「下」を見て安心する人たち
毎日新聞で2024年7月10日朝刊に掲載されていた、作家の中村文則さんによる連載「中村文則の書斎のつぶやき」。
今月は、ちょっとドキッとするタイトルのエッセイだった。
中村さんが学生時代にアルバイトしていた、人気のない喫茶店。
なかなかドキッとする指摘ではないだろうか。
特に都知事選が終わり、都知事を目指していた某陣営が、当選した小池さんでなく、それ以外の陣営同士で争いを繰り広げている。SNSでのそれは、無論、都政にも国政にも全く影響がない。(中には誹謗中傷への対応ということでやむをえない発言も散見されるが)
「自分より『下』のはずだ」。否、「自分の方が『上』のはずだ」。
だけどその「上」というのは、他者との比較のうえに成り立つものだ。
大谷翔平さんがマイナーリーガーを見て安心しているか。そんなことは絶対にないわけで、自ら目標をつくって遥か高みを目指して野球に打ち込んでいる。だからこそ、国内外を問わず多くの野球ファンが魅了されるのだ。
中村さんは末尾に、「逆を言えば、日本社会がこの暗い情念を克服できた時、社会はようやく変わる」と語った。ネガティブファクターはときに力になるけれど、どこか暗いものだ。
まっすぐ、光を見据えて前進する勇気を、ささやかながら持ちたいと思う2024年初夏であった。
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別件だが、購読している毎日新聞に関する耳を疑うようなニュースが飛び込んできた。
夕刊の配送中止や廃刊などは、各紙で相次ぎ発表されてきたが、まさか朝刊の配送が完全にストップしてしまうとは。富山県民の毎日新聞を購読していた方の心中察するに余りあります。
苦渋の決断だと思いますが、何か配送を継続できる打ち手を模索してほしいところです。でもこれ、対岸の火事じゃないんだよなあ。
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