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【読了】『村の社会学』

『村の社会学』鳥越皓之 著

『村の社会学』鳥越皓之 著
ちくま新書 (2023.02.10.)

副題に 日本の伝統的な人づきあいに学ぶとあります。
私たちは、つねに「つきあい」と云う人間関係に迷っています。
なぜ迷うかと云うと、相手との関係を好くしようと自分自身が正しくても、必ずしも関係が好くなるとは限らないからです。
我と汝、自己と他者など、自分と対比する(される) 他者(相手)は、十分には理解出来ない存在です。
この「他者」との関係を「日本の村」から考える。pp.12〜14.

第1章 村とコミュニティ

コミュニティについて
日本の社会には「村」を社会の基盤として生活を保持してきた長い伝統がある。
pp.15〜16.

コミュニティの構造
なわばりと居場所
他者への配慮
孤立化 → 居場所の喪失
コミュニティの典型としての村
村は 生活を営む場
pp.17〜25.

第2章 村とローカルルール

村のハード
氏神 (産土神) の神社がある
2) お寺がある
3) 共同墓地がある
4) 集会所がある

村のソフト
1) 祭り
2) 普請 (共同作業)

村の社会組織 
消防団 婦人会 子ども会 敬老会 など

地域経営の単位としての「村」には、生活や生産に関わる枠組みやルールが存在する。
p.31
地域のコミュニティには、社会的な価値観(規範)の「つとめ」が機能している。
p.36

生活組織としてのコミュニテ
町内会の歴史
江戸時代 都市の地域単位としての「町(丁)」があった。
町の代表を「年寄」と呼んでいた。
1989年(明治22年)「市政・町村制」の施行で、大きな変貌を遂げ、市町村と云う自治体が誕生した。p.41

コミュニティのポイント
人びとが地域生活をつつがなく送っていくための「生活組織」である。p.44

第3章 村のしくみ

村のタテの関係
1) 目上と目下
2) 家の格と年齢
3) 経験に裏付けられるリーダー (親方)
4) 庇護(保険)と奉仕(保険料) 

村のヨコの関係
世代構成 三世代
1) 祖父•祖母の世代
2) 父•母の世代
3) 子どもの世代

信仰的な講
例) 観音講
自然との関わり
自然の神 水神 風神 雷神 山の神 樹木の神 など

村の生活
農産物などの生産生活と、そこで暮らす消費生活を営んでいる。

村の空間的な構成
組の堺 村の堺
寺社 墓地
田畑 山川 

第4章 村のはたらき

交換が不可能なこと
現代社会は、市場経済と云う 全てが交換可能になっている社会です。
それまで交換出来なかったものを交換可能にしていく歴史でした。(略)
村に行くと、そう云う(交換経済)とは違う世界がある。
(トトロブックレット2『都市近郊の里山の保全』) p.104

交換不可能を成立させるためには
顔見知りが可能な人数 (小学校区)
共同の作業や行事がある

自治 おのおのが金銭や労力を分け合って何ごとかを為すこと。自治には、ルールが出来てくる。p.107
こうした自腹を切って他者へ配慮することで自治を築くことが出来る。p.107
エゴイズムを抑える。pp.108〜110.

弱者救済と災害対策
三世代家族の長所

村の教育
リーダーとしての親分教育
村人全体への教育

第5章 村における人間関係

「あいさつ」pp.142〜148.
「寄り合い」pp.152〜155.

第6章 村の評価と村の思想

村は、個人の自由を束縛する。
村を消滅させる要因 近代化
民主主義と権威主義
農地改革と地租改正
近代技術 農の重労働から解放
過疎化
Society5.0
Society1.0 狩猟社会
Society2.0 農耕社会
Society3.0 工業社会
Society4.0 情報社会
Society5.0 次の段階 仮想空間と現実空間を高度に融合させる
自然を活かしたつきあい

【関連図書】

『農山村再生』
小田切徳美 著 岩波書店

『ボランティア』
金子郁容 著 岩波新書

あとがき

昔ばなし「猿の仲裁」

2023.02.18.

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