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刊行予告『なぜ基地と貧困は沖縄に集中するのか?――本土優先、沖縄劣後の構造』安里長従・志賀信夫

刊行予告

なぜ基地と貧困は沖縄に集中するのか?
―本土優先、沖縄劣後の構造―
安里長従 志賀信夫

2022年7月刊行予定/予価2,200円(税込)

【沖縄の基地と貧困問題の本質はここにある】

沖縄の「本土復帰」から50年。いまだに基地問題は解決せず、貧困問題も深刻であると言われる。

基地問題や貧困問題は、沖縄の地理的・社会的な要素が原因であると説明されてしまうことが多い。

「沖縄の貧困の原因は自尊心の低さだ」
「地縁血縁社会の同調圧力が沖縄の貧困の本質だ」
「基地問題ばかりに取り組んでいて貧困を放置している」
「基地が置かれるのは安全保障のためには仕方ない」

しかし、本当にそうだろうか?

本書では、「復帰」後も変わらぬ「本土優先/沖縄劣後」が生み出す「自由の不平等」に着目する。それが、基地の押し付けや貧困の集中を沖縄に強いているということである。
そして沖縄社会を特殊なものとして描き、基地や貧困の問題の原因をそこに還元する議論が問題を解決することを阻害していると本書は批判する。

「つまり、本土に対して何度もボールを投げてきたのだ。にもかかわらず、沖縄が声を上げるたびに、本土は「このボールではない」として沖縄にそれを投げ返してきた。そして、そのボールが投げ返されるときには、必ず小さくなって返ってきた。すなわち、問題を矮小化して投げ返してくるということである。社会構造上の問題であるはずのものが、地域問題に矮小化され、沖縄の人びと自身の振る舞いやあり方にその原因が還元されてきたのである。」

「本土」の貧困研究者と、沖縄の法律家の2人が沖縄の基地と貧困を正面から問い直し、「自由の平等」に焦点を当てた一体的解決を求める提案の書。

※タイトル等は仮のため、変更する場合がございます。

目次

はじめに 本書で伝えたいこと
用語について

第1章/貧困問題と基地問題を貫く差別の問題
第2章/沖縄の基地問題の歴史と現状
第3章/沖縄の貧困問題の歴史と現状
第4章/平等と平和
第5章/沖縄論の変遷
補論1/現代的レイシズム論からみた沖縄
第6章/新しい提案
補論2/日本国憲法には「平等権」が保障されていない?
第7章/シティズンシップを求めるアイデンティティ・ポリティクス
第8章/沖縄の貧困問題と基地問題の一体的解決を目指して

なぜこの二人なのか/立場の違い
おわりに

コラム1 沖縄はアメリカの「施政権下」に置かれていた?
コラム2 国境に面した島嶼の軍事化(要塞化)は国際常識か?
コラム3 階層論的貧困論の弊害
コラム4 政治的思惑が優先された復帰関連法
コラム5 社会福祉・社会保障と労働者
コラム6 沖縄は男尊女卑社会?

著者

安里長従

沖縄県石垣市出身、司法書士。沖縄国際大学非常勤講師。石垣市住民投票裁判原告弁護団事務局。「辺野古」県民投票の会元副代表。沖縄生活保護基準引下げに基づく保護費(減額)処分取消請求裁判原告弁護団事務局。
基地問題などに関心を持ったのは、2002年に司法書士となり多重債務者の対応などをしているなかで沖縄が置かれている構造的な問題にきづいたのがきっかけ。それ以来、「基地」と「貧困」の一体的な解決を求めて活動を続けている。
主な著書:『沖縄発 新しい提案―辺野古新基地を止める民主主義の実践』(共著、新しい提案実行委員会編、2018年、ボーダーインク)、『福祉再考―実践・政策・運動の現状と可能性』(共著、田中聡子/志賀信夫編著、2020年、旬報社)。

志賀信夫

宮崎県日向市出身、県立広島大学保健福祉学部准教授。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。専門は、貧困問題、社会政策。
家庭環境が貧しかったことから貧困問題に関心を持ち始め、貧困研究をはじめる。2017年に安里と出会い意気投合し、沖縄の問題に強い関心を持ちはじめ、社会的排除理論を通して考え、本書の執筆に至った。
主な著書:『貧困理論入門』(単著、2022年、堀之内出版)、『貧困理論の再検討―相対的貧困から社会的排除へ』(単著、2016年、法律文化社)など。


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