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カメラを止めるな!~大人たちの一生懸命の結実~

「カメラを止めるな!」連日満席となっている都内劇場へ行くのは諦め、小学生の息子と地元のシネコンで見てきました。

この映画で大切なことは「いかにネタバレされる前に観ることが出来るか」と誰もが言っています。鑑賞後は、どこまでならネタバレにならないのだろうか・・・と頭を抱えてしまいます。予告編で公開されているところまでなら大丈夫なのかな。うん。

まず、冒頭。言わずもがなの37分のワンカットゾンビ番組パート。私はこのパートもすっごく面白く観てました。不自然な描写がそこかしこにあるのだけど、インディーズ作品とはそういうものなのだろうとのんびり思いつつ、ワンカットの鑑賞を終えました。

ポスターには、“この映画は二度はじまる” とあります。予告編でもあるとおり、二幕目から、37分のワンカットゾンビ番組を作ったヤツらの物語がいよいよ始まります。ここからのネタバレはない状態で行った方がいいですが、知っていたとしても、不自然な描写だと感じた場面の裏側と、畳みかけるように仕掛けられている笑いの嵐を絶対楽しめると思います。

鑑賞したシネコンは、月に何度か通っている馴染みの劇場なのですが、まず驚いたのが席の埋まり具合。どんな人気作品でも、地方のシネコンではせいぜい半分位の席が埋まっていれば御の字。「わー、今日はいっぱい見に来てるねぇ」とちょっとした祭り気分になります。それが、8割程度が埋まっているではないですか!

私の体験ではこんなに入っているの「君の名は。」以来。一番少ないときは「フラッシュバックメモリーズ3Ⅾ」の私を含めて2人ってこともあったから、今日は秩父夜祭かしら?位の高揚した祭り気分が止まりません。

年齢層を見ると、60歳以上のご夫婦らしき人から小学校高学年の少年までの幅広い年齢層。この劇場・この上映回にたまたま集まった人達から、二幕目以降に展開される “ゾンビ番組を作ったヤツら” の一生懸命さから生まれる大爆笑が何度も起こるのです。

そして本当のエンドロール終了後。なんと劇場から自然と拍手が起こりました。何が起こっているのでしょう? シネコンで拍手なんて初めてです。たまたまここに集まった人達がひとつの物語を観て、笑いまくり、もしかしたら少し涙したりして、最後に自然と拍手が沸き起こる。こんな映画体験ってある?私も息子も初めての経験だったんで「すごい、こんなことあるんだね!」と感激してしまいました。

鑑賞した上映回は、実は終演後に舞台挨拶とサイン会の告知がありました。私は公式twitterと劇場ホームページ(イオンシネマ大宮!最近の作品チョイスは目を見張るものがあります。ミスミソウ、娼年、カメラを止めるな!など、地元民には有難すぎる)にこっそり告知されていたのを見つけ、「舞台挨拶⁉観たいに決まってる!はよチケット取りに行かな売り切れてしまう」と慌てて購入に行きました。

しかし、こっそり告知の舞台挨拶を知らずに観ていた人も多かったようで、拍手後「さぁ帰ろ~」と席を立ちあがる人が多く、支配人らしき人が慌てて「皆様、しばしお待ちください。本日はサプライズで舞台挨拶がございます!」と帰る人を止める場面が。

つまりですね、終演後に起きた拍手というのは、舞台挨拶があるから監督やキャストに考慮してというものではなく、本当に自然と沸き上がった拍手だったんです。よく映画祭とかで監督やキャストを称えての拍手やスタンディングオベーションがあるけれど、地方のシネコンで終演後に自然発生する拍手というのは、本当に作品を観て満足した人達の作品への賞賛と敬意だと感じたのです。

じゃあ、どうしてこんなに幅広い年齢層からこの作品は好意を持たれているのでしょう?

サインして頂いたパンフレットを読み終えて思ったことは、監督、キャスト、スタッフ全員がこの作品を作るために費やした、時間と労力と斬新なアイデアと情熱が、作品全体に浮き出ているからだということでした。

どんな作品でも、関わる人は力を注いで作っていると思います。もっと言えば、どんな仕事でも、みんな力を注いで頑張っています。でも、それが形として目に見えることは残念ながら少ない。

この作品は、いい年した大人たちが一生懸命に取り組み、その姿が一生懸命なほど笑いを呼んでいる。まさに映画というゾンビに憑りつかれた人達の青春の記録でもあるのではないかと。一生懸命に青春している大人たちの作品を子供に見せることが出来てよかった。

都内の劇場で行っている連日舞台挨拶なんて、サイタマノラッパーを彷彿とさせる尋常じゃない一生懸命さです。でも、それが多くの人間に届く結果となっている。

大人たちの一生懸命さが実を結ぶものを、この先も見届けていきたいです。

#カメラを止めるな#カメ止め #シネコン #イオンシネマ #映画  




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