でも、全てが学びだった。
創業して2ヶ月目にローンチしたWebサイト「ふつうごと」。
記事更新の頻度は落ちてしまっているが(反省してます)、これからもじっくりと世の中の「ふつう」を伝えていくつもりだ。ぜひ定期的にチェックいただけると嬉しい。
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